第二話・Fellowを直訳しても相棒にはなりませんよ?
第二話投稿しました。
ここでは会話がメインです。
ちょっと重い話になるかも?
さてと、状況を整理しましょうか。
私の名前は伊那楓
家族構成は父、母、私、そして妹か弟。
妹か弟、おかしいと思うが、何もおかしくはない。
何故ならまだ母親のお腹の中に入っているからだ。
…いい年して何してるんだか、あの両親は。
ちょっと話がそれてしまったが続けよう。
今年で学業からも卒業し、就職も決まり、親に就職記念パーティーを開いてもらって、そのパーティーも終盤になった時に、特大の爆弾を落としていった。
…また話がそれてしまった。でも一言だけ言わせてほしい。
なにをしているんだ、あの両親は!
ちょうど三ヶ月とも言っていたし、三ヶ月前と言えば私が就職がなかなか決まらずに苦しんでいた時期じゃないか!
あの両親は、本当に…
…すまない、話がそれすぎた。
身長の事は気にしないでほしい、自分でも気にしているから…
分かるか!?同級生に頭を撫でられる屈辱感が!両親は平均的なのになぜ私だけ…
体重?…見かけ通りとだけ言っておこう。
これで私の事は大体確認はできたかな?
次に目の前の状況についてだ。
目の前に顎鬚が立派なお爺さんが立っている。
以上
…いや、本当に誰だ?このお爺さんは…
私の記憶力は悪い方でもないから、一度見た顔はまず忘れない。
それなのに覚えていないってことは、初対面のはずだ。
初対面の人に土下座をしながら、謝罪をされるというのは―――
「あ、ちなみに儂は神様じゃ」
―――なるほど
「お家はどこですか?送ってあげますので住所をお願いします。」
ボケが進んだお爺さんか…
「な、なぜそんなかわいそうな者を見る目で儂を見るのじゃ!?」
閑話休題
「それで、本当に神様なんですね?」
「やっと信じてくれたか…」
あの後色々あってようやく目の前にいるお爺さんをボケの進んだお爺さんから神様?に私の中で格付けが上昇しました。
え?色々の内容ですか?
…それを言葉にすると刑事ドラマをワンシーズン分と映画版、スピンオフ作品やらを全て観賞してもまだ足りずに、シーズン9まで見ないといけない位時間が掛かるので省きます。
「それで、さっき言っていた、『お主…殺しちった』とはどういうことでしょうか?」
「ああ、それなんじゃがな…」
神様?が深々と頭を下げました。
「本当にすまなかった。いくら詫びても許されないのは分かっておる。それでも本当にすまなかった。」
声を聴く限り、ふざけた様子など微塵も見せずに誠心誠意謝っているようだった。
「もう謝るのは結構です。それより説明をお願いします。」
神様?はゆっくりと頭を上げた。
「ああ、お嬢ちゃんは…今死んでいる」
「死んでいる?」
「儂の部下―――今はもう消したからここにはおらんが―――そいつが…【魂の蝋燭】って知っておるかの?」
「人間の寿命を表す蝋燭の事ですか?」
「そう、それじゃ。それをの、自分が好意を抱いた人間の女の寿命を延ばすために使ったんじゃ。」
「それで…」
「結果的にはその女は今も生きておる。お嬢ちゃんの【魂の蝋燭】と取り替えたおかげで病気も快方に向かっておる。」
「…そうですか」
「しかし、神の部下として人の魂に干渉して良い訳があるはずもない。当然部下は消滅させた。しかし、お嬢ちゃんの【魂の蝋燭】は既にその女の【魂の蝋燭】の燭台に立っておっての、神は魂に干渉してはいけないというルールがあっての、儂じゃあどうにもならんのじゃ。」
そう言って神様?は火の点いた蝋燭が立った燭台と何も立っていない燭台をどこからか取り出した。
「これが【魂の蝋燭】じゃ」
「これがですか…」
「燭台がその人間を、【魂の蝋燭】の長さが寿命の長さを表す。」
「…」
