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私が行く・異世界冒険譚  作者: ちょめ介
蒔かれた種はどんな木に育つのか
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第二十八話・食べ物を粗末にしたら罰が当たります

はい、第二十八話投稿いたしました。


ここに来て、レポートや課題の山、それに加えてテストまで…


ヒャッハー!


もうダメだー!


しかし小説は投稿します。


なぜかって?


…ちょめ介ですから。


へっへい、第二十八話始まり始まり…

おはようございます。


イーナこと伊那楓です。


昨晩は結局、遅くなってしまいました。


案外逃げ足が速くって、追いつくのに時間がかかってしまいました。


それにあの男、口を割ろうとしないんですよ。


まあ、人は意外と丈夫だという事が、再確認できました、とだけ言っておきましょう。


部屋に戻っても、リリウムとランダル君が起きていなくて、ホッとしました。


「おはようございます。リリウム、それにランダル君も。」


「ん…おはよ…お姉ちゃん…」


「…はよ、姉ちゃん。」


どちらも、まだ眠たいようですね。


「ほら、顔を洗ってください。目も覚めますから。」


二人を洗面所まで連れて行きます。


やっぱり二人とも子どもなんだと分かりますね。




閑話休題




「おはようございます。よく寝られましたか?二人とも。」


「はい。でも、イーナさんと一緒に寝たかったです…」


ルビアがションボリしながら言います。


「お母さん…私と一緒に…寝るのは…イヤなの…?」


リリウムが、涙声になって、目に涙を滲ませてながら言いました。


「ち、違うんですよ!?イーナさんとも一緒に寝たいという意味で、決して、リリウムちゃんと寝たくないという意味ではないですよ!?」


ルビアの慌てる姿も、珍しいですね。


ルビアが慌てていると、ベルさんが朝食を運んできました。


「さ、朝食だよ。なるべく早く食べてくれると助かるね。」


朝食のメニューは、パンと目玉焼き、そしてサラダです。


「うげ…俺、野菜嫌いなんだよ。」


朝食を食べている途中に、ランダル君がそんなことを言いました。


「おや、ランダル君は野菜が―――」


「おい、ランダル!」


セルナが私の言葉を遮って、ランダル君の肩を掴みました。


「イーナの前で、そんなことは言うな!いいな、絶対に残すなよ!」


「ど、どうしたんだよ兄ちゃん。だって、苦いし…」


「頼むから…残すなよ。俺の時は、うああぁぁ…」


セルナは、以前食事を台無しにした時の事を覚えているようですね。


「嫌がっている子どもに、無理矢理食べさせるわけないでしょう。あの時は、セルナが料理を無下にしたからですよ。」


私にも苦手な物はありますし。


「無理に食べる必要はありません。食べないのなら、セルナにでもあげてください。」


そう言うと、ランダル君はサラダの入ったお皿を、セルナの空のお皿と交換しました。


食べ物を残すと、もったいないおばけに祟られてしまいますから。


セルナは、テーブルの下で子猫のように震えています。


「セルナ、いつまでも震えていないで、早く食べてください。」


ルビアとリリウムも既に食べ終わっていますし、そろそろ件の図書館にも行かないといけません。


「…怒ってねえか?」


目から上をテーブルから覗かせて、聞いてきます。


「話を聞いていなかったんですか?嫌いなものを、無理矢理食べさせませんよ。」


「…わかった。少し待っててくれ、食っちまうから…」


そう言って、サラダを手に取り―――


「あ」


「あ」


「あ」


「あ」


「あ」


震えが治まっていなかったのか、セルナの手からお皿が滑り、床に落ちて行きます。


甲高い音を立ててお皿が割れ、お皿の破片とサラダが床に散らばりました。


…お皿を持つのは、マナー違反ですし。


セルナの震えが頂点に達したのか、イスまでガタガタと音が鳴っています。


「さて、セルナ…」


「あ…ああぁ…」


いつの間にか、ルビアとリリウムがいなくなっていますね。


部屋に戻ったんでしょうか?


そしてランダル君は、困惑の表情を浮かべています。


私は肘をテーブルに置き、眼前で指を組みます。


「覚悟は…よろしいでしょうか?」


「…す、すみませんでしたー!」


往生際がいいのはよろしいです。


潔さに免じて、20%オンにしてあげましょう。


何をするのかって?


