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私が行く・異世界冒険譚  作者: ちょめ介
蒔かれた種はどんな木に育つのか
26/81

第二十六話・猫が魚好きだと思ったら、大間違いです

はい、第二十六話投稿いたしました。


今回は急ぎの投稿でした。


ちょっとおかしなところがあるかも?


うーい、第二十六話始まり始まり…

どうも、イーナこと伊那楓です。


【アプライド】を発ってから早三日。


【アナリティカ】領内の【グラブス】という町を目指していますが、未だに影も形も見えません。


そういえば【グラブス】に着いたのって、半ば偶然なんですよね。


この世界に着いて、彷徨っていたら【グラブス】に着いた、と…


私の旅は、運任せが多いですね。




閑話休題




「イーナさん!海ですよ!」


先頭を歩いていたルビアがそんなことを言っています。


「お姉ちゃん…海って…何…?」


私と手を繋いでいたリリウムが、聞いてきます。


おや、リリウムは知らないんですか。


「海はですね。簡単に言えばおっきい水たまりですよ。」


「そうなの…?お兄ちゃん…?」


そう言って、リリウムは首を傾げながらセルナの方を向きます。


リリウムにとって、セルナはお兄ちゃんのようですね。


「んーまあな。でけえ水たまりで間違ってねえだろ。でもな、忘れちゃねえのが一つある。」


忘れてはいけないもの?


