第十六話・高温多湿はイヤですね
はい、第十六話投稿いたしました。
寒暖差が激しく、体調を崩しやすいので体調管理はしっかりとしましょう。
…そう言っている自分が体調を崩してるってゆうね。
なんとか、第十六話始まり始まり…
イーナこと伊那楓です。
【フィジカ】を出発してもう4日がたちました。
「イーナさん…」
もうすぐ【オーガニー】に到着するはずですが…
「イーナさんってば…」
さっきからルビアがうるさいですね…
「イーナさーん…暑いですー」
「キュー…」
それはさっきから何度も聞きましたよ。
「仕方ないじゃないですか。砂漠なんですから…」
さすがは砂漠です。
暑くて熱いです。
【霊力障壁】である程度の熱は遮断できているんですが…
それでも暑くて熱いです。
頭の上のリリウムもぐったりしてます。
ルビアは【赤竜】だけあって、熱には強いようですけど、擬態状態では人間と同じように、暑さにも熱さにも弱いんだそうです。
「だって、もう2日も歩き続けじゃないですかー」
「それも仕方ないです。方位磁石が狂ってるんですから…」
方位磁石に目を向けても、指針がぐるぐる回っています。
なんなんですか?この砂漠は…
地面に磁石でも埋まってるんですかね。
【レーダー】も出していますが、索敵範囲内には何もありません。
ルビアが擬態を解いて見に行けばいいって?
…ルビアが嫌だって言うんですよ。
「イーナさーん。あーつーいーでーすー」
「キューキューキュー」
「あーもう。仕方ないですね。少し休みますよ。」
「おー。イーナさん。愛してます。」
「キュー」
そう言ってルビアが抱き着いてきます。
なんだか顔に柔らかいものが…
「あーつーいーでーすー」
「私も暑いんですから、ほら、離れてください。」
ルビアが物足りないような顔をしながら離れました。
なぜにそんな顔を?
「それじゃ、危ないですから下がってください。」
「はーい。」
「キュー」
リリウムが私の頭の上からパタパタと飛び、ルビアの腕に収まって私より後ろに下がります。
そして出すのは、バズーカとグレネードです。
何回かやっているので、要領は分かっています。
まずは地面に向けてバズーカを撃ちます。
バズーカなので、爆発はせずにかなり深くまで穴が開きました。
次にその穴に向けてグレネードを撃ちこみます。
地下数mのところで起爆し、爆風は開いた穴から出てきて、それと共に砂も一緒に巻き上げられました。
巻き上がった砂は一気に空中に巻き上げられ、重力に従い、地面に落ちてきました。
その結果は…
「ゲホッゲホッ…イーナさんもっと手加減を…ってイーナさん!?」
「キュ…キュー!」
てっとり早く言うと、砂に埋まりました。
「ルビアー助けてくださーい。」
【霊力障壁】があるので生き埋めにはなっていませんけどね。
砂風呂ですね。
とても暑くて熱いです。
「イーナさん!今掘り出しますからね!」
「キュキュー!」
リリウムも手伝ってくれているようですね。
ありがたいことです。
閑話休題
てんやわんやで穴が開きました。
地面より下は意外と涼しいとか涼しくないとか。
崩れにくくする為に、壁はルビアの火の息で溶かしてあります。
穴には袋に入れてあった布をかけておきます。
直射日光が無いだけで、案外涼しくなるものですよ?
「本当に心配したんですからね。」
「すみませんね。ここ数日で慣れてたつもりだったんですが…」
夜にはこの方法で穴をあけて、その中で寝ていましたよ。
今日に限って失敗してしまいましたけど…
「これを食べたらすぐに出発しますからね?」
「はーい。」
「キュー」
おいしそうに食べてますね。
【フィジカ】にもアルモがあったんですよ。
アルモを食べようとした時に【レーダー】に反応が…
「これは…」
「どうかしましたか?イーナさん。」
「ええ、何かが近づいてきていますね。」
【レーダー】には赤い点と緑の点が表示されていて、こちらに近づいてきています。
ここまで、サボテンみたいな植物がちらほらと点在し、トカゲやサソリのような生物しか見ませんでした。
まあ、どれも【魔獣】の幼生らしいですが。
【オーガニー】は【水属性魔法】が発展しているからこそ、こんな砂漠の中でも国を造ることができたんでしょうね。
「休憩はおしまいです。行きますよ。」
「えーもう少し休みたいですー」
「キュー」
「わがままを言わないでください。ただでさえ【オーガニー】に着くか分からないんですから、それにこのままだと水も食料も尽きますよ?」
迷ったおかげで現在地も分からず、水も食料も残り少ないんですよ。
この状況で、果たして【オーガニー】にたどり着けるのか。
「む…それならしかたないですね。」
もしも【オーガニー】から来たんだとすると…
行ってみる価値はありますね。
閑話休題
【霊力浮遊】を使って移動速度を上げ【レーダー】で確認した場所に着きました。
そこには…
