ネッサの証言
※吐血注意報発令中
※中二注意
「我が名はこの混沌世界を終末に導く古城の麗衣嬢」
※なお、上記セリフに誤字はありません。ただの中二です。
「あの、そう言うのいいのでとりまお名前は?どこのお宅のご令嬢で?」
「え~、げほっ、ごほっ。私の名前はヴァネッサ・シュロスよ」
シュロス?シュロス侯爵家の?
「では、ヴァネッサ嬢。まず順番に聞きたいのですが」
「いいえ、その名は既に棄てたの。私のことはネッサと呼んでいただいて構わないわ」
棄てたと言うか、ただの愛称よね、それ。
「では、ネッサさま」
「いいわ。私はただのネッサ。あの日あのクソオヤジに封印されし古城から連れ出されてから、私はただのネッサになったのよ」
と言うことは、この方はお父上に軟禁でもされていたってことかな。
「そのクソオヤジさんは一体どのような方なのですか?」
「あれは、あれは恐ろしい男。幻想の中の異母姉・マリカを追い求めるただのシスコンの変態。しかし実情はマザコンよ。いい?重要なことだから2回言うけれど、あれはマザコンなの。いいえ、そのマザーですらあのクソオヤジが作ったただの幻想。私のマミーはエレガントディアンサ。グレートマミーは政略結婚という名の権力と言うしがらみに雁字搦めにされな憐れな仔羊。グレートマミーはマリカにはなりえなかったの。しかしながらマリカは既にマリカではなく、あのクソオヤジは真なるマリカがないのであれば、自ら作ってしまおうと思ったの。神でもあるまいしおこがましいそのクソオヤジの滾る欲望は、愚かにも崩れ去ったのね」
「ちょっと何言っているかわからないのだが」
と、ユリウス。
「えぇっと。まず、ネッサさまはシュロス侯爵令嬢で、あのクソオヤジさんはネッサさまの戸籍上血筋上のお父さまですけど、ネッサさま的にはクソだったと言うことでしょうか」
「えぇ、そうね。話が早いわ」
当てずっぽう入ってるけど一応当たってた。
「そして、ネッサさまのお母さまはエレガントディアンサさま」
本名かどうかは不明だが。
「でもシュロス侯爵閣下が真に愛していたのがマリカさまだけれど、それはお母君でもあると言うっこと?更にややこしいことに、シュロス侯爵閣下の実母であるネッサさまのおばあさまではなく、義理のお母さまであるマリカさまを慕っていたと」
「えぇ、そうよ。さすがは女神。理解が早くて助かるわ」
「キアでいいですよ」
「わかったわキアたん」
いや、だからって何故“たん”を付けるよ別にいいけども。
「すごいなキアたん。よくそこまでわかったな」
ユリウスも感心しているところ悪いのだけど、何でユリウスまで“たん”付けてんだ。
「ですがそれだと、お話の中で“マリカさま”がお2人いらっしゃることになりますね」
「えぇ、2人いるのよ。私の亡きエレガントディアンサマミーがかつて言っていたわ」
侯爵夫人は既に亡くなられていらっしゃるのか。
「クソ先代ジジイはかつて逃してしまった脳内マリカを溺愛しており、クソオヤジも2次元マリカを敬愛していた。そして時を経てクソ先代ジジイが連れてきたのは、マリカそのもの。クソオヤジはマリカそのものに酷く傾倒していたけれど、貴族麗衣嬢の悲しい定めからは逃れられなかった。だからこそ国王陛下に嫁がされ、第2のマリカもクソオヤジの元を去った。けれど、第2のマリカは王妃になりえず、そして王弟に下賜された挙句、壊れてしまった。だからこそあのクソオヤジは目論んだの。この憐れな呪われた運命を背負った麗衣嬢私を使って第3のマリカを創り出す禁断のゲスに手を出したの!」
「何を言っているんだこの麗衣嬢は」
「ユリウス、そこ真似しなくていいから」
「あと、父上はメガネではない。両目合わせて4・0だぞ」
だけど肝心のところは理解していたようである。そして大公閣下めっちゃ視力いいっ!