「それはな…魚だ。」


「魚ですか?」


「ああ【オーガニー】にゃ海が無かったから、魚が流通してなかったけどな。一回だけ、海で捕れた新鮮な魚を食ったことがあるんだ。」


確かに【オーガニー】は砂漠の中の国ですから、魚が流通することなんて、まずないでしょう。


「あのうまさと言ったら…」


頭に生えている耳をピコピコ動かして、その時の気持ちを表現しているかのようです。


さすが、猫の【亜人】と言いますか。


魚が大好きなんですね。


「ランダル君は、海を見るのは初めてですか?」


セルナの隣を歩いていたランダル君に話しかけます。


「うん【アプライド】を出たのが初めてだから…」


まあ、この歳の子どもが一人で出国することは、まずないですから。


「ところで、ランダル君は何故父親を嫌っているんですか?」


「…」


「まあ、言いたくなければ構いませんがね。」


ランダル君が父親を嫌っていますが、父親がランダル君をどう思っているのか分かりませんからね。


「【グラブス】に着くまでには、教えてくれると嬉しいですよ。」


「…うん、わかったよ。」


父親に会ったとしても、どんな結果になるのやら。


それが、ランダル君にとって最良な結果であれ、最悪な結果であっても、そうする以外にないのですが…




閑話休題




目の前に広がるは、大海原。


碧い海、青い空、白い雲です。


地球ではまず見る事の出来ない、よく澄んだ綺麗な海と、遠くまで見渡せる青い空。


「綺麗ですね…」


環境破壊も何もない、ありのままの自然の姿ですね。


「どうしたんですか?イーナさん。ボーっとして。」


「お姉ちゃん…?」


いけませんね、私としたことが。


「いえ、なんでもないです。」


「おっしゃー!魚捕るぞー!」


セルナが、服を着たまま海に入っていきました。


まあ、暑いので構いませんが…


そういえば、もう夏でしたね。


「うおー!冷てー!魚!魚どこだ!」


セルナが血走った目でざぶざぶと沖に進んでいます。


「ルビアとリリウムはいいんですか?」


ランダル君はセルナと一緒に海に入っています。


私たちは砂浜に座り、セルナ達を見ています。


「いえ、私は海は苦手なんです。【赤竜】ですから。」


「私も…海を見たのは…初めて…だから…」


なるほど、リリウムは擬態をしてからまだ数日ほどですからね。


「そういえば、猫って水に濡れるのを嫌がりますけど…」


セルナ達は大丈夫でしょうか…


「あれ…?お兄ちゃん達は…?」


リリウムが海を見ながら、呟きました。


その言葉に続いて私も海を見ます。


セルナもランダル君もおらず、ただ静かな風景が広がっています。


「そういえば、セルナって海は初めてって言ってましたよね?」


「ええ、ランダル君も、海は初めてと言ってました。」


「…溺れてますよね?」


「はい、間違いないですね。」


ルビアは慌てた様子で言います。


「い、イーナさん。た、助けなくてもいいんですか!?」


「いえ、私も海は苦手で…」


確かに【霊力浮遊】を使えば水に沈むこともなく、水面を滑るように移動をすることができます。


【霊力浮遊】を切れば沈んで、水中で【霊力浮遊】を発動すれば浮かぶこともできますが、助けるには潜らないといけませんし…


困っているところに【レーダー】に反応がありました。


それに、眼鏡を通して視る風景にも、変化が…


「緑色の【魔力】ですか?」


緑色の【魔力】は【風属性魔法】の証です。


その【魔力】が海の中から滲み出ています。


「…そういえばルビア。」


「はい、なんでしょう?」


「この場所は【アプライド】と【アナリティカ】の境目辺りですよね?」


「多分…そうだと思いますけど…」


やっぱり【アナリティカ】に入っていますかね。


そんなことを話している内に、滲み出ている【魔力】が多くなってきています。


これは、まさか…


「ルビア、ちょっと大変な物が出てくると思いますけど、攻撃はしないでくださいよ?あと、リリウムもルビアと一緒にいてくださいね。」


「どういうことで―――!」


ルビアが息を呑んで、光に包まれて擬態を解いてしまいました。


「こらこら、ルビア。擬態は解いてもいいですが、攻撃はしないでくださいよ?」


「グ…ググウゥゥ…」


久しぶりに【赤竜】のルビアを見ましたね。


「お母さん…どうしたの…?」


リリウムは若いからか、気づいてはいないようですね。


その時、何かに叩きつけられた様に、海からしぶきが上がりました。


お出ましですか…


それと一緒に、セルナ達も砂浜に落下してきました。


セルナは大丈夫でしょうから、ランダル君を受け止めましょう。


「ゲッホ、ゲホッ…痛ってぇ!死ぬかと思った!」


「大丈夫ですか?セルナ。」


どうやら、ランダル君は気絶していますね。


「ああ、何とかな。いきなり深くなったからビビったぜ。」


そう言って【火属性魔法】で火を出して体を乾かしています。


「つか、何が起こったんだ?沈んでたらいきなり吹っ飛ばされ―――」


セルナが海に振り返ると、言葉を失ってしまいました。


「は…?な、なんでこんな場所に!?」


セルナが驚いていますね。


いや、驚くなという方が無理がありますけど【赤竜】に会っているんですから。


「それにしても【緑竜】ですか。なんだって海から出てきたんでしょうかね?」


海から出てきたのは【アナリティカ】に生息している【魔獣】の【緑竜】です。


【赤竜】のルビアと同じくらいの大きさで、翼が動いていないの、に宙に浮いて(・・・)います。


まるで、重力を無視しているようですね。


眼鏡を通して視ると、緑色の【魔力】を纏っているようなので、風の【魔法】を使っているんでしょうね。


「それじゃセルナ、ランダル君をお願いしますよ。」


気絶しているランダル君をセルナに渡します。


「お前…まあ、イーナなら大丈夫なのか…」


セルナが呆れたように、呟いています。


「どうやら、敵意むき出しの様なので…ちょっと潰してきます。」


【緑竜】も待ってくれるつもりはないようですし。


眼鏡を通すと、緑色の【魔力】が【緑竜】の口内に集中しているのが確認できます。


【緑竜】の風の(ブレス)ですね。


「ギャオオオォォォ!」


【緑竜】が咆哮をあげたかと思うと、風の(ブレス)が発射されました。


狙いは…セルナ達ですか。


と、いうより私も射線上に入っているんですがね。


なので、私の【霊力障壁】で防ぐことになりました。


【貫通】に優れている風の【魔法】ですが、私に直撃させるのならもっと密度を上げないと突破はできませんよ。


「ま、この程度ですかね。」


私の【霊力障壁】で大幅に減衰させられた風の(ブレス)は、そよ風程度になりました。


この暑い中では丁度いいですね。


「ギャ…ギャオオオ!」


【緑竜】が(ブレス)を連射してきますが、初撃と比べては微々たるものです。


「さあ、ルビアの所に行っていてください。守りながらは厳しいですから。」


「…ああ、わかったよ。」


【緑竜】の攻撃が止んだ隙に、俊足を活かしてルビアの元に駆け込みました。


さて、これで安心ですね。


右腕にライフルを出し【緑竜】に撃ちこみます。


ただのライフルと驚くなかれ、一発が岩石を貫通する程の威力です。


それを毎秒3発で連射可能です。


正確に撃ちこまれた銃弾は【緑竜】に直撃…


「おや?おかしいですね。」


【緑竜】に当たったかと思ったんですがね?


