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上京感情論  作者: 月野小道
上京一年目
19/21

15

荒牧は隣町に住んでいた。最寄りの駅も隣だ。都心から帰ると彼の方が一駅先に下車だが、降車駅が近づいても彼は一切降りる気配は見せなかった。


「降りないの?」


一応聞いてみたが、彼は無言のままだった。


前に庄造が泊まりに来たのはいつだったろうか。その時からシーツは変えただろうか。冬場なので毛布も出していた。同じ毛布に違う男の肌が汗が……


今更だが気持ち悪い。

もう手遅れだが気持ち悪い。


とっさに荒牧の最寄駅で飛び降りた。荒牧もびっくりして飛び降りた。



「どうしたの?」


「今日はキミんちにいく」


「…まぁそれもいいかもね、いいよ」



自ら行きたいと言った自分に驚いた。酔った勢いをつけるために、飲んでたことになる。


荒牧のことが好きではないことは明白だ。荒牧は悪いやつではないが、プライドが高すぎる。彼の積み重ねたキャリアのせいか、作家の先生と言われる職業柄か、元々そうであるのかはわからなかったが、言葉や態度の端々に感じた。

ただ、プライドを傷つけられるようなことを言われても、受け流せる強さというか適当さを持ち合わせた男だった。不機嫌な顔をしても、次のリアクションでは受け流せる大らかさがあった。

彼の器はそこなんじゃないかと思う。


そして庄造もまた、そういうタイプであった。


つまり、タイプ的にドンピシャなのだ。

だからといって何ってわけでもない。




私は私自身、何を求めているのかわからなかった。




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