番外編【アイドルとサイン】
「…………………。」
「////」
「♡」ニコニコ
「………いやどういうこと?」
「タエコちゃんにサイン書いてあげたの♡」
「これ…これ…いつも持ち歩いてるお守りで…近所のお店のお手伝いとか新聞配りとかして貰ったお小遣いで買ったんだ…CD…!」
「そのCD…まだ私達がそんなに売れてなかった頃に出したCDなんだぁ〜。ほんとに最初期だけど…手渡ししたりビラ配ったりしてた頃に出したやつ。」
「そんな頃から好きなの?」
「私…本当に本当に…毎日学校でみんなから嫌なことされても…ドレミちゃんたちの曲に…励まされて…。」
「タエコちゃん………◇」
「私、ほんとにいなくなったら楽なのかなって思った時もあって…それで…泣いちゃって…でもママに心配かけたくなくて…それでね…いっぱいドレミちゃんに元気もらって…それで……………ッ」
「ギューッ…☆」
「!」
「私もね…本当にファンの皆に幸せ届けられてるのか不安になる時あるんだ…泣きたい時もあるし…逆にファンの皆に元気もらったり…まだまだ全然最高のアイドルじゃないけど…でもタエコちゃんが…もし居なくなっちゃってたら今日知り合いになれなかったから…タエコちゃんがちょっとでも幸せになってくれてたってわかったから、私もアイドルやっててよかったって思えたから!だから…もう死んじゃおうとか思わないで…ね。」
「…………………………ッ…〜〜〜〜〜〜〜ゥ"〜〜〜!!!!!」
「…………。」
私は下手に話しかけないほうが良いかなぁ…人には、定期的に目の前の壁に立ち向かわなきゃダメな時がある。
きっとタエコの場合、それがこの前までのイジメだったのかな…そんな中で見つけた、いわば命綱がドレミだったってことか…。
夕陽がオレンジ色だ…33階の部屋から見える東京…本当に素晴らしい。
私は昔の自分を思い出していた。
親がいなくて…正しくは顔も知らない。物心ついた時には施設にいた。誰にも心を開けなくて、孤独だった。
もちろん、子どもながらに寂しかった。毎日泣いて眠ってた。同じくらいの子たちは居るけど、それでも友達がいなくて、孤独は辛くて…私は施設を抜け出した事があった。
当時の私、まだ小さな子どもだったから、力もお金も無くて…途中で力尽きて倒れてたらしい。だけど偶然、本当に偶々(たまたま)、私が倒れていた場所は教会の前だった。
そこの牧師さんが私を保護してくれたとの事だった。5歳くらいの時かな…。私は誰に言われたでもなく、神様から助けられたと思ったよ。あの日から、私は新しく始まったのだと確信している。
今この部屋の中で…少なくともタエコにとって、この瞬間からの人生は多分、新しい始まりになると思う。
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《30分後》
「ねぇタエコちゃん♧?」
「…え、はい!」
「連絡先交換しない?」
「…いいんですか?」
「うん…これからも私に元気くれないかな?正直デビューしてから推し変して離れたファンが多いんだけど、こんなに私のこと好きでいてくれる人がいたら…私すっごく嬉しい☆」
「…じゃあ…じゃああの!よ、よろしくお願いします!」
「うん!それと敬語禁止♤!タメ口でいいよ☆!」
「ひゃ〜!」
♡Cruis♡
ファーストシングル
『♡I愛I/PANIC』
収録
1.♡I愛I/PANIC
2.青春B面交響曲
¥1000
※上記写真は忍耐心所有の直筆サイン入りにつき
¥500000




