愛衣と言い合い
喧嘩するほど仲が良い?
三話です!
昨日から“まい”とDMを送りあった。あんな可愛い子と今まで連絡取り合ったと考えるとサイコーっ。
「……き、はるきっ!」
「ん?」
隣を見ると“まい”らしき子がいた。
「え? まいちゃん!?」
「は? 何言ってるの?」
この喋り方は……。良く見ると“まい”ではなく愛衣だった。そして僕は現実に戻った。
「なんだ愛衣かよ……」
「はぁ!? 何落ち込んでんのよ!? こんな可愛らしい幼馴染みを前にしてどういう了見かしら?」
自分で可愛いとか言うなっ。
「いや、別に……」
「ところで晴樹っ」
「……あんだよ?」
「“まい”って誰?」
「え?」
彼女の方を見ると、あまりいい顔ではなかった。何怒ってんだこいつ?
「ネットの友達だよ」
「なーんだ。バーチャルの友達かっ」
「あっ、馬鹿にするな! その子は現実にいるすっごい可愛い子なんだぞ!!」
「そんなに興奮して言わないでよ馬鹿っ!」
彼女はわずらわしそうに言う。そして彼女は静かにいていたが怪訝そうに、
「何で可愛いって知ってるの?」
「え?」
「写真?」
「いや、オフ会」
「へーー、その子に会ったんだっ」
彼女は明らかに不満そうな顔だった。
「何しに会ったの?」
「え?」
問いただす圧を感じた。僕はその態度に腹が立つ。
「お前には関係ないっ」
「!」
その後僕達は険悪なムードになりお互い無言で学校に向かった。
クラスの自分の席に座って窓から外を見ながらふんっ、全く~っ。愛衣もまいちゃんみたいに優しく清楚だったら可愛げがあるというのにっ、と思いながら物思いに耽った。
部活が終わると、まいちゃんにDMを送って連絡しあった。彼女は聞くところによると、学校は女子校らしく(県内で女子校は1つしかない)、よくこの前のオフ会に来たなと思った。文面から信用出来たそうだからと送ってきたので、他は信用できるか分からないと送ったら、ここまでするのは“はるき”ぐらいだよと来たからやっぱり気持ちは小躍りした。
これはまあ昨日の話で、今日は女子校あるあるとか聞いていると、
「晴樹っ!」
と大きな声がして振り向くと後ろから愛衣がとばして来た。
「……どうした?」
「あのさ……」
「?」
「朝のことはゴメン。少し感情的になっていたわっ」
「……あぁ、もう良いよ別に」
「そ、それでね晴樹」
「?」
「仲直りの印に今度の土曜遊ばない?」
「え? そこまでする必要あるか?」
「! 嫌なら別に……」
とは言っても彼女は明らかに不満足そうな顔をしていた。
「分かった、分かった。久しぶりだから別に良いよ」
そしたら彼女はぱあっと明るい顔になり、
「そっかっ、ありがとう晴樹!」
と喜んだ。……まぁ、この素の底抜けな明るい性格は悪くないんだがな、と彼女を見ながら思った。あ、そうだ。
「お前ってさ、確か一人っ子だったよな?」
「うん、私が1歳の時に離婚したから兄弟はいないって父から聞いてるわ」
「そうか……」
じゃあ、他人のそら似か……。
「それより聞いてよ晴樹っ。由美がねー、また彼氏自慢が始まってさー……」
と愛衣がいつものように学校での他愛ない話を楽しそうに話して僕は相づちや返事といった軽い反応をして会話が進む。あまり学校の話に興味はないが、環境の違いを知るという意味では聞いてて面白い。
「でさ~、やっぱり思うのよ。彼氏欲しいなーって」
「ほうか……」
「晴樹は彼女とか欲しくないの?」
「ん~、そうだなーっ。欲しくないと言えば……」
嘘になる。
「……嘘になるな」
「でしょ? それが青春よね! それが高校生! 枯れた心の晴樹にもそういう気持ちあるよねっ」
「誰が枯れた心じゃ!」
不愉快極まりないなっ。
「そっかーっ、晴樹も彼女欲しい……っか」
彼女はとても嬉しそうな顔だった。ん? 何だ?
「あ、もうこっち行かなきゃ。じゃあね晴樹、待たねっ」
そう言って彼女は立ちこぎをしてミニスカートをなびかせながら家の方向へ向かって行った。
ん~、パンツは……見えない……か。
そして家に着いてスマホを見ると、“まい”からDMが着ていた。
『女子校の子達は大体仲が良い感じね』
『そうなんだ』
『共学はどうなの?』
『うーん、やっぱり男女間のトラブルはそこそこの頻度であるな』
『へぇ。そんなんだね。それで?』
『例えば……』
僕は愛衣の受け売りの話や僕が感じた内容を彼女に話す。
『へーっ、そうなんだっ。漫画や小説みたいね!』
女の本能だろうか。文面からワクワク感が滲み出ている。
『嬉しそうだなw』
『けど私は争いするのが苦手だけどね』
と後付けの内容が届いた。僕はついふっと笑う。数通送りあってから、
「晴樹~。ご飯よーっ」
と下から母の声が響く。彼女も塾に行くと言って連絡は終わり、家族とご飯を食べて、家の用事を済ませてから布団の中に入り、“まい”のことを色々考える。
(彼女はどこに住んで今何してるのかな?)
あんなのかな、こんなのかなと仮説を立てながら様々(えろえろを含む?)な空想を巡らし、それを楽しみながら僕は眠りの世界に落ちていった。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ブックマーク、評価、感想頂き励みになります。