第十八話
今日のクエストは魔の森のモンスターを討伐する、というクエストだった。
モンスターの数は複数。
だからゴブリンを複数倒しても、このクエストはクリアとなるし、一角ウサギを複数倒しても、このクエストは同じようにクリアとなる。
それは魔の森の入り口の敵でも問題はないし、魔の森の奥にいるモンスターでも問題はなくクリアとなる。
ダンジョンは基本的に入り口のモンスターのレベルが低く、奥に行くほどにモンスターのレベルが上がる。
だからただクエストをクリアするなら、奥にまで行くことはなく、できるだけモンスターレベルの低い入り口付近のモンスターを倒すのがクエストをクリアするのに一番簡単な方法と言えた。
とはいえ、こう毎日毎日クエストをクリアすると、別に奥のレベルの高いモンスターと戦っても大丈夫なのではないかと、そんなことを考えてしまう。
当然レベルが高いモンスターのほうが経験値も高く、落とすアイテムのレア度も高い。
だからこそランクの高い冒険者は、危険を顧みず、ダンジョンの奥まで進むわけである。
オレはランクの低いGランクの冒険者ではあるが、そろそろダンジョンの奥深くまで進もうかとそんなことを考えていた。
正直なところ、ダンジョン入り口の敵は、魔の森入り口の敵は、もう倒しすぎてしまったのだ。
ゴブリンLV3だったり、ゴブリンLV4だったりは、もう飽きるくらいに倒しまくってしまったのである。
ゴブリンLV3が落とすアイテムなんて大したものではないし、ゴブリンLV4から手に入る経験値だってたいして高くはない。
そろそろもっと強いモンスターはいないだろうか?
冒険者ランクCのトールよりも、もっと強いモンスターを……。
オレは少しでも強いモンスターと戦い、そしてレベルを上げたかったで、そんなことを思ってしまう。
そう。
オレはエリクサーがほしかったのだ。
と、モンスターの気配があった。
森の奥から緑色をした小さい化け物が棍棒を持って、こちらに向かって襲い掛かってくるようである。
「ゴブリンか」
一度倒したことのあるモンスターは敵のステータス画面が見えるようになっているので、その敵のモンスターのレベルもわかるようになっている。
敵のモンスターのレベルはゴブリンLV3、ゴブリンLV4。
オレがクエストをクリアして日銭を稼ぐために、いつも倒しているモンスターが、こいつらである。
このくらいの相手なら、もう苦戦することなく倒すことができる。
「スキル、まぶしい光っ」
オレはスキル名を叫ぶと、オレの頭周辺にまぶしい光がともった。
これでゴブリンLV3、ゴブリンLV4の目はくらました。
「ゴブウウウウウウウウウウウウウウウ」
ゴブリンLV3のほうはそう声を発しながら、右手に持っている棍棒をすごい勢いで振り下ろしてくる。
だが相手である、オレの姿はちゃんと捕らえてはいなかったようだ。
そんな無茶苦茶な攻撃は当たらない。
当たるわけがない。
オレはゴブリンLV3に向かって、反撃をするべく、こぶしを振り下ろした。
「ぐぎゃあああああああああああああああああああ」
というゴブリンLV3。
よし。
倒した。
残りはもう一体。
「ゴブウウウウウウウウウウウウウウウ」
「だからちゃんとオレのことを見て攻撃しないと、攻撃は当たらないぞ。まあちゃんと見たくても、まぶしすぎて見えないんだろうけどな」
オレはそう言うと、ゴブリンLV4の攻撃を軽くかわし、そして右のストレートをゴブリンLV4の顔面に向かってふりぬいた。
「ぐぎゃああああああああああああああああああああ」
という悲しい悲鳴を上げて、ゴブリンLV4は倒れた。
この辺のモンスターでは、もうオレの相手にはならないようだ。
もっと強い相手じゃなきゃ、レベルも上がらないのか。
ずうっとここでレベル上げをするのも面倒だしな。
仕方ない。
少し危険ではあるけれど、試しに魔の森の奥にはどんな敵がいるのかを見てみるか。
試しに奥まで行ってみるか。
冒険者ギルドの受付のお姉さん、ミリカさんの危険な場所まで行くなという言葉を思い出したが、オレはそろそろレベルを上げたかったので、経験値の高いモンスターと戦いたかったので、少しでもレアなアイテムを落とすモンスターと出会いたかったので、森の奥へと行くことにした。
「さあ、魔の森の奥にはどんなモンスターがいるかな」
冒険者にとって、なれとは危険なものである。
入り口の低レベルモンスターなら初心者の冒険者でも倒すことができるが、森の奥のモンスターでは、無事に帰ってこられる冒険者は、ごく一部だそうだ。




