表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/48

とある隠された真実

※サブタイ的にはシリアスっぽいですが、冒頭から中二入りま~す( ̄▽ ̄)ゞ※

誤字報告あざます(´Д`)ゞ見逃してたので助かりましたヾ(;゜;Д;゜;)ノ゛


「私は既にその名を棄てた。今はただのネッサ。心の女神・キアたんをで奉ることでその身に流れる不浄シュロスを少しでも抑えているわ。だけど、そんなキアたんがお義母さまと慕うスノウさまを救うため、私は再びその呪縛シュロスに縛られることを選んだ。けれどマミー・ザ・リスペクトティアンサの遺言を果たしたあぁ無常いまっ!私は再びその名を棄て、ただのネッサとして生きるの」


あぁ、ネッサさま。前話のユリウスのツッコミの通り、まともに会話ができたのも束の間。ネッサさまは再びネッサさまに戻ったようだ。

―――うん、お帰り。


そして、口元だけは半月状の笑みを浮かべ、無感情のお父さまの前で中二を全開にできるネッサさまはもはや生粋の中二と言えよう。きっと中二と書いて“ゆうしゃ”と読むに違いない。


「―――つまり、スノウさまはシュロス侯爵家によって何か魔法か呪術のようなものに縛られていたってことでしょうか。それも直系の血筋が継承し、そしてくこともできる。けれど、本当にそんなことができるだなんて知られたら相当のスキャンダルですよ」

原作小説にはまるでなかった要素である。


「だからこそ爵位を与えられ、そして王国内でも相当な権力を持つのだろうね」

そう、お父さまが淡々と口にする。


そんな危険な代物を扱うが故に、古参の貴族の血を脈々と受け継いできたってわけね。


「ま、それも君を除いて直系も傍系も滅びた。今その方法を知るのは君だけだね」

感情のない双眸でニヤリとほくそ笑むお父さまの気配が、ぞっとしたものに変わるのが分かった。そのために、お父さまは陛下と契約を交わして、処断できる時が来たら徹底的につぶすことにしてたってこと?


「申し訳ないけどゴッデスファーザー」

あの、ネッサさま。お父さまのその呼称は、私のお父さまだからって言う意味でしょうか。決して文法的なことを照らし合わせてはいけない。


「解除方法は知ってはいても私はそのシュロスの呪いの使い方は知らないわ。私が知っているのは、女神キアたんの神々しさだけなのだから」


「まぁ、このようにちょっとだけ変わった方なので大丈夫ですよ。お父さま」

例え知っていたとしても、ネッサさまはそれを利用したりはしないだろう。誰かが悪意を持って彼女に近づいたとしても、彼女の中二力にはかなうまい。


「ふぅん、継承していたのは解除方法だけか」

まぁ、お父さまもぞっとするような気配は抑えてくれたのでホッとした。


そしてバタバタと足音がして、寝室の扉が乱暴に開かれた。


わぁ、結構早いお帰りだった。


「ルシアン!何故貴様がここにいる!」

イライラしているのが肌で伝わってくる。淡い青い色の瞳がギラリと光り、その場の空気が凍り付くような雰囲気を纏ってきたのは、この大公邸の主である大公閣下であった。


「やぁ、お帰り。シュロスの件はアレクから聞けたかい?」

「あぁ。そこの客人のこともあったから、急いで帰ってきてみれば。表にお前の子飼いの従者がいたから急いでここに来た」

その子飼いの従者とは間違いなくエースのことだろうな。


「マリカは」

大公閣下がその名を呼ぶ。


「あれはマリカではない。マリカはもうとっくに死んでるからね」


「は?」

大公閣下の顔からさっと血の気が引く。大公閣下は原作小説のように決してスノウさまを冷遇してきたわけではないのだろう。だからこそ、“死んでいる”という言葉にビクンと反応した。


「本当の名はスノウさまと仰るそうですわ。閣下」

しかしそんな凍り付いた空気を一瞬で溶かしたのは、再びのまともな喋り方のネッサさまであった。何だろう。実はすっごく頼りになるこのお姉さん力は!


