表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる  作者: 遠野紫
王国の危機

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/76

31 代償

「……え?」


 ブレスを食らい死ぬはずだった自分がなぜまだ生きているのか。

 ファルにはわからなかった。


 イル・ネクロを確認すると、龍型の魔物にブレスを阻止されている。

 だが、その魔物からは身近な男の魔力を感じた。


「……サザン?」





「嫌な予感がする……」


 俺がいくら急いだってファルの元にたどり着くまでに時間がかかる。

 それでもこの嫌な予感がある限り、少しでも時間が惜しい。


 であれば、あれを使うしか無い。

 ファレルロの人化と魔人化の付与魔法を制作するときに思いついた付与魔法。

 この付与魔法を使えば、短い時間でファルの元にたどり着ける。

 

 しかしこの魔法にはまだ未知な部分が多い。

 どんなデメリットが発生するのかもまだわからない。


 だがそれでも、今ここでやらずに後悔するくらいなら俺はどんな代償でも背負ってやる……!


「エンチャント……龍転身!! ……あがっ!?」


 魔法を発動した瞬間、全身に焼けるような痛みが走る。

 痛覚を抑える付与魔法をかけていてなおこの痛み。付与無しでは耐えることは出来ないだろう。

 

 全身がミチミチと肉のちぎれるような音を立てながら肥大化していく。

 それと共に、体中にどんな攻撃でも弾き返せそうな堅牢な鱗が生え始める。

 背中からは立派な翼が生え、手足の爪は鋭利なものへと変質する。

 体は王国の城壁を超える程に大きくなっていき、口にはどんなものでも食いちぎれそうな程に大きく鋭い牙が生える。


 何も異変が起こらなくなった時……俺は龍型の魔物へと姿を変えていた。


「あぁ……とりあえず成功……で良いのか?」


 この付与魔法は龍型の魔物に姿を変えるものだ。しかしそのためにはこの恐ろしいまでの苦痛に耐える必要があり、そう頻繁に使えるものでは無い。

 ただそれだけの代償もあるため転身後の能力上昇は期待できる。

 身体能力は龍型の魔物に恥じないものにまで引き上げられ、それでいてエンチャンターとしての低い攻撃能力を龍の力で補うことも出来る。


「よし、今行くぞ……ファル!」





「……サザン?」


「ああ。どうやらギリギリだったみたいだな」


 あと少し遅れていればファルは完全に塵と化していただろう。

 本当にギリギリだった。


「後は俺に任せてくれ」


 イル・ネクロは再びブレスの準備を始める。

 明確な脅威として俺を認識したのか、その目からは殺意が伝わって来る。

 しかし守るべきものを背負っている俺は、その程度で臆したりはしない。


 あのブレスを受ければこの龍の体と言えどダメージを負ってしまうため、放たれる前に後ろに回り首に噛みつく。

 俺に噛みつかれていることでブレスに必要な魔力を集めることが出来ないのか、イル・ネクロはひたすら藻掻くだけでブレスを放つことは無い。

 そのまま首を噛み切ろうとするも、あまりの暴れっぷりに勢いよく振りほどかれてしまった。

 

 今度はイル・ネクロが俺の首を噛もうとするが、俺はそれを避け爪でヤツの首を切り裂いた。その攻撃が先ほど噛みついていた部分に命中したためか、出血を伴う傷を負わせることに成功する。

 今の攻撃とファルとの戦いによるダメージの蓄積が実を結び、隙が生まれた。

 その隙に、今度は俺がブレスを撃ちこむ。

 練り込まれた魔力により放たれたブレスはイル・ネクロが先ほど放ったものよりも遥かに高威力であり、命中したイル・ネクロの頭は大きく吹き飛んだ。


 それでもヤツは動き続ける。

 頭が無くなっても首や足を薙ぎ払い続け、全く攻撃の勢いを緩めようとはしない。

 それほどの生命力がこのイル・ネクロにはあった。


 しかし頭を失ったことによる出血と魔力の漏れ出しは抑えることが出来ず、数分間暴れまくった後に動かなくなった。


「終わった……のか?」


「サザン!」


「うぉっ!?」


 ファルが首に抱き着いてくる。

 片腕しか無いためアンバランスにはなるが、それでもしっかりと俺の首にくっついている。

 ただこの状況。周りから見ると龍の首に魔人が抱き着いているという謎過ぎる状況なのだ。


「ファル……。お前が魔人の力を解放したのは人のためだよな。それはわかってる……でも」


「こちらこそすまない。我はサザンとの約束を破ってでも人を救おうとしてしまった……」


「いや、それがファルの生きる意味だって言うのは俺もわかってる。だから何かあった時のためにこうして準備していたんだから」


 この龍転身の魔法も、より強い存在が現れた時のための最終兵器として作り出したものだ。

 俺は強くならなければならない。

 守るべきものを守り通せるように。


「……不味い」


「どうした? ……おいサザン!? 返事をするのだ!!」


 突然、視界が歪む。上手く立っていられない。

 次の瞬間には気付かない内に地に伏しており、体が動かせなくなっていた。


 俺はそのまま立ち上がることは出来ずに、意識を失った。


王国の危機 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