どうやら、逸らされたようですね…


【緑竜】の風の【魔力】が、弾を逸らしているんですかね。


あれは【緑竜】独特の障壁のようですね。


「まあ、対処法はありますが…」


一つ目は、風の障壁が逸らせないほどの速さで【貫通】させるか。


二つ目は、実体のないEN兵器を用いてあの障壁を【貫通】させるか。


「面倒ですし、両方で構わないでしょう。」


右腕に出すのはスナイパーライフル、左腕に出すのは高出力のレーザーライフルです。


相手が相手ですし、これくらいで構いませんよね?


重たいので、碌に動けませんが…


「さて、始めましょうか。どちらが潰れるが早いか、勝負です。」


何かを察知したのか【緑竜】が縦横無尽に宙を飛び回りながら、(ブレス)を正確に当ててきます。


さすがに、あそこまで速いと当てられませんね。


仕方ありませんね。


スナイパーライフルをしまい、新しく出すのはハンドミサイルです。


同時に四発を射出し、ある程度まで相手を追跡して、接触次第爆発します。


あまり使いたくはないんですがね。


「まあ、言っている暇はありませんか。」


さすがに、このままだと終わりが見えませんし。


縦横無尽に飛び回っている【緑竜】を視界に納め、ミサイルを射出しました。


【緑竜】の後を正確に追跡し…


「ギャオオォォ!ギャアォォォォ!」


全弾命中ですね。


被弾した衝撃からか、少し動きが鈍くなりました。


レーザーライフルを構え【緑竜】に狙いを付けます。


「恨むのなら、手を出したあなたを恨んでくださいね。まあ、死にはしませんから、安心してください。」


青白い閃光が【緑竜】に直撃しました。


【緑竜】から【魔力】が消失し、海に落下していきます。


「はあ…少し疲れましたね。」


このレーザーライフルは【霊力】を尋常じゃないくらいに使いますからね。


しかし、それも数十秒程で回復しました。


まったく、本当に…


まあ、竜ならその内に目を覚ますでしょうね。


「さて、終わりま―――」


「イーナさん!」


言い終わらない内に、ルビアが私を抱きしめてきました。


「あの…どうかしましたか?」


「イーナさん…本当に、無事で、よかったです。」


「ルビア?泣いてるんですか?」


「そりゃそうだろ。」


セルナが、ランダル君を背負いながら言います。


「リリウムも、ルビアも、心配してたぞ。なんてったって【緑竜】が相手だからな。まあ【赤竜】を従えてる時点で心配無用だと思うが…」


「別に、ルビアを従えているわけじゃないんですがね…」


未だに抱き着いているルビアの頭を撫でながら言います。


「大丈夫ですよ。私はここにいますから。心配してくれてありがとうございます。」


「お姉ちゃん…」


おや、リリウムもですか?


「ほら、おいで…」


「うん…」


抱き着いてきたリリウムの背中をポンポン叩き、落ち着かせるように言います。


「リリウムは私を心配してくれたんですか?」


「うん…」


「ありがとうございます。でも、私は大丈夫です。ほら、心臓の音が聞こえるでしょう?」


リリウムの頭を抱えるように、私の胸に近づけます。


「うん…聞こえるよ…」


「私は生きています。心臓が動いている限り。リリウムはどうですか?」


リリウムの胸に耳を近づけ、鼓動を聞きます。


「ほら、リリウムも同じです。でも、リリウムはまだ力が弱いです。私でも、ルビアでも、セルナでも誰でも頼ってください。分かりましたか?」


「うん…分かった…」


「それでは【グラブス】を目指しましょう。時間は無限にありますが、寿命は有限です。無駄にはできませんよ。」


リリウムと手を繋ぎ、ルビアが横を歩き、セルナがランダル君を背負ってついてきます。


さて【グラブス】までは、あと何日やら…

はい、どうだったでしょうか?


とうとう登場しました【緑竜】です。


しかし、相手が悪かったですね。


なんてったって主人公ですからね。


この【緑竜】ですが、見た目はあれですよ…某鋼龍をモチーフにしています。


それと体色は薄い緑色です。


あと、どんな生物でも心臓の鼓動は約20億回とかいう説があるそうです。


実際、どうなんでしょうかね?


感想、意見、その他諸々、お待ちしております。

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