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私が行く・異世界冒険譚  作者: ちょめ介
蒔かれた種はどんな木に育つのか
18/81

第十八話・この泥棒猫!と一度は言ってみたいです

はい、第十八話投稿いたしました。


さて、梅雨はまだあけませんかね?


雨が降りすぎると水害が起こり、雨が降らないと水不足になります。


雨って恵みの象徴ながらも、災害の象徴でもあるんだなぁ、と思った今日この頃だったり。


でもって、第十八話始まり始まり…

おはようございます。


イーナこと伊那楓です。


いえ、もうお昼なのでこんにちはでしたね。


腕の中で眠っている【白竜】はリリウムです。


「起きてくださいリリウム…こら、私の腕は果物じゃないんですから…」


リリウムが私の腕をやわやわと噛んでいます。


くすぐったいやら、むず痒いやら。


昨日はちょっと忙しかったので、こんな時間まで起きれませんでした。


「リリウム、起きてください。リリウム…あれ?」


昨日ちょっとした不注意でできた腕の傷が消えています。


なんででしょうね?




閑話休題




さて、この【オーガニー】は砂漠の中だというのに、自然が豊かです。


自然が豊かということは、つまり…


「キュッ!キュー!」


リリウムが頭の上で涎を垂らしながら、今にも飛び立たんと翼をパタパタさせています。


…汚いですし、髪がボサボサです。


大方、周りにたくさんある果物に興奮をしているんでしょうがね。


市場ですから、野菜やら果物がたくさん売られています。


「今日は何も買いませんよ。用事もありますし。」


「キュ!?キューッ!」


そんな抗議めいた声を出しても買わない物は買いませんよ。


「お金がないんですよ。仕方ないでしょう。」


昨日、セルナさんに袋を盗まれてから一文無しです。


宿に泊まる分はどうにかなりましたが。


市場を抜けて、ギルドに到着しました。


ここに来るまでの間、リリウムはずっと、お菓子を買ってもらえない子どものように、駄々をこねていました。


ギルドの中は、相変わらず騒がしい、と思いきや…


「え?」


ギルドの中は不気味なほどに静まり返っていました。


人がいるのに、一人残らず顔を伏せています。


なんか怖いですね。


どういうことか受付の人に聞いてみましょう。


「どうしたんですか?この静まり様は?」


「え?は、はい…実は…」


受付の人から聞いた話の内容は、要約すると…


昨日の夜に、表通りにある一件の薬屋が全壊。


また、その直後に貴族の館から火事が発生し、館が全焼。


どちらも死者は出なかったらしいですけど…


ここまでならば、ただの事件と事故で済んだはずですが、薬屋からナロティの種が発見され、店主が捕まったそうです。


そして、捕まった薬屋の店主が、火事が発生した館の貴族との繋がりを自白。


貴族が門番を買収し、店主が種を仕入れてくるという流れになっていたみたいですね。


ギルドでは、夜通し専属ギルド員を動員して調査にあたったそうです。


貴族も重傷で捕まり、二人仲良く牢屋行きらしいです。


なるほど、顔を伏せているのは寝ているからですか。


「それに…大きな声では言えないんですが、火事の直後に【赤竜】の姿が目撃されていまして…」


【赤竜】って、ルビアですかね?


貴族のところに売られていたんですね。


「朝からギルドではその話で持ちきりですよ。討伐しようと有名なチームが集まってきているらしいですよ。【ルシャトリエ】や【オーム】【ベルクマン】といった名だたるチームばかりです。」


