第十一話
「あれ? ここってどこだろう?」
あてもなくただやみくもに歩き続けたせいだろうか。
いつの間にか知らない場所に来ていた。
さっきは城の門の前にいたはずなのに、どうやったらここに来ることができるのだろうか。
その場所は森だった。
木々が生い茂る森の中に、なぜかぽつんとオレがいる。
鳥の鳴き声がちゅんちゅんと聞こえてきた。
「あ、あれ? 森の中? いつの間にオレはこんな場所に来たんだ?」
がさがさと木々が揺れて、音を立てている。
オレはモンスターが出現する前に、自分のステータスを確認することにした。
今のオレなら、たとえ異世界召喚者の仲間たちがいなくても、一人でも十分に戦っていけるはずだ。
確かにリュウノスケたちのように敵を一撃で倒すことはできなくても、それでも苦戦しながらでも倒すことはできる。
スキルまぶしい光とかいう地味なスキルではあるけれど、それを使えば、敵のモンスターの攻撃を回避することはできるのだ。
サトウ 40 男
LV:3
STR:50
VIT:50
INT:50
DEX:50
AGI:50
LUK:400
<スキル>
なし
<固有スキル>
まぶしい光
<加護>
太陽神の加護
異世界召喚者のほかの勇者に比べたら、やっぱりステータスの数字はしょぼいけれど、低いけれど、それでも確かにレベルが1だったときに比べれば、少しは数字は上がっている。
いくらかましな能力値にはなっている。
王様がこの数字を見ても、やはりお前は無能だ、しょせんははげなんだと言ってくるかもしれないが、これでもオレはオレなりには成長しているはずなのである。
とはいえ、やはりショックを受けていることは事実なのである。
なぜ異世界に召喚されながら、オレは一人だけ追放されなければいけなかったのか。
みんなと一緒に魔王討伐の任務をクリアしたかった、とそうため息が漏れてしまう。
こんなのってないよ……。
とそう思ってしまうのである。
と、がさがさがさ、と何やら音がした。
「!」
今は余計なことを考えている場合ではなかった。
ここは異世界なのだ。
仲間がいない以上、のんびりと考え事をしていては、命がいくつあっても足りない。
とりあえず音のしたほうに目をやる。
ただの風であったのなら、なんの問題もないが、もしも異世界のモンスターが出現したのなら、逃げるなり、戦うなりしなければいけない。
そしてそのモンスターは、木の陰からひょっこりと出現したモンスターはゴブリンだった。
ゴブリンは手には棍棒を持っているようだ。
ゴブリンか……。
どうやら異世界にはゴブリンというモンスターがいるらしい。
背はオレよりちょっと低め。
なんだか見た目が気持ち悪い見た目をしている。
それがゴブリンである。
髪の毛もない。
当たり前だが……。
ゴブリンLV3
どうやらダンジョンのモンスターよりはレベルが低いようで、このくらいの敵であるならば、問題にすることもなく、なんなく倒すことができるだろう。
とはいえ、ここは異世界だ。
ちょっとしたことで命を落とす可能性があるのが、異世界だ。
ヒットポイントをできるだけ減らすことなく、安全に戦ったほうがいいだろう。
というわけで、スキルを使おう。
ここには誰もいないので、オレ以外の冒険者はいないので、恥ずかしがることなく、スキル名を叫ぶことにした。
「スキル、まぶしい光!」
ちなみにである。
このスキル名は別に叫ばなくても、普通に発動する。
ならなぜスキル名を叫んだかといえば、ちょっと叫んでみたかっただけである。
スキル名、まぶしい光を使うと、ゴブリンはまぶしい光に目がくらんだようだ。
よし。
オレのことをちゃんと見えていないゴブリンの攻撃なんか、オレに当たるわけがない。
ゴブリンの攻撃を簡単によける。
ひょい。ひょいと。
そしてゴブリンを素手でぶん殴った。
スキルまぶしい光を使い、ゴブリンを素手でぶん殴った。
オレの攻撃を食らい、ダメージを負い、倒れそうになるゴブリン。
オレはまたもスキルまぶしい光を使い、ゴブリンの目を奪う。
当たらないゴブリンの攻撃をよけると、そろそろとどめとばかりに、右こぶしをゴブリンの顔面に向かって、ふりぬいた。
ゴブリンは倒れた。
「よし。倒したな」
なんだかんだ言っても、敵を一撃で倒すことはできなかった。
だがそれでもモンスターを倒したことには変わりはない。
オレだって異世界召喚者なんだ。
異世界召喚者なんだから、無能だってやれるはずだ。
オレは倒れているゴブリンの姿を見て、そう思った。




