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第9話【紅の戦士】

 今日の俺は運が良い。


 さっきもガキを一人食ったばかりだが、偶々1人で小娘が歩いていた。


 あまり堂々と言うほどでもないが、俺はディストートの中じゃ、実力は下の下だ。同程度の奴らならまだしも、バケモンみたいな連中と違って、コソコソ隠れて生きていくしか無い。


 転校生の晴家安成だ…綺麗な顔のガキだ。人間どもの中ではの話だが。可哀想だが、俺の自由のためだ。食後のデザートになってもらう…はずだった。


 なぜ逃げない!?


 イカれてるのか!?


 普通のガキは俺のナリ見ただけで腰が抜けて立てないくらいビビり散らかす。


 昨日の安達雛鳴なんてクソもションベンも垂れて逃げ回ったもんで、ギリギリまで鬼ごっこを楽しんでからぶっ殺して食ってやったが…


 「その代わり抵抗はする。人間らしくね。」


 なにぃ?抵抗するだと?コイツ自分の立場わかってんのか?転校初日から俺たちに楯突いて、頭いかれたやつだと思ってたが…。


 「変身。」


 なるほど…仲間たちが言ってたな…俺たちディストートを倒すために雇われた特殊部隊か秘密結社かがあるって。


 コイツ、その組織の人間か。転校してきた理由も…ハナから俺の討伐任務か何かだったってことだ。

慎ましくやってたんだがな…どこでバレたか知らんが。


 「3つ数えたら仕掛ける。」


 〘やってみろよ。〙


 「りょーかい。3。」


 来るぞ来るぞ!食後のおやつが!


 〘へへへ…おやつだおやつ。〙


 「2。」


 いつも通り、突っ込んでペシャンコだぜ!


 〘おいで!かわいこちゃん!〙


 「1。」

















ギュン!





















                        は?








          ドギュッ
















 ん?何だ?ヤロウ、トンデモナイ速さで後ろに下がっていくぞ?


 今さら怖気づいたか!


 何が変身だ!11歳のガキが!見かけ倒しの色変えで、この俺様が倒せると思うなよ!


 へへへ…さあ食らいやがれ!俺様自慢のタイヤ戦法…俺様自慢の…じ、自慢の…




 ん?




 あのガキ…なぜ動かない?周りの木や地面も一緒にヤツと一緒に後ろに下がっ…てっ… 







 い、いや違う!まさか!まさかまさかまさか!


 晴家安成が後ろに下がってんじゃねぇ!









 俺が吹っ飛んでるんだ!

 









 バキャァァァァァア!







 〘グゴフッ!〙


 「トロ過ぎ…。」


 ま…全く見えなかったぞ!いつ俺の懐に入り込んだ!


 い、いや俺はいつ攻撃された!?


 奴は俺に何をした!?





 「蹴り一発でこれなら、アンタ…大したことないね。」





 な、何だアイツ…!く、食われるんだぞ!?今から俺に食われるんだぞ!?


 それを何…なんでそんな顔をしていられる!?いつも通りのすまし顔で…なんでそうやって冷静でいられる!?



 〘こ、怖くねぇのかよ!今から俺に食われるんだぞ!?死ぬんだぞお前ぇ!〙


 「?」


 〘な、なんだその顔!〙


 「え…いや…だって、私死なないもん。食われるってそれ、私がアンタに負ける前提の話じゃん。」


 〘なにィ!?〙


 「私、アンタには絶対負けないし食べられないし…アンタよりもっと強いやつとも闘ってきたし…。」




 コ…コイツ!


 斜に構えてりゃ好きかって言いやがって!死なないだ?食われないだ?舐めんじゃねぇ!


 俺だって…俺だってなぁ!


 〘信念持ってやってんだぁぁぁぁぁあ!〙


 ぶん殴ってやるぜ!ゆっくりいたぶってやる!


 〘オラァ!オラァ!オラァ!〙


 「ほい。ほい。ほい。」


 当たらねぇ!?だったら…


 ここで蹴りだ!


 〘オリャアーッ!〙


 「遅すぎ。」


 ガシッ!


 「捕まえた。」


 コイツ!足を!


 〘は、離しやがれこのガキ!〙


 「心配しなくても離すってば。ちょっと遊んだ後で。」




          何

           を

            こ

             の

              !




ブォン!ブォン!ブォン!ブォン!ブォン!

ブォン!ブォン!ブォン!ブォン!ブォン!



 うおぉ!?こ、コイツ俺の足を!


 ジャイアントスイングか!しかも片足で!




          う     お

    お         お

       お

               お

           お

     お  お

              お

                  お  !