ふふ、秘密ですよ。




閑話休題




「さて、ここが例の図書館ですよ。」


「う、うん…」


目の前に建っているのは、レンガ造りの、壁はツタで覆われている、何年も放置されているような建物です。


図書館・ウェリアです。


ランダル君は、セルナにも一緒に来てほしかったらしいですけど、セルナが倒れてしまったので、来ることが出来ませんでした。


とりあえず、ここまでの地図を置いてきたので、目を覚まし次第来るでしょう。


「さあ、入りますよ。」


「…」


「どうしましたか?」


「お、俺…や、やっぱり、戻る。」


ランダル君が踵を返して、宿に戻ろうとしています。


「こらこら、今更戻ってどうするんです?せっかくここまで来たのに…」


ランダル君の腕を掴んで、それを留めます。


「不安なのはわかります。しかし、父親に会わずにどうするんです?ランダル君一人で生きていけるほど、世の中は甘くないですよ?」


「兄ちゃんたちについてく…」


「まあ、私は構いませんが…ついて来てどうするんです?まだ小さい、何の力も無いあなたが、どうやって自分の身を護るんです?」


「そ、それは…」


「【魔法】も使えない、力も普遍的な【人間】と同じ。ハッキリ言って、足手まといになるだけです。」


「…」


「あなたには、選択肢があります。父親に会わずに【グラブス】を去るか、父親に会い【グラブス】を去るか…」


「…俺は、父ちゃんに会っても、話すことなんて、ない。」


「そうですか。では、戻りましょう。【アナリティカ】にも行ってみたいですし。」


そう言って、図書館から離れました。


しかし、ランダル君は俯いて、ついてこようとしません。


「どうしましたか?会いたくないのなら、早く離れましょう。」


「…」


「ほんの少しでも、心残りがあるのなら吐露した方がいいと思いますよ。伝えるのは、今しかありませんから。」


「うん…」


小さく返事をして、ランダル君は図書館へ歩を進めました。


それを見送り、ランダル君が図書館に入ったのを確認しました。


さすがに、親子の会話を盗み聞く趣味はありませんよ。


「さて、この雰囲気をぶち壊す、無粋なお客さんはどちら様でしょうか?」


ずっと、つけられていたんですよ。


宿を出てから、ちょっと遠回りをしてみたり、路地を通ったりしても、付かず離れずの一定の距離を保ちながらついてきています。


もはや偶然ではありませんね。


「ふむ、このような小童に暴露されるようでは、儂もまだまだじゃな…」


爺言葉を発しながら、曲がり角から老齢の男性が姿を現しました。


「昨日、この街に到着してからずっと、私たち…いえ、ランダル君を狙っていたでしょう?今度は何の用ですか?」


「ふむ、昨日からずっと認識していたとは、末恐ろしい…」


「それで、あなたも昨日の夜更けの男と同じ目的ですか?」


「ふむ、元【No.3】の息子を攫えば、決定的なアドバンテージになるからの。どこの組織も、国も、そう考えるじゃろう。しかし…」


老齢の男性は、少し言葉を出すのを躊躇わせてから、言いました。


「元【No.3】の庇護下に入ったからには、もう手出しが出来ないのでな。これで安心じゃろ。」


老齢の男性は、ホッとしたように言いました。


「どういうことです?あなたもランダル君を狙っていたのでは?」


「ふむ?ああ、いやいや、儂はそんなことは考えておらんよ。あの少年の母親からの依頼じゃ、元【No.3】の庇護下に入るまで見届けろとな。」


母親の依頼?


「どういうことです?ランダル君は捨てられたと…」


「ふむ、あまり話さない様に、と言われておるのじゃが…まあ、いいじゃろ。」


老齢の男性は、図書館の門に続く階段に座りました。


「元【No.3】…アムザイ・シーボーグじゃが【No.3】になる前にの、夢があったんじゃよ。」


「夢…ですか?」


「ふむ、夢じゃ。持って生まれた膨大な【魔力】に、圧倒的な【魔法】を扱う資質。これは稀な才能じゃからの、期待を一身に受けて育った。彼もその期待に応え【魔法】を学び、遂には【No.3】になった。もちろん、夢を叶えることもできた。しかし、環境がそれを許さなかった。彼は、仕方なく【No.3】になったのじゃよ。」


【No.3】が霞むほどの夢ですか…


「彼が【No.3】になると、すぐに弟子を育て始めた。昔の自分に、勝るとも劣らない才能を持っておった。弟子も彼に懐き、よい師弟だった。そして数年経った…」


弟子ですか…?


「そして突然じゃ、彼が【No.3】を引退すると言ったのは…『夢を叶えたいんです。』と、それだけ言って姿を眩ました。そして、その後釜として彼の弟子が【No.3】に収まった。まあ、世間には弟子に後を任せた、と発表されたのじゃが…」」


「【No.3】を捨てるほどの夢ですか…それほどまでの夢だったんですか?」


「ふむ、傍目から見れば馬鹿らしい夢だったんじゃがな。彼にとっては、何物にも代えがたい夢じゃったんじゃろうな。」


「しかし【No.】は国との契約なんですよね?そんなに簡単に破棄ができるんですか?」


一度交わした契約は、余程のことが無い限り、不可能だと思いますが。


「ふむ、それは当然不可能じゃ。【No.3】が夢の為に国を捨てたと、どうして発表が出来る?当然、指名手配がされる…はずじゃった。」


「はず、ですか?」


「ふむ、指名手配をすると報復が恐ろしい。しかし、ただ見逃すのは気に食わない。そこで国は考えたのじゃ【No.】を得ると一般には秘匿されるはずの情報を公表すれば、自分たちの手を汚さず、追いつめることができると…」


