04
7分ほどして、タワーマンションの入り口に着いた。綾子が主催に電話をかける。
少しして、細身で長身の男が現れた。
短髪で茶髪。ところどころ金髪のメッシュがはいっていたが、下品な印象はなく、むしろ気品さえ感じた。
「はじめまして、諭です。今日は来てくれてありがとう。友達も呼んでくれたんだね。楽しんでいってね」
外見とは違い落ち着いたトーンの話し方だった。若く見えるがけっこう年上だろう。
彼はビルの中に私たちを通し、エレベーターに案内した。最上階のボタンを押す。タワーマンションに住む彼は、最上階のパーティスペースが借りれるようだ。
会場の扉を開けると、簡易的な受け付けがあり、女の人が座っていた。
「お酒と食べ物持ってきてくれた人は千円、用意できなかった人は三千円です」
名前を書き千円を渡すと、紙コップと紙皿、割り箸を渡された。
会場は一般的な学校の教室の3倍ほどの広さで、横長のスペースだった。少しリッチな家のリビングといっていいだろうか。手前にソファセットがひとつ、真ん中にリクライニング式の1人用ソファが4つ。それらはガラス張りの窓に面していて、新宿の夜景が一望できた。
その先に荷物を置く場所があり、リクライニングの裏手が飲食コーナーだった。
荷物を置きコートを脱いだ。ひとまず、食事や飲み物を取りに行く。食事は持ち寄りだったため、手作りのものやお惣菜やお菓子が、壁に沿って置かれた長机に並べてあった。
自分たちで持ってきた食べ物をならべ、食事をとり、白ワインを注いだ。
ざっと見渡してみると、3・40人くらいだろうか。年齢層はバラバラだが、23くらいから30代後半まで。ドレスアップしている女子もいた。
「なんか、セレブパーティってかんじですねぇ」
雅が小声でつぶやいた。
「な、なんだこのパーティは。緊張するね。ちょっと、綾子〜」
綾子は笑いながら
「わ、わたしも初めてなんで…わーこんな感じだったかー」
なんだか、自分達が場違いでないのか、慣れない状況にそわそわした。
この時私はこれから何年か付き合いが続く、人生の起爆剤のような男に会うなんて思いもしていなかった。