 〘離しやがれ!〙


 「仰せのままにー。」





ブォン!




 グォッ!




ヒュンッ!ばきゃぁぁあぁぁぁぁぁあ!


 〘ガハッ!〙






 な、なんてやつだ!手も足も出ねぇ!?この俺が!?ガキだぞ!?11歳のメスガキ一匹だぞ!?なんてパワーとスピードだ!?


 そ、それだけじゃねぇ!



 最初に蹴られた腹…腹が!


 煙!?焦げてんのか!?なんでだ!?蹴りだけじゃ動物の体は焦げねぇぞ!?


 そ、それに俺たちディストートは火炎放射器も効かねぇくらいには熱にも耐性があるはずだ!それは俺自身も過去の経験で確認済み!


 なのになぜ!投げ焦げる!?






 「気づいた?お腹の靴跡。」


 ヤツがゆっくりと歩きながらコチラに向かってくる。


 その顔には焦りや恐怖といった感情は全くない。

ただ俺のことを確実にぶち殺そうという覚悟のある顔だ…!



 〘てめぇ!何か仕込んでやがったな!?〙



 「D.B.Mっていうんだ…組織に凄腕の科学者がいてさ。あー、Distort.Break.Materialの略ね。アンタみたいなディストートの細胞組織に反発して破壊する…博士の作った必殺武器。」


 〘な、なんだとっ!?〙



 俺たちの細胞組織を破壊する物質だとぉ!?反則もいいところじゃねぇか!


 い、いやそれどころじゃねぇのはコイツだ!

晴家安成ッ!こ、コイツ!


 闘い慣れている!?明らかにそんじょそこらのやつとは違う!


 俺たちディストートとの闘いに慣れている!?


 おそらく俺以上の場数を踏んでいる…コイツ!




 コイツ…やべぇ!




 こうなったら…!







 〘うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉお!こうなったらぁ!〙


 「ん?」



 コイツは切り札だが…今出さなくてどうする!こうなったら自爆覚悟だ!喰らいやがれ!



 〘潰れやがれ!〙


 「タイヤみたい…なるほど、そうやって安達に突進したわけか。」




ギュンッ!



 「はぁ!」




 よし!狙い通りだ!


 ヤロウ避けやがったぜ!















 このまま逃げ切ってやるぜ!








 「あれ?おーい、食べないの?私のこと。」


 〘ヒャハハハハ!残念だったなぁ!〙







 〘これはお前をぶっ殺すためじゃねぇ!逃げ切ってやるための回転全速前進だ!〙


 「!」



 〘あばよクソガキ!〙


 「待て!逃さないって言ったでしょ!」


 〘そうはいくか!そらよ!〙




ギュギュギュギュギュギュ!




 「砂煙…!?」




 今だッ!






ギュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!


































 「しまった…!」


 …逃げられた。かなりのスピードで動けるらしいあのタイヤ走り。


 とりあえず変身解くか…



"DISTORT BREAK MATERIAL OFF"




〜♪〜♪


 ピッ




 "アンナちゃん!どうしたの?電話切って。"


 「ターゲットに出くわした。」


 "え!?だ、大丈夫!?ケガとかしてない!?"


 「そのまま倒したかったけど逃げられた。ケガはしてない。」


 "えー!じゃなかった…ケガなくてよかったよぉ。"


 「はいはい…ていうかアルマジロだった。」


 "アルマジロ…防御力が高いタイプのディストートかもね…!"


 「そう思ったけど…多分自分の強みを活かせる闘い方を知らないタイプのおバカさんだね。』


 "なるほど…頭はあんまり良くない…と。"


 「とにかく帰るよ…詳しい話はご飯食べながらしたい。」


 "うん!気をつけて帰ってきてね!"


 「ほーい。」


ピッ


 電話を切る。それと同時に、私はアイツが言っていたことを思い出していた。








 ー へへへ…おやつだおやつ ー








 あの発言と…返り血の量。既に誰かを襲ってきた後だったらしい。


 「…明日学校に行けばわかると思うけど。多分誰かだ…クラスメイトの…。」



 犠牲者が増えたらしい…しまった。私の失態以外の何でも無い。


 犠牲者には本当に申し訳ない…私が不甲斐ないばかりに…。


 いよいよ正体を出したね…これ以上の犠牲者は絶対に出さない…!



 取り敢えず帰って…ライミちゃんと作戦会議だ。





















☆次回予告☆


 アンナの隙をつき逃亡したアルマジロ:ディストート。

 誰にも知られてはいけない闘いに、まさかの目撃者が!?


───次回!


第10話


【秘密拠点へようこそ】!


 一緒について来てくれ!

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