「ぐっ…中級魔法【アクアアロー】!」
「ハッハー!弱えなあ!初級魔法【ウィンドアロー】!」
片方の男は水の槍を構えながら【水属性魔法】の中級魔法【アクアアロー】で牽制をし、もう片方の人…【亜人】ですね。猫の耳が付いてますし。【亜人】は【風属性魔法】の初級魔法【ウィンドアロー】でそれを迎撃しながら、持っている剣で攻撃を仕掛けています。
水が飛び散って、風が吹き荒れています。
飛び散った水は水蒸気になり、風がそれを辺りに拡散させています。
「暑いですー。イーナさーん。」
「キュー…」
それはそうですよ。
この辺一帯が高温多湿になってるんですから。
さっきは砂風呂でしたけど、今度は蒸し風呂ですか。
「くそっ…中級魔法【ヒーリング】!」
槍を持っている男が【ヒーリング】を使いました。
剣で切られた傷が徐々に治癒していきます。
「無駄だ無駄だぁ!おらぁ!」
【亜人】が男を剣で切り付けました。
もう【魔力】も限界だったのか、その剣は【魔力障壁】をも切り裂き、男の胸を深く抉りました。
「余計な手間をかけさせんなよ。まあ、これで終わっただろ。」
「ぐ…あ…」
「おお、まだ生きてんのか。驚いた。苦しいだろ?楽にしてやるよ。」
【亜人】はなんの感情も込めずに、淡々と言っています。
柄を両手で持ち、刃を男の胸に当てました。
「ま、待ってくれ。死にたく―――」
今まで表情が無かった顔が、ほんの僅かに歪みました。
「何を言ってやがる。殺されるだけのことをしたんだろうが。」
そう言った後、剣が男の胸に沈みました。
【亜人】は剣を抜いて血を拭い、剣をしまいました。
こちらを向きましたね。
「で、そっちのガキはなんなんだ?」
「実は迷ってしまいまして【オーガニー】ってどの方向ですかね?」
「迷った?よく生きてたな?」
「幸い食料はあったんですよ。なのでなんとか。」
「ふーん。食いもんか…」
その時、グギュルルルという音が響きました。
「…お腹が空いてるんですか?」
「あ、イヤ、これは!別に朝から何も食べてないとか、そういうことじゃなくてだな!」
今までの戦闘が嘘のように【亜人】が顔を赤くして弁解をしていますが、いくら弁解しても意味ありませんよ?
試しに袋から干し肉を出して【亜人】の前に出して動かしてみます。
【亜人】は干し肉の動きに合わせて顔を動かしています。
「…食べたいんですか?」
「い、いや。これはつい―――」
閑話休題
「ふう、食った食った。」
どれだけ食べるんですかね?
数日分はあった食料が尽きてしまいましたよ。
「ああ、俺はセルナ・マーグナーって言うんだ。見ての通り【亜人】だ。よろしくな。」
そう言って手を出してきます。
「ええ、私はイーナと言います。頭の上にいるのが【白竜】のリリウムで隣にいるのがルビアです。」
「キュー」
「ルビアです。短い間ですが、よろしくお願いします。」
リリウムもルビアも名前を名乗り、出された手を取り握手をします。
セルナさんは驚いたような顔をしていますね。
「そ、それにしてもお前は度胸がいいな。普通死体を見たら取り乱すもんだが。」
なんだか話を変えられた気がしますね。
「いえ、度胸がいいわけじゃありませんよ。ただ…」
「ただ?」
「いえ、なんでもありません。それじゃ【オーガニー】まで頼みますよ?」
「おう、任せとけ。俺がいれば【オーガニー】まで安全だからな。」
たしかに、あの戦闘の一部を見ていましたが、なかなかの腕の持ち主のようですね。
「ところで【オーガニー】までどれくらいですかね?」
「んー、そうだな。あの男を追いかけて1時間くらいでここに着いたからな。」
意外と【オーガニー】は近くにあったようですね。
「おっしゃ行こうぜ。早く着いた方がいいだろ?」
「はい、お願いします。」
セルナさんについていこうとしたら…
「え?」
セルナさんが全力疾走をしています。
もしかして走って1時間なんですか!?
速!
自動車と同じくらいスピードでてますよ!?
「ルビア!急ぎますよ!」
「は、はい!」
私は【霊力突進】を使いながらセルナさんを追いかけます。
リリウムも落ちないように頭にしがみ付いています。
ルビアも走って追いかけています。
「おお、ついてこれんのか!それじゃ、飛ばすぞ!」
更に速くなりましたよ!?
【霊力突進】の出力を上げないと!
「イーナさーん!待ってくださーい!」
ルビアもこのスピードについてきます。
【オーガニー】には案外早く着きますかね!
ってまた速く―――
はい、どうだったでしょうか?
猫の【亜人】が登場しましたね。
猫が目の前を歩いていました。どうする?
撫でる←
愛でる←
捕える←
全選択ですね。
それと、主人公は特殊な能力を持っています。
砂漠を徒歩で横断など絶対に真似をしないでください。
砂漠を横断するときは装備を整え、徒歩ではなく車に乗って、自己責任で行きましょう。
感想、意見、その他諸々、お待ちしております。