なかなか、国もえげつないことをしますね。


それにしても【No.】を得ると、情報が一般に秘匿されるんですか。


復讐や報復を防止する為ですかね。


「【No.】を持っているだけで、超一流の証じゃからな。家族、親類を人質にされて、国を裏切られても困るんじゃろうな。」


なるほど、国の上層部は、自分や国の利益を優先しますからね。


裏切られたら不利益を被ってしまいます。


「一部には自分の貴族は家の為に、あえて公表する者もいるが…大半は秘匿する。恨まれる筋合いはたくさんあるからの。」


まあ、それはそうでしょう。


そういった手合いは際限がありませんから。


「しかし公表された【No.3】の情報は、一部の街や村には伝わらなかった。それが…」


「この街【グラブス】もその一部…と言うわけですか。」


「ふむ、彼には…【No.】を得る前から交際していた女性がおったんじゃ。その女性との間に生まれたのが…」


「ランダル君…と言うわけですか。」


「ふむ、彼は彼女を愛しておったし、彼女も彼を愛しておった。【No.】を得てからは、安全の為に離れて暮らしておったのじゃが…」


「情報が公表されてからは、その女性も危険に晒された、と。」


「ふむ、その女性も【魔法】が使えたんじゃが…いかんせん質より量じゃ、数には勝てず、全身に傷を負った。儂にも理由があっての、常に護ることが出来なかったのじゃよ。」


まあ、個人対集団では、圧倒的な力が無い限り、個人が潰されますからね。


「その少し後じゃ、猫の【亜人】が傷を治してくれた、と知らせが入っての。確かに傷が綺麗さっぱり治っておった。理解が出来んかったよ。」


全部、ランダル君をここまで連れてくるための芝居だったんですかね?


それにしても、運任せですね。


「なるほど、ところで、あなたは誰なんです?」


「儂か?儂は…まあ、しがない、ただの年寄りじゃよ。」


「嘘を言ってはいけませんよ。その尋常じゃない【魔力】…【エルフ】でしょう?」


このお爺さんから視える【魔力】は、過去に視た【No.】の誰よりも多いものです。


それにしても【エルフ】の【魔力】は、ここまで【人間】を凌ぐものなんですか。


「…お嬢ちゃんこそ何者…なるほど、その眼鏡じゃの。」


「おや、この眼鏡のことを?」


「知っているも何も、儂が若い頃に作った【魔具】の一つじゃ。懐かしいのう。あの頃は【魔具】をたくさん作っておった、若気の至りじゃな…」


「この【魔具】は便利です。助かっていますよ。」


「ふむ、そう言ってもらえて何よりじゃな。それにしても、あの頃は【彼】も…」


そう言ったお爺さんの目は、昔を懐かしんでいるようでした。


「まあ、儂の依頼はこれで終わりじゃ…あとは、あの二人に任せるわい。」


「それもそうですね。他人が入る隙間なんてありません。」


「それじゃあの、儂は戻るわい。彼女は儂の家に保護しているのでの。彼に伝えてくれるとありがたい。君には…まあ、その内会えるじゃろ…」


そう言って【エルフ】のお爺さんは唐突に消えてしましました。


瞬きをした一瞬のうちに、跡形もなく…


【レーダー】にも表示されていません。


「…何か【魔具】でも使ったんでしょうかね?」


そういえば、名前も、家の場所も聞いていませんね。


あの人に伝えれば分かるんでしょうね。


「ああそうじゃ、忘れておった。」


「いきなり現れないでください。驚きます。」


瞬きを瞬間に、また【エルフ】のお爺さんが突然現れました。


「これに儂の家までの地図が書いてある。渡しておいてくれんかの?」


「はいはい。分かりましたよ。」


私に一通の手紙を渡すと、すぐに消えてしまいました。


「しかし、母親ですか…」


ランダル君は捨てられたと言っていましたが、実際は…


「愛されて、護られて、とても大事に…」


まるで、私とは大違いです。


まあ、偶然に偶然が重ねって、たまたま、ランダル君はここまで来れたんでしょうかね?


それとも、ランダル君と会ったのも…


「まあ、考えても仕方ありません。今はランダル君ですね。」


そろそろ二人の話し合いも終わったでしょう。


図書館に入りましょうか。

はい、どうだったでしょうか?


突然現れた【エルフ】のお爺さん、彼は一体!?


そして少年は愛されていたんですね。


母親も、身を切る思いで送り出したと…


そして次回へ続く!


ちなみに、タイトルの罰は、ばちと読みますよ?


感想、意見、その他諸々、お待ちしております。

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