3 入国とギルド
少し遅れてすみません。
前回のあらすじ!
おれは心に数え切れない量のダメージを負ったZO!
「ふむ、カガリ王国ね」
「今私達が向かっている私の祖国です。」
「ふむ、じゃあ単価を聞きたいんだけども」
「お金ですと銅貨、銀貨、金貨、白金貨があります。銅貨10枚で銀貨1枚。銀貨100枚で金貨1枚で金貨1000枚で白金貨1枚ですね。」
ありがとうとメモしながらお礼を言う。
「私からも質問させて貰ってもいいですか?」
「いいよ。まあ、おれたちに答えられることなんてあんまり無いけどね」
「命の恩人の名前も知らないと言うのもアレなので名前を教えて貰っても宜しいですか?あ、私はサラスティア・カルと言います。以後お見知りおきを」
そう言ってスカートの端を少し釣り上げ優雅に一礼する。これだけで貴族っぽさがあるな。
「こいつの名前はSRR81+、通称スラさん。んで、俺の名前は、、、、」
「?どうしたのですか?」
「サラスティアよ、すまぬがこやつは記憶喪失でな。名前が思い出せないのじゃよ」
見かねたスラさんが助け舟を出してくれた。実を言うとおれの名前は無いのだ。おれの親はおれを産むと同時に殺された。以降はNo.1というコードネームで呼ばれた。
「そ、そうなんですか!?申し訳ありません。」
「いや、気にすることは無い。おれも早く思い出したいんだけどね…」
「で、でしたらギルドに行ってみてはどうでしょう!」
「ギルド?」
「はい!ギルドのギルドカードは自分の血を垂らすと自分の身分を証明できるようになるんです!なのでそこに行けばご自分の名前は知れるかと思いまして。」
なるほど、ギルドに行けばクエストを受けてお金を稼ぐことができる。これで金銭問題を解決できるな!
「でも、どうして貴族様がゴブリン討伐なんかしてたの?」
「はい、今学校で実践を経験するという授業をやっておりまして…それで私たちのグループで護衛を付けずにやってみようというふうになりまして……それで行ったはいいのですが、先ほどのような状況におちいりまして…」
「さっきのゴブリン、やけに連携が取れてたからね。囲まれたら厄介だろうね。」
そんなことを話していると門が見えてきた。商人が何人か並んでいて、前を見てみると通行料を払っていた。どうやら身分の証明出来ないものは払わなければ行けないらしい。
「おーまいが。どうしよう…」
「お金、無いのですか?」
あっちの世界の金銭なら少し持ってるんですが、それじゃダメですかね?などとは言わずに素直に首を縦に振った。
「分かりました。私が出しましょう。」
「え?でも情報は貰えたし…」
「ええ、なので貸しにしときます!」
「貸し?」
「はい!次にあった時に返してください!絶対ですよ?」
「年下の女の子にお金を借りるなんて情けないけど、今はありがたく受け取るよ。絶対返すからさ。」
そういうわけで、身分証を書いてお金を貸してもらって中に入れてもらえた。入る時に服を物珍しげに見られた。中に入るとサラスティアはじゃあまた会いましょうといって去っていった。いい人だった。
「さてとスラさんよギルド行くか!」
「ギルドか、冒険者じゃの!」
正門を潜り正面のストリートをさらにまっすぐ行った先にギルドはあった。大きな酒場みたいな感じだった。
扉を開けて中に入ると中のひとがこちらを見る。中にいるのは現世でいうYAKUZAみたいな人が多く、少したじろいだ。受付まで行き、受付の猫耳お姉さんのところまでいく。来る時にも思ったが、種族がたくさんいるようだ。
「スミマセン、ギルドに登録したいのですがー」
「登録ですか?そちらの少女もご一緒でよろしいですか?」
「いえ、こっちは俺の武器なのでそのーあのー…」
「武器って、まさかミリーサルウェポンの事ですか?」
「ミリーサルウェポン?」
ミリーサルウェポンとは武器に魂の宿った武器のことで擬人化出来るのが大きな特徴らしい。他の武器よりも性能が高く、持っても人は世界でも数少ないらしい。
「特徴は一致していますね。」
「ミリーサルウェポンを持ったお客様は初めてなので少々お待ちください!」
5分ほど周りの冒険者たちの視線をあびながら待っていると、奥から長老が出てきた。
「おぬしが、ミリーサルウェポンを持つものか?」
「はあ、特徴が一致しているだけでどうかは分からないのですがね」
「ふむ」
瞬間、隣のスラさんの殺気が膨れ上がる。
「ちょいと爺さんや、レディの体を勝手に見るのはどうかと思うぞよ。」
「ふむふむ、これはこれはやりますな」
「スラさん?どうかしたのか?」
「ああ、この爺さんのう…いきなり鑑定を使ってきよったのじゃ」
「鑑定?」
鑑定スキル。
スキルをかけたものの情報を得ることができる。
「鑑定遮断をかけられたのはいつぶりかの」
「知らんのか?レディは秘密が多い方が魅力的なのじゃよ」
なんかバチバチと火花が見える気がするんだけどと、爺さんの目がこっちを向いた瞬間に悪寒がしてカウンターに隠れた。
「何をしてるのじゃ?」
「ちょいと悪寒がしたんでね…あと、その鑑定は見るのに3秒以上相手を直視しなきゃいけないんだろう?」
「ほお?」
今までの会話の始まりから会話遮断までのくだりの時間を脳内計測すると3秒なのだ。この爺さんほんとに食えないな。
「わかったわかった、お主らにもう鑑定は使わんよ」
「ほんとか?」
「ほんとじゃよ、おぬしの武器がミリーサルウェポンだということもわかったしの」
「ならいいんだけど、次鑑定しようとしたら…」
爺さんのなにかが膨れ上がるのを感じる。おれも殺気を放っているが、この爺さんがただものでは無いことはいとも簡単にわかる。
「ほっほ…恐ろしいガキじゃの。ワシはギルドマスターのスルトじゃ。覚えておいて損は無い名前じゃぞい。」
そういうと爺さんはくるっときびすを返して帰っていった。
「あの爺さん…」
「ああ、相当なもんじゃの…ご主人の殺気を簡単に受け流しおったわい」
「ギルドマスター……敵に回したらやばいかもな」
それでもおれは負けない。負けられない。おれがスラさんを持つ限りは絶対に誰にも。ん?
「あ、ちょ!受付員さん!しっかりしてください!」
受付員の猫耳お姉さんのことをすっかり忘れていた。あの殺気の真横にいたのだ。白目むいて倒れていらっしゃる。おれは受付員さんを介抱しながら起きるのを待つのだった。
今週も読んでくれてありがとうございました。