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第一章:異星の来訪者
共存都市ノア・スペラ。魔法とテクノロジーが共鳴するこの都市には、空に浮かぶ列車、意思を持つ樹木、宙を泳ぐ光の魚たちが存在していた。
ミア・アルフェルは地球人の魔法使いの末裔。感情を音に変える“調和魔法”を使うことができるが、未熟で人前で発動したことは一度もない。ある日、学院長から呼び出されたミアは、ある異星人の「世話係」を任される。
やってきたのは、星系アルノーから来た異星人、リィ・セファ。透き通る白銀の髪に、感情のない瞳。彼は「感情を持たない種族」で、音楽や魔法に無反応だった。
初日からリィは孤立し、魔法の授業でも浮いていた。だが、ミアは諦めず、毎日話しかけた。
「あなたにも、心の中に音楽はあるんでしょう?」
リィは言った。
「我々には“心”というものは存在しない。あるのは判断と計算だけだ」
だがその夜、ミアの奏でる“調和魔法”の旋律に、リィの瞳が微かに揺れた。