第30.5話【とある山奥にて…】
アンナ達が電車に乗る少し前────
《とある山奥の廃神社》
がぁ!がぁ!
「うむ!何時も忝のうござる!」
ここは誰も知らない山奥の廃神社。
誰も通りかからないのを良いことに、組織が実験用の土地として管理している場所だ。
主に霞留博士が独自のアプローチで品種改良した植物の研究観察地として機能している。
1年間ずっと実がなる果物の木
4つ葉しか生えないシロツメクサ
そして────
7月になっても散らない桜。
そこには、カラス達が持ってきた組織からの支給品を受け取る男が1人。仕事を終えたカラスにご褒美の餌を与えると、それを嬉しそうに啄んだカラスのうちの1匹が、男の肩に乗る。
男の名は伊賀珠影狼、SMOoDOのエージェントの1人である。
カラスが運んできた箱を開ける。
入っていたのは組織から支給された、影狼専用の装備一式であった。
「うむ!これだけあれば…!」
一つ一つ手にとって品定め。次の任務に必要な装備だ。壊れていないか?使いにくくないか?全てに目を通し確認する。
その時─────
「影狼殿!」
ひゅっ
しゅたんっ
「夜虎!気配を消すのが板に付いてきたでござるな!」
「いやはや…これも影狼殿の熱意ある指導の賜物でござる!」
何もない場所に急に現れた夜虎と呼ばれる少女。
「影狼殿!今回はどのような任務で?」
「うむ…少々厄介な内容の任務でござる…久方ぶりに戦闘になるやもしれぬ…。」
「なんと…この夜虎、どこまでも貴方様と一緒に』
夜虎がそう言いかけたところで、影狼が手を伸ばし、彼女の口に人差し指を押し付ける。
「いや…今回の任務は危険ゆえ、御主を連れて行くことは出来ぬ…すまぬ。」
それを聞いた夜虎が、影狼の手を掴んで払いのける。
「ぷはっ…な、なにゆえ!?夜虎は影狼殿のアシスタントでござるよ!」
「むしろアシスタントだからでござる…御主を危険な目に合わせられぬゆえ…わかってほしい。」
「影狼殿…!」
「それに今回の任務は拙者1人ではない!頼れる仲間達と共に当たるゆえ、心配無用でござる!」
「頼れる仲間…とは!?」
「うむ!ルリ子殿にアンナ殿、そして紫葡殿と何やら近頃その名をよく耳にするエージェントの娘にござる!」
「そ…それは…お、おなごばかりではござりませんかッ!」
「そうでござるが?」
「そ、そうでござるが?ではなくて…そうではなくて…。」
「安心するでござる!心配無用…拙者の許嫁は、同じ村で生まれ育ち、ともに忍びの道を歩んできた夜虎、御主だけにござるよ!』
「…影狼殿…。」
「わかったら、今回は大人しく吉報を待て。拙者たちがいない間の事は任せるでござる!」
「…はいっ!この夜虎、皆様方の吉報を大人しく待っておりまする!必ず…必ずどうか御無事で…!」
「うむ!ああ…それと夜虎、拙者が留守の間だけ頼みたいことが…。」
「夜虎に頼みたいこと?」
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「─────と言うことでござるが、頼まれてくれぬか?」
「お安い御用でござる!」
「かたじけない!では、拙者はこれにて!」
ボンッ
ドロンッ
「行ってしまわれた……………………影狼殿、皆様方、どうか御無事で…!」
【設定を語ろうのコーナー⑮】
☆百地夜虎
《プロフィール》
◯出身地…三重県・伊賀
◯誕生日…2011年9月1日(9→くの、1→いち)
◯年齢…13歳
◯身長…150cm
◯体重…45kg
◯好物…たらの芽、どじょう
◯好きな音楽…グレイの曲
◯好きな本…少女漫画(最近知った)
《備考》
SMOoDO所属のアシスタントで、担当エージェントは伊賀珠影狼。影狼と同じく忍術を操る、所謂くノ一で、出身も影狼と同じ三重県の村。
実家ぐるみで仲が良く、祖父同士が互いを許嫁にしたため、影狼が組織からスカウトされた際に一緒についてきた経歴を持つ。
SMOoDOは当初、彼女をエージェントとして育成するつもりだったが、本人の希望で影狼のアシスタントとなった。
しかし、少しでも影狼の力になりたいと、わざわざ組織に申し出て、エージェントと同じ育成カリキュラムのトレーニングに励んでいる。無論、本来はアシスタントにはアシスタントのカリキュラムがある為、そちらのトレーニングも合わせて。健気な少女である。
当然、他のアシスタント達と違って戦闘もこなせる。また影狼にも見劣りしない忍術も身に着けており、アシスタントとしての腕前は頗る優秀である。
家事もこなすわ仕事もこなすわ、オマケに可愛いわと非の打ち所がない。
そんな夜虎の事を、影狼本人も非常に大切にしている。
ただ、学校の勉強にはかなり苦戦している上、現代社会において少々世間知らずである。