いや、チームの名前を言われても分かりませんが…


「これだけの面子が揃えば【赤竜】といえどもただではすみませんよ。」


…大事になっていますね。


「そうだったんですか。ありがとうございました。」


早いとこ、この国から出ましょうか。




閑話休題




【オーガニー】から出られましたよ。


【白竜】がいるので怪しまれましたが、何とか出ることができました。


さて、次は【アプライド】に行きますか。


そう思い、歩を進めた途端…


「待てよ!」


後ろから声がかけられました。


「どうしたんです?セルナさん。」


「…お前、そんな軽装でどこ行くつもりだ?」


「いえ【アプライド】に行こうと思いましてね。この国からも近いですし。」


「…ほらよ。」


「おっと。」


勢いよく、袋を投げつけられました。


中を覗いてみると、水や食料が入っています。


「どうしたんです。これは?」


「…礼だよ。」


「礼?私はお礼を言われることなんてしていませんが…」


「とぼけんじゃねえよ。お前だろ。薬屋を潰したのは。」


「さて、なんの事やらですよ。」


まあ、貰える物は貰いますが…


「それで、あなたはこれからどうするんです?」


「…母さんに言われちまったからな。俺が生きることが恩返しだって。けどな、ただ平凡に生きてるだけじゃダメだ。」


「それで?」


「だからな…」


セルナさんは熱い砂の上で土下座をしました。


「頼む!俺を連れてってくれ!お前は知識も豊富なんだろ!?母さんみたいな奴をもう見たくないんだ!そんな奴らを守る為に知識が必要なんだ!だから―――」


「いいですよ。」


「お願い…って、いいのか!?」


基本的に来るものは拒まず、去る者は追わず、ですから。


「ちゃんとした目的があるのは良いことです。私は目的なく旅をしていますし。薬草は、森に着いたら追々話しましょう。」


「そうなのか?それじゃ、その【白竜】は?」


「さあ?頭の上が気に入ってるんじゃないんですか?」


「…真面目に答える気ないだろ。」


セルナさんは自分に付いた砂を落としながら答えます。


「まあ、いいじゃないですか。さて、これを…」


セルナさんに、落ちていた石を渡します。


「は?どうすんだ、こんなもん。」


「なるべく高く上に投げてください。お願いしますよ。」


「まあ、いいが…」


セルナさんが訝しげに石を投げました。


これは、また高く上がりましたね。


まあ、好都合です。


落下に合わせて、石にグレネードを撃ちこみます。


そして、起こる爆発音。


「―――ッ!うるさっ!なんだそりゃ!」


セルナさんが頭についている耳を押さえています。


「まあ、いいじゃないですか。気にしないでください。」


「…ちゃんと説明しろよな。」


「まあ、気が向いたらしますよ。」


「…」


セルナさんがこちらを睨んできています。


そんな時に、突然薄暗くなりました。


来ましたかね?


「ん?なん―――」


セルナさんが上を向いた途端に硬直してしまいました。


「せ、せせ【赤竜】!?なんでこんなところに!?逃げるぞ!」


切羽詰まったように私の腕を引っ張ってきました。


「グオオオォォ!」


【赤竜】の咆哮が耳に響きますね。


「何やってんだ!早く逃げんぞ!」


「大丈夫ですって。あの【赤竜】は…」


その時【赤竜】から眩い光が…


「酷いです!イーナさん!助けに来てくださいよ!」


光が収まったかと思うと、綺麗な女性が一気に捲し立ててきました。


「すみませんね。ルビアなら大丈夫だと思ったんですよ。」


「ホントに大変だったんですからね。目が覚めたら知らない場所にいるし、イーナさんはいないし、知らない人間がいるし、イーナさんはいないし。頭に来たから(ブレス)を吐いてやりましたよ。あ、これも持ってきました。」


渡されたのはセルナさんに盗まれた袋です。


袋を覗いてみると、見た目からは想像できないほどのお金が入っていました。


「どうしたんです?このお金。」


「ふふふ、どさくさに紛れてお金も貰って(・・・)きたのですよ。」


「ナイスです。ルビア。」


ちょうどお金もありませんでしたし。


ふと、セルナさんを見るとハッとして、こんなことを言いました。


「いやいやいや!なんなんだよ!【赤竜】が【人間】になったって!ふざけてんのか!」


そういえば【赤竜】が擬態をすることは、一般には知られていないんでしたね。


「なんですか?泥棒猫が。文句でもあるんですか?」


ルビアが鋭い目をセルナさんに向けました。


「あ…いや…泥棒猫!?」


耳をペタリとさせ、明らかに怯えていますね。


「袋を盗んだでしょう?泥棒猫で十分です。」


流石に【赤竜】に睨まれれば文句も言えないでしょう。


「さ、行きましょイーナさん。次はどこに行きますか?」


「ええ、次は【アプライド】です。そういえば、ルビアの故郷って【アプライド】でしたよね?」


「そうですよ?任せてください!…と言いたいんですけど、森の中にばかりいたので【アプライド】のことは分からないんですよ。」


「そうなんですか。じゃあ【アプライド】に向かいながら考えますか。」


えーと、南は…


「こっち―――」


「こっちですよー。イーナさん。」


脇に手を入れて持ち上げられ、向いている方向を変えられました。


「…こっちですね。行きますよ。」


「はい。イーナさん。」


「キュー」


「ちょっ…待てや!」


さて、また一人同行者が増えましたね。


それにしても…


「その口調変えた方がいいですよ?」


「は?どういうことだ?」


「いえ、女性(・・)だというのに、そんな乱暴な口調はどうかと…」


「…は?」


は?じゃありませんよ。


最初に見た時は男性だと思いましたが、すぐに女性だってわかりましたよ。


「そういえば、どうしてそんな男物の服を着てるんです?」


ルビアも気づいていたようですね。


「あ、いや、俺は…」


「見た所、晒も巻いてますね。外さないんですか?」


ルビアがセルナさんの胸を弄っています。


「や、やめろー!」


胸を弄っているルビアの手を払いのけようとしますが…


「猫ごときが、竜に勝てると思ってるんですか。」


その腕を逆に掴みかえし、更に胸を弄ります。


もうセクハラですね。


「うあー!やめろー!」


セルナさんがダッシュで逃げ出します。


「むむ、逃がしませんよ!」


あーあ、あんなに走って、疲れても知りませんよ?


「まあ、賑やかになりましたね。リリウム。」


「キュー!」


賑やかな二人の後をゆっくりと追いかけます。


「そういえば…水は大丈夫ですかね?」


【アプライド】まで、何日かかるやら…

はい、どうだったでしょうか?


同行者が増えました。


以上!


※この小説は、作者の思いつきと行き当たりばったりで構成されています。


感想、意見、その他諸々、お待ちしております。

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