第二十話
オレはゴブリンを倒すと、ふうと息を吐いた。
危なかった。
あれほどのゴブリンが出現するだなんて思いもしていなかった。
さすがは魔の森の奥深く。
でももっと奥深くに進めば、もっともっと強い敵ができるだろう。
オレはさらに森の奥へと駆けていこうとして、空が赤くなっていることに気づいた。
「もうこんな時間か……」
モンスターというのは空が暗くなると、よりその力を発揮するらしい。
だからダンジョン攻略は夜ではなく、できれば昼の時間にするのが望ましいとされている。
もっともっと森の奥までの攻略をすすめたかったんだけど……今日はここまでのようだ。
「残念。でもまあいいか。明日もあるしな」
というわけで、今日はダンジョン攻略は終わりにして、かえることにした。
遠足と同じように、家に帰るまでが冒険である。
低レベルのゴブリンにやられないようにしながら、オレは森から村までの道のりを走って帰ってきた。
異世界にきたばかりは運動能力がかなり低かったが、今ではもう数十分走り続けることも苦にはならない。
よし。
うまい飯とうまい酒のために、早く家へと帰ろう。
今日の収穫はゴブリンが数十体と、ゴブリンが落とした銀貨が合計で二枚だった。
ゴブリン数十体から得られる素材を売れば、さらに手に入れられるお金が増えるだろう。
ゴブリンから入手できる素材はゴブリンの耳。
モンスターの解体というものをオレはやったことがないので、村にあるモンスターの解体場で解体をしてもらう必要がある。
だってモンスターの解体って結構グロテスクだからな。
さて、今日はいくら稼げたのだろう、そう思いながら、村へと入った。
村の前にいる門番さんには、
「おう。今日もよく頑張っているな」
と声をかけられたので、
「門番さんもお仕事ご苦労様です」
と返事をして村の中へと入った。
解体場。
解体場。
解体場と場所を思い出しながら、オレはモンスターの解体場まで勢いよく走っていく。
そしてモンスターの解体をしている男・ロカに向かっていき、そして言った。
「ロカ、モンスターの解体を頼む」
「おう、今日もゴブリンを狩ってきたのか。どれどれ。アイテムボックスから出してみろ」
アイテムボックスから十数体のゴブリンを取り出す。
「お、今日もまたずいぶんとゴブリンを討伐してきたようだな。ちょっとそこで待ってろ。すぐにゴブリンを解体してやるから」
ということで、ロカがゴブリンの解体をするのを、少し遠くから見物しながら、待つことにした。
そしてロカは解体作業が終ったようで、言った。
「ほれ、解体作業が終ったぞ。今日入手できた素材はこれだな」
ロカはオレにゴブリンの耳十数個を手渡してくる。
「ありがとう」
今日手に入った素材を売れば、銀貨二枚くらいにはなるだろう。
今日もそこそこの日銭を稼ぐことができたようだ。
でもこれくらいだと、なかなかエリクサーを買うところまではたどり着けそうもないな。
とはいえ、うまい飯と、うまい酒がオレのことを待っている。
お金を稼ぐというのは、お金を貯めるというのは、なかなか普通の冒険者には難しいようだ。




