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第六話:「親切」な提案。死ねば助かる(?)異世界脱出

「魔王軍の……幹部? なんでいきなりそんな強そうなのが襲ってくるの!?」


「その意見には同意です勇者様。まさかこんな大物と邂逅かいこうするとは思いませんでした」


ジリジリと睨み合いを続けながら、ビスカは緊張した声色でそう口にする。


「大物って、そんな褒めるなよ。こう見えて俺は仕事には結構熱心な方なんだぜ。今日だって本当は俺がやらなくてもいい後始末を、わざわざしてきたばっかりなんだからよ。まあ、そのおかげでお前らを見つけることができたんだが」


「そうですか。お仕事お疲れ様です。今日はそのまま素直に帰って、お疲れを癒やしてはどうですか?」


「そうだな、さっさと帰って一杯ひっかけるとするよ。……お前らを片付けた後でな」


ヴァガルドは軽口を叩きながら持っている大斧を構え、戦闘の準備体勢を取る。


「いいんですか? ここで女神の使いである私に直接危害を加えたとなれば、それ相応の干渉や報復が起こるかもしれませんよ?」


「報復でもなんでも来るなら来いよ。俺らが何もしてなくたって女神共は散々干渉してるし、今更だろうが。今日だってお前らにとって便利な駒である勇者の候補を、こそこそと召喚してたんだろう? まったく迷惑ったらありゃしないぜ。なあ、お前もそう思うだろ異世界人?」


ミツギへ同意を求めるように、ヴァガルドは問いかけてくる。


「え? いやそんなことは……。でも実際、元の世界に帰してくれなくて無理やり契約を結ばされそうなのは、迷惑……か」


「勇者様!? あなたどちらの味方ですか!?」


「ほれみろ、やっぱお前らの方が迷惑かけてるじゃねえか。まあ安心しろ異世界人。お前、まだその女と契約を結ぶ前だろ? なら俺がすぐに元の世界に帰してやるよ」


「帰すって……方法があるんですか?」


「あるぜ。その女を殺せばいい」


「へ?」


ヴァガルドが語った方法に、すぐには内容を呑み込めず、理解ができなかった。


「その女が死ねばいいってことだよ。基本的に召喚された奴らってのはな、召喚者がいなくなればその世界に留まれずに元の場所に強制送還されるんだよ。だから今から俺がその女を叩き潰して、お前を元の世界に戻してやるってわけだ」


(ビスカが死ねば、元の世界に戻れる……?)


ミツギは無意識にビスカの方へと顔を向けた。 彼女の表情は先ほどまでとは違い、苦虫を噛み潰したようなものになっている。


「ただまあ、見ての通り俺の得物は大斧でな。繊細な動きっていうのは苦手なんだ。だから……」


ヴァガルドがそう口にした瞬間だった。


それなりの間合いがあったはずのヴァガルドの姿が、突如としてミツギとビスカの前へと現れる。大斧を高く振りかざした状態で。


「女が死ぬ前に、その余波でお前が死んじまったら、そんときはすまねぇなぁ!!」


その叫びとともに、大斧がミツギたちへと一直線に振り下ろされる。


ほぼそれと同時に空を割く音が鳴り、地面を砕く大きな轟音があたりへと響き渡るのだった。

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