※なお、国王陛下はイケメンの部類に入る
「つまり、第1のマリカさまは先代公爵閣下の“愛人”だったのかしら」
「いいえ、あれは類まれなる妹ヲタだったの」
「あぁ、兄妹ってことね」
いちいち解説が大変なのだけど。つまり彼女ネッサさまの話を纏めると以下の通り。
―――
マリカさまその1:
・先代侯爵の妹、ただし家系図表に載っていないため非認知の庶子の可能性が高い
・先代侯爵が溺愛していた。しかし彼女はどこかへ姿を消した(政略結婚で嫁がされた可能性もあるがその場合、非認知だとすると奇妙)
・シュロス侯爵もその姿絵に夢中になっていた
・第2のマリカさまが連れて来られた以上は既に亡くなっている可能性あり
マリカさまその2:
・第1のマリカさまにそっくり。母娘かもしれない
・シュロス侯爵が連れてきた
・国王陛下に嫁がすつもりで贈られたが、王弟=大公閣下に下賜された
・つまりはユリウスのお母君であり、私がお会いしたマリカさま
・こちらのマリカさまが精神を病んだため、シュロス侯爵はその息子のユリウスとネッサさまをくっつけて第3のマリカさまを創ろうと考えて私も巻き込みお父さまの逆鱗に触れてシュロス侯爵一門はその報復を受けた。
―――
「すごいわ。キアたんって天才なの?」
ネッサさまが私が書き記した要約を見て驚愕された。いや、むしろ中二っぽく話せるほうがある意味才能に溢れているんじゃないかな。
「問題は、ユリウスのおばあさまがどこから来てシュロス侯爵家から去り、お母君のマリカさまがどこから来たのか。そうだ。ユリウスのお母君はユリウスを他の誰かと重ねていたようなのだけど、ネッサさまは心当たりないですか?」
もしかしたらシュロス侯爵家側に何かヒントがあるかもしれない。
「いいえ。残念だけどこんなイケメンはそんなにはいないわね。あぁ、でも」
「何か気が付いたの?」
「―――そう言えば吐血しながらも虚ろな私の瞼をあげた時、何だかユリウスさまがお2人見えた気がするわ。もしかしたら定期的に分裂してキアたんと双子プレイをしているのではなくて?」
瞼にそのルビ振ったひとに初めて会った。てか、めっちゃそり舌だったすげぇ。
「てかユリウス、まさか本当にそんなプレイする気じゃないよね。困るんだけど」
ただでさえお父さまもいるのに。
「何だ、ダメか。いい案だと思った」
危なかった。もう少しで実践するところだった。てか、そんなことできるんかい。
しかしながら、ユリウスが2人いた?ネッサさまが吐血してヤバめな幻覚を見た可能性もあるけれど、可能性があるとすればあの場にいたの男性はお父さまだけ。もしくは見えてないだけで周りに控えていたお父さまの部下。エースは特に気配を消してお父さまの側に潜んでいたりするから。
それをネッサさまが見たのかな。―――それとも単純に。
「あの、ネッサさま。今から大公邸に行ってみませんか?ネッサさまはユリウスに似ていませんから、恐らく大公妃のマリカさまと会っても大丈夫だと思うんです」
「まぁ、私もちょっと興味はあるけれど。長距離移動は吐くわよ。シュロス侯爵家の領主邸から王都に来るまでも馬車の中で10回くらい吐いたもの」
それで良く生きて辿り着いてくれたと思う。ネッサさまは中二で事情があっただけで悪い方ではないようだし。生きててくれて良かった。
「転移で行く。問題ない」
「何その便利魔法!エレガントディアンサミラクルテレポーテーションと呼んでいい!?」
あの、何でお母君の名前修飾語ようにつけたの?
※余裕があれば本日中にUPしますが期待せずにお待ちください。もしかしたら明日になるかもです(`・ω・´)ゞ※




