4 ギルド試験
読んでくれてありがとうございます
「失礼しました。ていうか、笑顔で殺気放つとメチャメチャ怖いですね…」
「そ、それは失礼しました。これ真顔なので、慣れてくれると幸いです。」
「申し訳ありません。あ、名乗るのが遅れましたね。私はアルミアと言います。どうぞよろしくお願いします。」
「おれには名前がないので黒とでも呼んでください。こっちは相棒のスラさんです。」
「よろしゅうな」
ちなみに黒というのはおれが上下真っ黒のスーツを来ているので覚えやすくていいかと思ったのだ。単純である。
「では、試験を受けて頂きます。こちらへどうぞ」
そう言ってついて行った先は闘技場のようなものだった。真ん中には筋肉モリモリのマッチョだ立っている。どうやらアレと殺り合うようだ。
「今回の試験管を務めるアフロだ。よろしく頼むよ。」
「黒です。こっちがスラさんです。どうぞよろしく」
「よろしゅう」
低く思い声だが、声だけでは何とも言えない。だが、見た目が怖い。ちなみにアフロという名前だが
頭はスキンヘッドだ。
「この試験でランクを決めさせてもらいます。ランクの種類はS、A、B、C、D、E、Fとありまして、試験管のアフロさんはDランクなので勝利なさった場合はCからスタートとなります。同等の戦いをなさったと判断なさった場合はDかE、あまりにも酷く負けた場合にはFとなります。」
「勝ったら必ずCからスタートなの?Bからとかは無いのですか?」
「無いですね。そこからはギルドでコツコツとお願いします。その他詳しくことはランクが決まり次第お話します。それでは頑張ってください。」
そう言ってアルミアさんは下がった。闘技場は俺とアフロさんだけになる。
「じゃあ、スラさん!殺りますか!」
「そうじゃの、って殺っちゃダメじゃよご主人よ…」
心の中でスラさんをメインウェポンに装備を命じるとスラさんは最初とは違い体が弾けて光の粒が一気にSRR81+を形作り俺の手元に渡ってきた。
「一つ、外傷はうちの医療班が直してくれるから怪我はいくら負っても構わない。
一つ、闘技場には自動修復エンチャントをかけてあるのでいくら壊しても大丈夫。
一つ、大体予想がつくだろうが、次からは怪我しても医療班を頼る時は金が発生するからな。と、以上だ!」
「アフロさんは右手で斧を持っていますが、右利きなのですか?」
「いきなりだな?違う。おれは左利きだが、斧を振ったりする時には右を使うのだ。なにかしっくりくるものがあってな。」
「なるほど。」
「あ、スラさん、スコープ外しちゃっていいや、今回覗かなそうだしさ」
(あいよ)
スラさんのスコープが消滅する。少しすると2階の観客席に上がったアルミアさんが合図いいですか?と叫んでいる。おれとアフロさんはたがいに手を振って大丈夫だと表現する。
「その黒い服、汚したくないだろう?服貸してやろうか?」
「ご生憎、アンタの攻撃を食らう気はさらさら無いんで」
「その言葉後悔するなよ」
違いに嫌味を交わして構える。
「それでは、初め!!」
開始の合図とともにおれは後ろに全力で飛んだ。 アフロは身体強化を使っているらしく、ものすごいスピードで間を詰めてくる。
どうやらあちらも飛び道具ということを理解していたらしく、最初から突っ込んで来る予定だったようだ。
そしておれの狙うのは足だと分かっており、最初に嘘を一つ掴ませようとした。アフロは左利きではない。右利きなのだ。見抜かれようとも一瞬だけでも意識をそらせればそれで良かったのだろう。
だが、そんなことにおれは惑わされない。最初から右利きということは分かっていた。なので出す足も必然、左に限定される。おれはスラさんを構えて引き金を引いた。
「ぐぁぁぁあ!」
アフロの敗因は2つ。一つはかけ引きでおれに負けたこと。もう一つは、銃のスピードを舐めていたことだ。
おそらくアフロは見てから避けられると思って目を強化していたのだろう。だが、そんな考えは甘い。人間の動体視力をどんなに上げようとも銃弾をこの距離で見てから避けるのは不可能だ。
おれは笑いながら片足を撃たれて離脱と回復を試みるアフロの反対の足を撃ち抜く。
ズガンという火薬の爆ぜる音と共に鮮血が宙を舞う。おれはアフロの頭に銃身を当てて笑いながらつぶやく。
「君の脳はどうやって弾けるかな?」
「ちょっと、降参だ!やめてくれ!」
おれは引き金に指の力を込めようとした。
(No.1!ストップだ!)
