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大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる  作者: 遠野紫
新たなる旅立ち

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56 目覚め

「……ファル!! ……夢……か?」


 ファルが消えてしまう夢……。ファルが消えてしまう瞬間、目が覚めた。夢で良かったと心から安堵する。

 辺りを確認すると、ここはどうやら自然豊かな森の中のようだ。


 最後の記憶は、地上を魔力爆発から守ろうとしたところで止まっている。それ以降何があったのか、どれくらい経ったのかもわからない。

 とりあえず体を動かそうとするが。


「うぐっ……」


 体は動かなかった。鈍い痛みも続いている。幸いこの程度の痛みは気が狂う程のものでは無いので、ひとまずは安心だ。

 俺は体の状態を確認した。まず驚いたのは何故か一番最初に龍転身を使った時の姿になっていたことだ。俺はデオスの基地を破壊するために母衛星を取り込み、『緋星龍』に進化したはずだった。だが今の俺の姿は一番最初の、イル・ネクロを倒した時の姿になっている。

 とは言え理由がわからないため、今の俺にどうにかできるものでは無いことは確かだった。

 

 体の大部分は深い傷を負っている。恐らく魔力爆発の衝撃によって付いたものだろう。この傷のせいで体が動かなかったと考えて良さそうだ。

 すぐにでも回復させたいところだが、生憎と俺は回復魔法は使えないため自然治癒するのを待つしかない。自然治癒能力強化の付与魔法をエンチャントしたため通常よりは早く治るだろうが、どれでも数日はかかってしまうだろう。


 何もせずこの森の中でぼうっとしているのにも飽きてきた。通信魔法を使ってガルデやメル、リアに通信を入れるが返事は帰ってこない。無事だと良いのだが。

 それに俺の中にいるはずのファルとも会話が出来ないのだ。俺の体が緋砲龍よりも前のものになっているため、つい最悪の状況を考えてしまう。ファルの精神はもう俺の中にはいないのでは無いか……と。


 ガサッ


「何だ!?」


 目が覚めてから初めての日暮れを迎えようという時、近くの草むらが揺れた。すぐにその音の方を向く。

 その草むらから出てきたのは、エルフの女性だった。


 エルフの女性というだけであればそれほど珍しいものでは無い。しかしそのエルフの女性は俺にとって大事な存在だった。


「……ラン?」


 俺は思わず声に出していた。


「むっ!? 何故このような場所にドラゴンが……! ……いや、今私の名を呼んだような?」


 ランは困惑している。彼女の言葉から察するに、この辺りには本来ドラゴンはいないのだろう。

 それにそのドラゴンが自分の名を呼べば、そりゃ困惑するに決まっている。

 とは言え、あの時別れの挨拶も無く離れ離れになってしまったランにこうしてまた会うことが出来たのだ。何か心の奥から湧き上がるものが有る。


 しかしその場合一つの問題点が出てくる。ここにランがいるという事は、ここは箱庭の中ということになるのだ。俺の意識が無いうちに再度箱庭の中に入れられたという事なのだろうか……。


「……一つ良いだろうか」


 ランがそう話しかけてくる。


「君を見ていると、何か大事なことを忘れているようなモヤモヤとした気持ちが湧き上がってくるんだ。もしかして以前どこかで出会ったことがあったりするだろうか?」


「……!」


 ランからは俺の記憶が消えているはずだった。ガルデがそう言っていたのだ。しかし目の前のランは、ほんの少しながらも俺についての記憶が奥底に眠っていそうだった。


「……サザンという男を知っているか」


「サザン……恐らく会ったことは無いはずなのだが、何か引っかかるものが有るな……」


 ランは俺の言葉を聞き、考え込む。やはり完全に俺についての記憶が消えているわけではなさそうだ。それでも今この状況で俺がサザンだと言っても何も進まないだろう。


「わからないなら良いんだ。気にしないでくれ。……それと君はエルフのようだが、ここはエルフの里の近くなのか?」


「ああそうだ。この森の奥にエルフの里がある。私はそこで傭兵をしているんだ。今もこうして周囲の見回りに来たら君がいたというわけだ」


 エルフの里があるという事はやはりここは箱庭の中と考えて良いだろう。

 問題は何故、箱庭の中に居るのかという事なのだが。


 しばらくするとランは俺に近づき、傷を負った外皮を間近で見る。


「見たところかなりの重症のようだが、大丈夫か?」


「ああ、数日すれば回復するだろうから心配は無い」


「流石はドラゴンだ。それならまだここに居るということだな? また明日来ても良いだろうか」


「構わないよ」 


 日も暮れるという時間だったため、ランは帰っていった。とりあえず故郷と上手いことやっているようで安心した。


 次の日、昼頃にまたランはやって来た。


「ポーションでもあれば良かったんだが、そういくつも用意できるものでは無いからな……」


「気にしないでくれ。数日経てば回復する俺よりも、もっと必要としている人だっているだろうから」


「君は優しいな。……昔、君のように優しい人と一緒にいた気がするのだがまったく思い出せんのだ。すまない、変なことを話してしまって」


 ランの中に確かに俺の記憶はある。だが大部分が消去されてしまっているために、俺と言う個人を思い出すまでには至らないのだろう。

 それより気になるのはポーションが手に入り辛いといったニュアンスの言葉だ。ポーションなんて性能を気にしなければどこの村の商店でも手に入る代物だ。それが手に入りづらいというのはどういう事だろうか。もしやイル・ネクロのように通商を破壊する魔物が現れたのだろうか。


「ポーションがいくつも用意できないというのは……何か理由があるのか?」


「知らないのか? 数年前に大災害が起こり、世界のほとんどは生物の住めない死の世界になってしまったんだ」


「……何だって?」


 ランは、大災害と言うものについて語り始めた。

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