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大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる  作者: 遠野紫
起動迷宮

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46 別れは唐突

「うぉぉぉぉ!!」


 砲塔を失ったが、それでもまだ体は動く。物理攻撃が効かないと言っても巨砲龍の巨体ならその限りでは無いはず。そう信じて、爪や牙で攻撃を続ける。

 だが現実はそう甘いものでは無い。爪も牙も、起動迷宮の圧倒的な硬さの前には歯が立たなかった。すぐに限界が訪れ、粉々に砕けてしまう。何度再生させて攻撃を繰り返そうが状況は変わらない。むしろ魔力が減っていくため状況はどんどん悪化していく。


「もうやめてよサザン!」


「駄目だ……! 俺がここで止めなければ、他に誰が止められると言うんだ!!」


「それは……そうだけど……」


 リアは悲しそうな声で無き叫ぶ。だが、止まることは出来なかった。俺は正気を失っていたのかもしれない。盲目的にただ起動迷宮を倒すことだけを求めていた。

 だから、起動迷宮が攻撃の準備を進めていることに気付けなかったのだ。


「サザン!」


 ファルによって横に突き飛ばされる。そのすぐ後、ファルは炎に包まれた。


「ファル!?」


 起動迷宮の魔法攻撃を受け、ファルは体の大部分を失った。それでも命を維持することが出来ているのは魔人としての高い魔力が声明を維持しているためだろう。それでもそう長くはもたない。


「ファル……すまない……。今ポーションを……」


 ファルを回復させるための回復ポーションを回収しようと船を探すが、見当たらない。俺たちの戦いに巻き込まれ海の中に沈んでしまったのかもしれない。

 俺の所持している回復ポーションを取り出すには一度龍転身を解除する必要がある。しかしそうする前に、俺はファルの魔力の異常に気付いた。それはルネアが自爆しようとした時に感じた異質な魔力の膨れ上がり方と同じものだった。


「ファル……何をする気だ……?」


「このままでは勝ち目は無い。だが我の全魔力と全生命力を放出すればあの硬い体も貫けるかもしれん……」


「待て……待ってくれ……!」


 俺はファルの元へ向かおうとするが、間に合わなかった。ファルは起動迷宮に張り付き、自身の全てを解き放つ。エルフであるルネアの自爆魔法は次元迷宮を崩落させるほどの威力があった。そしてその何百倍何千倍と言う魔力と生命力を持つファルによる自爆は、ルネアの比では無いほどの威力を誇っているのは当然だった。


 辺り一面は真っ白に染まり、しばらく何も見えなくなる。時間が経ち、徐々に光にやられていた目が治り視界がはっきりしてくる。

 その目に飛び込んできたのは、半身を失った起動迷宮だった。


「これでも……倒せないのか……?」


 ファルの全てを使った自爆でも、起動迷宮を倒しきることは出来なかった。メルたちを守るために爆発範囲を抑えていたのも裏目に出たのかもしれない。


 だがファルの犠牲を無駄には出来ない。例え死ぬことになっても、最後まで戦い続ける。その必要が俺にはある。

 砲塔を失っている今の俺が起動迷宮に対して出来ることは、自爆魔法だけだ。メルたちを……あのローラ諸島を……そして俺たちの故郷を救うためには俺は今ここで命を落としても構わない。

 そう考えていた時だった。ファルの自爆によって破壊された起動迷宮の破片が、砲塔のあった場所から俺の体内に入ってきた。その瞬間、俺の体に異変が起こる。


 俺の外皮は起動迷宮と同じような、金属質な緋色の外皮に変異する。そして砲塔のあったところには新たに外皮と同じ材質で構成された巨大な砲塔が生えてくる。

 変異が終了すると同時に、俺の中に『緋砲龍』という文字が浮かび上がってくる。俺は起動迷宮の素材を取り込むことで、巨砲龍から緋砲龍へと進化したのだった。


 起動迷宮は俺に向けて魔法を発動する。同じ材質の体を持ち、俺にはさらに付与魔法がある。そのため、起動迷宮の攻撃は俺には通用しなかった。

 ファルが残した置き土産。それが俺の命を救うことになったのだ。


 今度は俺の攻撃だ。俺の新たな魔力砲は、その威力が遥かに上昇している。全魔力を使わなくとも、起動迷宮の体を貫くことが出来た。

 少しの魔力で撃ちだすため連発が可能であり、あっという間に起動迷宮は海の藻屑となったのだった。





「ファル……」


 最後に見たのは魔人と化したファル。魔人状態では表情はわからない。それでも、彼女は最後ほほ笑んでいたように感じた。


「ファルちゃん……もう、会えないの……?」


「悲しいけど、受け入れないと……」


 決して長い間一緒にいたわけでは無かった。それでも彼女は俺たちの立派な仲間なのだ。彼女のことは決して忘れない。忘れてはならない。この世界は彼女に救われたと言っても良い。それほどの功績だ。だがそれを知る者は俺たちしかいない。彼女が魔人であることを知っているのは俺たちだけなのだ。


「貴方がサザン様ですか」


 気配も無く、いつの間にか隣に男が立っていた。


「……そうですが、何か用でしょうか」


「サザン様が正真正銘の英雄になられたので、お迎えに参りました」


「なんだと?」


 英雄……? この男は何を言っているんだ。


「おい、サザンは起動迷宮の討伐で疲労している。話なら明日……」


 そこまでランが言った時、男は次元迷宮の中で見たような火薬銃を取り出しランの眉間を撃ち抜いた。


「……ラン……?」


 突然のことに一瞬理解が追いつかなかった。しかし時間が経ち状況を理解してくると、俺は怒りに支配された。


「お前……何を……!!」


 男の方を向く。しかし一瞬早く、男は俺の眉間に火薬銃を突きつけた。


「あまり問題は起こしたくないのですが……仕方がありませんね」


 男はそう言って俺を撃ち抜いたのだった。

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