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第八話  調子に乗ると、大抵後で大きなしっぺ返しが来る

―― 草をかき分けた先に見つけた、何処か神秘的な印象を見る者に与える真っ赤な花弁を持つ花。


その花から少し離れた所から、俺は一人右手を顎に乗せた状態でその花をしげしげと眺める。


場所は『ゴブランド王国』周辺に広がる森の西側部。ちょっとした探検隊気分に浸っていた俺は、気が付けば一人でズンズンと森の中を進んで来てしまっていた。


背後からワンドルの制止の声が掛かった気がしたけど、それすらも何処吹く風。俺の小さい体は草の中にすっぽり嵌ってしまい、気が付けばワンドル傍から大きく離れてしまっている。


流石に『あ、やっべ』と思って再び草の中に体を潜り込ませ『アドンーッ!? お願い返事をしてっ!』と言う、少し泣きの入ったワンドルの声を頼りに進むこと数分……今の現状に至る。


あれ? 確かにワンドルの声の方向へと進んだというのに……何故ワンドルの声が背後から聞こえるんだろう? さっき自分居た場所よりも僅かに声が遠くなっているのも謎だ。


背後を振り替えつつ首を傾げる……あ、ワンドルの声が本格的に涙声になってきた。しかも同時にバキバキメキメキと妙な音が聞こえてくる……一体何の音だ?


まぁ完全に逸れた訳じゃないから、とりあえず『グギーッ!』と鳴いて自分の位置を知らせた後、俺は目の前の花に再び意識を向ける。


……おおー、ワンドルの元へと戻ろうとした矢先、まさか草をかき分けた先でこんなに綺麗な花を見つける事が出来るなんて思ってもみなかった。


しかも何だか花弁の周りはキラキラと光沢のエフェクトが掛かってるみたいに光り輝いている。これは比喩表現ではなくて、本当に光っているんだから驚きだ。周りにこの花以外の花なんて見当たらないから、それが一層この花の印象を強めていた。


うーん見れば見る程、惚れ惚れするくらいに綺麗な花だ、もしかして結構珍しい花だったりするっ!?


『おいおい最近の俺凄くね?』と少し気持ちが高揚したけど―― ふと、妙な違和感を感じてもう一度花に視線を向けてみた。 


よくよく見てみれば花の周りに雑草の一つも存在していない。下の土が剥き出しになっていて花を中心に円を描くようにして広がっている。


……はて? 雑草の一つも周りに無いなんてちょっと違和感を覚えるな……こんなにも草木で生い茂っている森の中で、あの花の周りだけ土が剥き出しだなんて……自然現象として片付けるには不自然過ぎないか?


少しばかり考え込むように両腕を組んでしばし思いに耽てみる。一体なんでこんな事に―― っもしやあれか? 


考えて数秒も経たないうちに、俺の頭に一筋の閃きが瞬いた。おいおい本当にどうしちゃったんだ俺? 最近絶好調じゃないかっ!?


頭の中に閃いた一つの推測それは―― 『その辺の植物程度じゃ、あの花の前では引き立て役にしかならないから、植物さん達が一緒に居る事を嫌がってるんじゃね?』 ――という物だった。


チラッと花に視線を投げかけた後にグルリと周囲を見回してみる……見事に雑草を始めとする脇役グリーンリーフ達ばっかりですね、しかもなんか汚ねー……僅かばかりだがこの場に、あの花に対する妬みの波動が渦巻いている気がしないでもない事もないような事もないような?


うん、恐らく間違いないだろう。ふっ最近直感が冴え過ぎている自分が怖いぜ……っ!


普通なら何アホな事言ってんだと笑い飛ばす所だが……いやぁ分からないぞ? ここは元の世界とは違ったファンタジー浪漫溢れる世界なんだから、植物が普通に意思を持っていても何ら不思議はないっ!! と言う訳でその考えの元に、割と大真面目にそう植物達の気持ちを察する俺。


……うーん……その気持ちは分からんでもないな。お兄さんもあっちの世界で高校の席替えの時、学校一イケメンのサッカー部のエースの男子が俺の席のすぐ前の席になってしまった思い出があるからね?