「!?」
おれの指は力を失くしていた。そして正気を取り戻した。そうか、おれは殺そうとしてしまったのか…それをスラさんが止めてくれて…
「なーんてな!嘘だよ、うそうそ!そんくらいでビビってんなってさ、はは!」
(ありがとなスラさん)
(主様はああやって殺すのがお気に入りじゃったからの…慣れるまではワシが止めてやる)
ほんとに、融通の聞かない体である。使いにくいったりゃありゃしない。
しばらくしてアルミアさんが医療班を連れてきた。傷口はしっかり塞がって元どおりに歩けるようになったのだが、俺への恐怖は拭いきれなかったようであった。
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ギルドの応接室に案内させるここでアルミアさんが色々と説明してくれるらしい。
「では、黒さんのランクはCとなります。Cランクとなりますと討伐戦や防衛戦などには必ず参加してもらうのですが、そこはよろしいですか?」
「大丈夫です。」
「ありがとうございます。不参加の場合は料金が発生しますのでご了承ください。次にギルドカードの作成に移らせて頂きます。このカードに血を垂らしてください。」
おれはサバイバルナイフで指先を切ってギルドカードの上に血を垂らす。するとギルドカードは血を吸収して文字が浮かび上がってくる。
「ちょいと主様や指化してくれんかの」
「指?良いけど」
スラさんはスラさんでおれの血を舐めてウマーとか言ってるし。ギルドカードの記載はこんな感じだ。
ギルドカード
名前:無し
性別:男
ランク:C
役職:無し
とまあこんな感じだ。
「では、役職を決めていきます。選んだ役職により武器に能力が上乗せされます。なので得意武器で役職を決める方が多いですね。黒さんだと選べる役職はこんな感じですね」
剣士、弓兵、魔道士、
「これしかないのか…」
「まだレベル1なので、選べる役所はこんなものだと思いますね。」
「この中だと弓兵が一番だな。」
「では、先ほど切った傷口を弓兵の所に押し付けて横にスライドさせて血を付けてください。」
「はい。おいスラさん、指返してくれ」
「むはー、美味じゃったわい」
人の指で何やってるんだこいつは、ん?
「指の傷が…塞がっている…」
リアルつば付けときゃ治るである。って、そうではなくてスラさんには自動回復スキルとかあるのか。どこまで治るのかは分からないけど、止血とかに使えるかもしれない。
結局、もう1回指を切って弓兵を選択するとスラさんを淡い光が包み込む。
「スラさん、大丈夫?」
「ふむふむ、何だか変な感じじゃの。フワフワするぞ」
ステータスボードを開いて武器メニューでSRR61の詳細を見てみると、
「え?なんだよこれ…」
「なんじゃなんじゃ?」
名前:SRR61
武器レベル:156
武器HP:4500+5
武器MP:3000+5
スキル:自動修復、ヒーリング、オリジナルバレット、改造、魔力追跡
「スラさんすげーな!」
「あ、当たり前じゃろう?主様の武器じゃぜ?」
頭を撫でてやるとムフフと嬉しそうな表情になる。子供みたいだなと思ったのは内緒である。
でも+5て、あっても無くても同じだな。おれはほしいけど。HP50しかないし。ということで早速今日の宿代を確保するためにクエストを受けた。
外に出て少し歩くと森がある。森の中に今回の目標、ブルータイガーがいる。ブルータイガーは1匹はさほど強くないのだが、素早いスピードと完璧なコンビネーションで敵を仕留めるらしい。
森の中にはゴブリンや他の魔物もいるらしく、中心部に行くほど強くなるらしい。だが、おれは森が大好きなのだ。森の前でスラさんを装備して口角を釣り上げる。今回の目標はブルータイガー3匹討伐だが、当然3匹で終わるつもりは無い。レベリングのためと俺の趣味のために狩られて頂くとしよう。
1歩森に足を踏み入れると近くの木を強く叩いた。止まっていた鳥がバサバサと空へ羽ばたく。
「見つけた。数は全部で30、ブルータイガーが10だな。」
(了解じゃ、マーキングするぞい)
スキルの魔力追跡を使う。このスキルは相手の魔力を色で識別して追跡できる能力だ。スラさんはさらに視覚をおれに移行させてくれているため、おれは追跡外ならば彼らの位置を見ることができる。おれは木に上りスラさんを構える。
「位置バレすると面倒だしサプお願い」
(了解じゃぜ)
「あと、スコープは6倍でお願い」
注文通りにスラさんがカスタムされていく。めっちゃ便利である。コッキングを済ませ、準備を完了させる。
パス
サプレッサーにより抑えられた控えめな音と裏腹に魔力の銃弾で頭を貫かれたブルータイガーは一撃でその命を絶たれる。
パス
音は最小限に抑えられており、どこから攻撃されているのかわからないブルータイガーの反応は様々だった。その場で焦るもの。逃げ出すもの。周りを警戒し続けるもの。
だが、生き残ったものは1人もいなかった。
(それでラストじゃ)
「あいよー」
最後のブルータイガーは全力疾走でこっちに向かって逃げてきた。どうやらブルータイガーにそこまで高い知能は無いらしい。おれは剥ぎ取りをするべく木を降りた。
1日遅れたが、気にするな(迫真)