「本当の名?おい、どういうことだ!」

大公閣下がお父さまに迫る。


「ん~、どこから話をしようか~」

それでもお父さまは相変わらず表面上の笑みを崩さない。だからこそ人格破綻者とか言われるのわかってる?全くもう。


―――


その昔、雪深い人里離れた地に逃げ延びた女性がいた。その女性がマリカさま。そして先々代シュロス侯爵(※ネッサさまの曽祖父)の愛人の子であった。そしてその美しさから先代(※ネッサさまの祖父)に気に入られ、人形のように育てられた。しかし先々代の死と共に呪縛が緩んだ隙に逃げ出した彼女は、雪深い地で一人暮らしていた私の祖父と出会い、お父さまとスノウさまが産まれた。


しかし、マリカさまが諦めきれなかった先代は彼女を探し求め、そしてマリカさまにそっくりな少女を見つけてその隠れ家を突き止め抵抗する一家をスノウさまを除いてみなごろしにした。そしてスノウさまはシュロス侯爵家に連れ去られ、先代の妾子として血の呪縛をほどこされて育てられた。そしてその呪縛は自分のせいで家族が殺され、母の成り代わりとして生かされていると言う苦悩の中で精神を病んでしまった。それすらも血の呪縛の影響だったわけだが。


そして、そんな中先代は国王陛下の妃候補としてスノウさまを遣わすが、スノウさまは王妃に選ばれず王弟である大公閣下に下賜され結婚した。


父親への自責の念があったスノウさまは、父親とそっくりな色を持つユリウスを本能的に恐れた。そして呪縛によってスノウさまのせいで死んだと強く思いこまされていたのにも関わらず、日に日に父親の面影を濃くしていくユリウスが存在する矛盾にとうとう耐え切れずに発狂してしまった。


―――けれど、ここで疑問がひとつ。


「その話が本当なら、お前は一体誰だ?」

大公閣下の鋭い双眸がお父さまを映す。そう、お父さまはお父さま自身が語った話の中でシュロス侯爵家によって亡き者になっていた。


「俺は本物だよ。スノウと正真正銘血の通った兄妹。ただバケモノだったと言うのが彼らの想定を超えていた。確かに重傷は負ったけれど、肉体は自動的に修復されたから。気が付いた時にはバラバラになった両親の前にいただけ」

尋常ならざる肉体修復能力を持っていたお父さまは、シュロス侯爵家の意図とは反対に生き残った。そうして私も産まれて、お父さまに命を助けられたのだけど。

その過程にあったお父さまの過去を聞いて、胸が痛んだ。


「俺は秘密裏にあの一族について探っていた先代のおさに拾われたからね。それからカイルの嫁がスノウだと気が付いたのは、先代の長からその地位を引き継いでから知らされたんだけど」

“長”って何のことだろう?まぁ、国王陛下のめいでお仕事をしているのは知っているけれど。間違いなく部下の方たちのまとめ役のことよね。


「俺は血縁者だから、ギリギリまで隠された。それだけだよ」

そう言って悪戯っぽい笑みを大公閣下に向けるお父さま。


「それで、シュロス侯爵家を潰す大儀名分ができたから、始末してきたと言うわけか」

「うん。そう言うこと」

「スノウの、両親の仇を取ってきたということか」


「―――さぁ?」


「は?」


「そこら辺はよくわからないなぁ。特になんも感じないし。キアに手を出したのは許せないけどねぇ。ごめんね、俺の世界にいていいのはクレアとキアだけだから」

クレアとは、お母さまの名前である。


「クレアをあのジジイに連れて行かれた時は血祭りにあげようと思ったけど、先代長とアレクの許可が下りなかったからねぇ。ただでさえスキャンダルだったし、クレアも俺のあるじの弱点になるものをあのジジイに利用されたくないと言ったから」

確かに、お父さまは元々平民で、元は公爵令嬢であったお母さまとは身分が釣り合わない。

―――だから、国王陛下はお父さまに爵位を渡す準備をずっとしていた

そしてお父さまが引き下がったのは、お母さまが陛下を当時の公爵であった母方のおじいさまから守るためだった。


そう考えると、本当に碌なやつらじゃなかった。ノグレー公爵家の祖父と叔父は。これからはオリヴィア姉さまが立て直してくれるけど。


「シュロス侯爵家はさすがに、ノグレーの時とは違って取り潰しになるよ。爵位も取り上げられるだけじゃない、永久的な廃爵が決定された。そこで困るのはそこのご令嬢だね」

「いいえ、麗衣嬢れいじょうよ」

いや、そこはどうでもいいですネッサさま。本人的にはこだわってるみたいですけど。

あぁ、さっきのまともなネッサさまはどこへいったのか。


「ウチで引き取るのはどうです?」

取り敢えず、害は一切ないと思う。ネッサさまに関しては。


「一応今回の功労者ですよね」

すぐ吐血するけど、それでも彼女がいたからスノウさまを解放することができて、何と言うか場も和んだよねっ!うん、すっごく!

あと、吐血するほどな彼女の病弱性がめっちゃ心配。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