もうクラスの女の子達の視線はそいつに集中する事する事……たまに俺の方に視線が向くけど、その時に『同じ男でも、こうも違うもんなのねー』みたいな憐れみが大分に含まれてるのがヒシヒシと伝わって来て……席替え早々『次の席替えはいつかな』と眼から汗が流れるの堪えるよう天井を見上げたもんだった。


しかもイケメン君は鼻持ちならない性格最悪の嫌な男の典型……だったら俺も憎しみと嫉妬を思う存分ぶつけられたのに……実際は凄く良い奴で、友人と呼べる奴が限りなく少ない俺にも話しかけてくれる素晴らしい男だった。しかも女子を侍らすハレーム野郎とは掛け離れた、恋人一筋の実に誠意溢れる一本と通った奴だったもんだから恨みや妬みなんて向けられる筈もなく……俺はただただ早く席替えが行われるのを祈る事しかできなかった。


だが運命とは残酷な物で、その後三回に渡る席替えが行われたものの全てイケメン君の隣だったり前だったりと結果は惨憺たる物でした。イケメン君は『変な縁があるな』って笑って流してたが、こっちは泣き笑いの表情で乾いた笑いしか返せなかったよ。


あ、ちなみにイケメン君は見事に最愛の彼女とゴールインしたと風の噂で聞きました。……お幸せに、奥さんを大切にするんだぞ。


『素直に人の幸せを祝福できる俺はなんて出来た奴なんだろう』と自分で自分を褒めながら、俺の周りに生い茂る雑草達に向かって『分かる……お前らの気持ちは俺にはよーく分かるぞ』と頷きつつ、労いの眼差しを向けてやる。


どんなに惨めでも根強く生い茂る雑草根性に共感しつつ、俺はもう一度目の前の赤い花に視線を向けてみた。


あの花が悪いわけじゃないんだけどなーと、少しばかり同情の視線を投げかけた所で―― 俺はハタッとある事実に気付いて動きを止めた。


待てよ……? と言う事は、あの赤い花は植物達の中ではかなりのイケメン君……てことになるんだよな? あのキラキラ光ってんのはイケメン特有のオーラとかそう言うことか……?


……ほっほーう……? そうかイケメンなんだあの花は………そうかそうか。


そっかーイケメンかぁ……成程成程。


へーほーふ~ん。


……………








―― よし、引っこ抜くか。(え?)








ふーっと息を吐きつつ左手を右肩添えて右腕をグルグルと回し、同時に首も軽く回して体の調子を確かめるようにしながら、俺はゆっくりと赤いイケメン花へと歩みを進める。


いやー別にあの花がイケメンだから引っこ抜いてやろうだなんて全っ然思ってないよ俺は?


あっちの世界で幸せになったイケメン君にぶつけられなかった鬱憤を、代わりにこのイケメン花へ思う存分ぶつけてやろうだなんて……はははははっヤダなそんな事ある訳ないじゃないか。


ラブレター入れ間違い事件(第二話参照)の事なんて、これっぽっちも根に持ってなんか居やしないさ。『イケメンなんぞ滅びちまえ』なーんて物騒な考えの元に突き動かされてなんかいないよお兄さん?


これはそう……採取、そう採取なんだ。元々俺はこの森に採取を目的として来たんだからこの行動は至極当然のものなんだっ!


見るからにあのイケメン花は、なんだか凄く貴重な物に見えるじゃないかキラキラ光ってるし? きっと何かの用途で必要な材料の一つになる事間違いなさそうじゃないか。


だから引っこ抜いて採取するっていう俺の行動には何の問題もない。採取するその行為に悪意や嫉妬が入り込むなんて……はっはっはっはっないない!