「お嬢ちゃんが望めば―――自分でやることになるが―――【魂の蝋燭】を移し替えることができる。そのためにこの【神様世界】にお嬢ちゃんを来れるようにしたんじゃよ。」
…【神様世界】って
「安直ですね」
「う、うるさいわい!分かりやすくていいじゃろが!」
神様?も気にしていたようだ。顔が赤くなっている。
「やるなら自分で…ですか。なかなかに鬼畜ですね。」
「ああ、それも理解しておる。しかし神は人の魂に干渉してはいけない。じゃからお嬢ちゃんに任すのじゃ。」
「ちなみに移し替えたらどうなります?」
「もちろん、お嬢ちゃんは生き返り、女は死ぬ。しかしそれが元々の【運命】であってお嬢ちゃんが気にすることでもない。」
「…三つほど聞いてもいいですか?」
「ああ、答えられる範囲なら話そう」
「その女性の年齢と家族構成、完治した時の様子を教えてくれませんか?」
「?不思議なことを訊くのう。ちょっと待っておれ。」
神様?はどこからか机とパソコンを取り出して何かを調べているようだ。
―――数分後―――
「わかったぞ。年齢は15歳、家族構成は父と母、弟と妹がおるようじゃな。数年前から病気で外にも出歩けずに病室で寝たきりの状態じゃ。あと数日で死ぬ、というところで部下が【魂の蝋燭】を移し替えて病気が快方に向かっている。」
「…それでその時の様子は?」
「父母は涙を流して喜んで、弟妹はまた遊べると無邪気に喜んでおる。」
「…それで本人は?」
「涙を流して喜んでおったよ。まあ、医師からも治癒の可能性はほぼ無いと言われておったからの。当然と言えば当然じゃの。」
「…」
「さて、これで一応終わりかの。さて、お嬢ちゃんどうす―――」
「まったく、神様?も人が悪いですね。」
「いや、儂、人じゃないしのう。それとその疑問形は止めてくれんかの。」
「さてと今から少し独り言を言いますけど、聞き流してくださいね。」
「いやいや、この頃少し耳が遠くての、よく聞こえないかもしれん。」
「…私が三つの事を訊いた理由はですね。その女性のためでもあるんですよ。もしも年を取っていて家族に煙たがられていても【魂の蝋燭】を移し替えるつもりでした。長く生きていても辛いことが多いでしょうし。もしも家族もおらずに一人で寂しく病気になっていても、【魂の蝋燭】を移し替えるつもりでした。一人で生きていてもつまらないことばかりですし。女性がただ治ったことを受け入れても【魂の蝋燭】を移し替えるつもりでした。自分の命が助かったことを当然のように受け入れても、それを喜ばない限りそれから先の人生に希望は望めません。神様?の話を聞いて解りました。その少女は家族に愛されていて、自分の人生に希望を持っています。一生懸命に病気と闘って、最後まで諦めていなければ涙を流すことなんてできません。」
私はそれで話を終えた。
「…ありがとうございます。」
「いやいや、耳が遠くてほとんど聞こえなかったのう。それにしても…優しいお嬢ちゃんじゃ。」
「…ただ甘いだけですよ。」
「さて、お嬢ちゃんの意志のままじゃ。初志貫徹、一度決めたら変えることはできんぞ!」
「はい、私は、【魂の蝋燭】を移し替えるつもりはありません。」
一切の迷い無く、私自身の意志でそう決めた。
「…それでお嬢ちゃんが死んでもかの?」
「両親には悪いと思います。でも私が決めたことです。文句は言わせませんよ。それに初志貫徹、自分の意志を貫きます。」
「なるほど、わかった。お嬢ちゃんの意志を尊重しよう。」
そう言って二つの燭台と机とパソコンをどこかにしまった。
話長かったですかね?
しかし彼女の優しさ、考え方などが伝わったらうれしいです。
次話では能力をできたらいいなあと思います。
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