【生存者―サバイバー―】
《7月2日(火) 東京 PM12:08》
私には、なんというかこう…モヤモヤ?っていうのかな。
何かが心のなかで引っかかってる的な?
なんか、そんな感じ。
別に変なことが起こったりとかではなくて、今日も普通の日常を送ってて。
友達がいて、学校に来て、それだけ。
それでもね。
心のなかに何か引っかかってるの。
スッキリしないんだよねぇ…あ、もしかしてこれが思春期ってやつ?
ウソ〜…もう私、思春期に突入したの?
この前11歳になったばっかなのに…。
私は
安達雛鳴は思春期なのか…。
いや、違うか。
なんかそんなものじゃないんだ。
具体的に言うと…なんだろう。
モヤッとしてるって言うか、自分の頭の中がさ、霞んでる感じでさ。
なんか思い出せないんだ、昔のこと。
うん、いやまあ私は確かにここにいて。
1人の小学5年生としてここにいてさ。
それは変えようのない事実じゃん。
けど、それ以前の記憶がなんか…そもそも無いみたいに感じちゃって。
いや、少しだけと言うか…ほんの一部だけというか…ごっそり記憶から消えてる感じがする。
しかもそれがなんだか…絶対に忘れちゃいけない記憶のような気がして…。