どこぞの外人のように両手を肩の上へ持ち上げて『ハッハーン』と肩をすくめつつ、俺は軽い足取りでイケメン花に近寄り、自分の行動の正当性(言い訳)を主張しその前に仁王立ちする。


そして両手を花の茎部分に伸ばして、ムンズっとしっかりと花を握り締めた。同時に少し腰を落として両足が踏ん張りやすいよう位置を調整。


ああ……何故だろう? 今の俺は腹の底から力が漲ってくるようだ。この花くらい難なく引っこ抜けるだろう。


すーはーっと大きく深く深呼吸を繰り返し―― さて、とぉ……。




―― 覚悟は良いかイケメン?(眼が本気)




一度強くターゲットを一睨みした後、俺は体に力を入れて勢いよく踏ん張ろうとした―― その時、近くの草むらがガサガサと音を立てて……



「―― アドンっ! よ、良かったぁ……ようやく見つけられたぁ……っ!」



同時に心底ほっとしたというような、そんなワンドルの声が耳に入る。あ、しまった花に気を取られてワンドルの事すっかり忘れてた。


花からは手を離さず、それでも一度引っこ抜く行為を一時中断して首だけを動かしワンドルの声が聞こえた方向に顔を向ける。


向けた視線の先には、草をかき分けてこちらへ姿を現すワンドルの姿がそこにあった。その表情は安堵に彩られていて口元が綻んでいるが……若干その両目が涙で潤んでいた。


お、おおおお……っ!? ど、何処の女神さま―― ってそうじゃないだろっ!? し、しまったまさかこんな表情をさせる程心配を掛けてしまっていたなんてっ!


途端に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった俺の元へ、ワンドルがゆっくりと歩み寄ってくる。


ちなみにワンドルの今の服装は、何時ものと違い動き安い服装へと変わっている。白い半袖からその細く長い腕が伸び、その肌の艶を惜しげもなく披露しいる。両手にはちょっと変わった黒い革のグローブを装着している……何だかちょっと攻撃的なナックルに近いように見えるけど……まぁ気のせいだろう。


そして髪型。その長い髪は今、紐で一つに纏められている。後ろに回ればワンドルのその美しいうなじが良く見える事だろう……ちなみにワンドルは夕食の調理時もこの髪型になる。その後ろ姿は一体何処の新妻だと言いたくなるほど家庭的で素晴らしい。


だが最も重要なのはその下だ。視線を向けるとそこには……これまた美しく長い足と太もももばっちり見えてしかも……まさかスパッツに酷似した履物がこの世界にあるとは驚愕モノだったぜ!! スパッツ姿のワンドルの姿を最初に見たときなんかもう鼻血ものだったよヒャッホーッ!! 意外に良い奴だったよこの世界っ!! 滅ぼすとか言ってごめんね!? お前は実に良い仕事をしたっ!!


そんな素晴らしい服装のワンドルは、俺のすぐ隣までやってくると少しだけ怒ったように眉を寄せた。



「……もうアドンっ! 私の傍から勝手に離れた駄目って最初の時にも言ったでしょう? 森にはどんな危険があるか分からないんだから……危険な魔物や獣だっているんだからね?」



腰に両手を当て『めっ!』っと小さい子を叱りつけるように……いや今の俺は十分子供だから当然か。そうワンドルが注意してくる。


う、うーん……確かにちょっと考えなしに行動しすぎたよな。心配させてしまった手前言い訳なんて出来る筈もない、素直に謝ろう。



「グ、グギギー……(ご、ごめんなさい……)」

「……反省してる?」

「グ、グギー(し、してます)」

「……本当に?」

「グギギーァ(勿論です)」

「そう……なら許してあげる。もう勝手に傍を離れちゃ駄目だからね?」



頭を下げて謝り。ワンドルの言葉にコクコクと頷く様子を見ていたワンドルが、そう注意を促した後ニッコリと柔和な微笑みを浮かべて最後には許してくれました。


ああやっぱりワンドルは心が広いなぁっ何て優しいんだろうっ! これがトリスだったら絶対にすぐには許してくれずに、さらに尻まで何度も叩かれていた事間違いなしなのにっ! 決して手を上げる事無く優しく諭すだけにとどめるなんて……俺もう絶対に勝手な行動はとらないよっ!!


