21.受け止めたい気持ち(レン視点)
短いです!
わかってた。
フェリシアがずっと無理をしていることは。
腕の中で静かに泣いているフェリシアを慰める術が、自分にはないことにレンは悔しさを滲ませた。声を殺して泣くフェリシアにかける言葉が見つからない。
同じ場所にいても、彼女の悲しみと後悔を共有はできないし、想像することすらレンには難しい。ただ、抱きしめて彼女が少しても泣けるようにするぐらいしかレンにはできなかった。
百年は、重い。
全部受け止めたいのに、自分では全然足りないのではないかとも思う。フェリシアの悲しみと後悔を受け止めるためにはどうしたらいいのか、レンにはわからない。
抱きしたり、触れるたびに、フェリシアの細さに驚く。この身に一国を背負い立っていたのだと思うと、レンは自分が酷く頼りない男に見えた。彼女は女王だったのだ。自分とは歩んできた道が違う。
オレは、何にも興味が持てず、やるべきことだけやって所詮のらりくらり生きてきたから。
フェリシアに弟扱いされるのも仕方ないな……。
何もできない自分が悔しくて、レンはギリっと奥歯を噛み締めた。
ふとカイゼント卿の姿が思い出された。騎士を体現するような姿の男であり、レンよりよほど頼りになりそうである。
フェリシアが望むなら……。
せめて今だけはと思い、レンはフェリシアを力強く抱きしめた。
どれだけかたった後、フェリシアに胸を押されてレンはそっと腕の力を弱めた。目を赤くしたフェリシアが、恥ずかしそうに片手で顔を隠しながら早口に言った。
「ごめんなさい……。先に、出るから」
パタパタと走り出したフェリシアは、小さな部屋から逃げるように出ていった。
「……、可愛い」
「そういうところは、王様に似てるよ」
「どういうところだよ」
ウィードの感想にツッコミを入れながら、レンは少しため息をついた。おそらくフェリシアはレンとすぐに顔を合わせたくないだろうから、ここで時間を潰すしかない。外には騎士たちもいるから安全面では問題ないだろうと思う。
「ウィードは、森の主人って言うのに会ったことあるのか?」
「あるよ」
「え、あるの⁉︎」
「一回だけ。でも、姫様がいた時だからなー。僕だけじゃ無理かも」
手記には精霊姫でも数回だけあったことがあると書かれていた。そのうちの一回にウィードもいたということなのだろう。
「なんか手はない?」
ウィードがぐるぐるとレンの頭上を周りながら何かを考えるようなポーズをとっているが、人間ように難しい顔をしている。
ひらりと一回転し、レンの目の前に降り立つと人差し指を立てて言った。
「姫様の代わりを連れて行く?」
「……、精霊姫の代わりなんていないだろ」
碌な答えが出ず、レンは肩を落とした。フェリシアのためにできることはなんて少ないのだろうか。