これからはちゃんとワンドルの言葉に従おうと固く誓う。



「それにしても……まさか此処まで気配が読めないなんて……ねぇアドン? やっぱりその『隠者の衣』と『無音靴』を身に付けて森に来るのは―― って、アドンさっきから何をしているの?』



そんな俺の様子に満足そうに頷いた後、何か呟いて話しかけて来たワンドルだったけど……ふと、俺の手元を見て首を傾げた。


あっとそうだイケメン花を引っこ抜く途中だった。


再び意識をイケメン花に向けた俺は、グイグイと力を込めて引っこ抜く作業を開始する―― って何だこいつ!? 結構抵抗が強いぞ!



「グギギギギギギーッ!」

「一体何を……っわぁっ! 凄く綺麗な花だね? これを採取しようとしてたんだ」

「グギーッ! グギギギギッ!(そうーっ! くそ中々しぶといっ!)」

「ふふふっ♪ ここは手伝わない方が良いかな……頑張ってアドン。ほらっもう少し腰を落として」

「グーギャーッ!!」



踏ん張ってイケメン花を引っこ抜こうと頑張る俺の姿を見て、ワンドルが助言と共に応援してくれる。


ここで手を貸さずに見守る事を選択したワンドルさん……君本当に将来良い母親になるよっ!(違)


だんだんミキミキと音を立てて、イケメン花が地面から離れる感触が伝わって来た……よおおぉぉしっもう少しだっ! 覚悟しろイケメンこれがモテない男の底力だぁっ!!



「グギャギャギャアアァーッ!(エイシャオラアアアアアアァァァッ!)」

「もう少しだよアドンッ! ……ふふふっ♪ それにしてもよくこんなに綺麗な花を見つけられたね? 本当に綺麗……花弁も赤くてキラキラ光ってって……まるで血みたいに赤―――……え?」

「グギャアァァァァッ!(クラアアァァケエエエェェェンッ!)」

「血のように赤い花弁……そしてこの光……これって……魔光……だよね……?」

「ギギギギギグギィィィィッ!(オオォォクトパアアアアァァァスッ!)」

「……ま……ま、さか……まさかこの花っ!?」



ワンドルが何だか横で呟いているようだけど、今は俺はイケメン花との真剣勝負真っ最中なのであんまりよく聞こえない。


だが踏ん張る俺に対し、ついにイケメン花の周りの土が盛り上がり勝負は最終局面を向かえるっ! よしもうすぐだっ!


勝利を確信した俺はイケメン花との勝負に決着を付けるべく、体全体の力を振り絞り思いっきり引っ張り上げる! これで最後だああああぁぁぁっ!



「―― ギッアアアアアアアアアアッ!!(―― エイドリアアアアアアァァァンッ!!)



そして地面がボコッと音を立てて盛大に盛り上がったその瞬間っっ!





「―― アドンッッ!? その花を抜いちゃ駄目ええええええええええええええええっ!!」

「グギ?(え?)」




ワンドルが悲鳴のような絶叫を上げると共に、俺の体を花から引き離そうと抱きしめ――




―― 『ズボッ』とイケメン花が音を立て、俺の手により引き抜かれたのは―― 全く同時の事だった……。




*     *     *     *     *




「……ああ……やっぱり何度確認しても間違いないね。こいつは魔術師が最高位の儀式、錬金術に使用する際に重宝する最上級の魔法素材。秘薬中の秘薬と謳われる魔草『マンドラゴラ』さね。しかもこいつは天然物だよ……世の魔術師が見たら喉から手が出る程、いや全財産投げ売ってでも欲しがる魔術師垂涎の逸品だ。まさかこのアタシが生きてる内にお目にかかれるとは思わなかったよ……アドン、あんた本当にとんでも無い強運の持ち主だねぇ……? もう驚き通り越して呆れて物が言えないよ全く本当にねぇ……っ!!」

「グギャ~(いや~)」

「―― っ褒めてないよ馬鹿垂れっ!! 自分がどれ程危ない真似をしたか分かってんのかいっ! ええっ!? 死んでもおかしくなかったんだよお前達はっ! 何の準備もせずに、こいつを引っこ抜いておきながら生きて帰ってこれた事自体が奇跡なんだよっクソガキッ!」

「グギャグギっ!!(ごめんなさいっ!!)」

「大体ワンドルっ! アンタが一緒に居ながらなんてザマだいっ!? ガキの手綱もろくに握れないのかいお前さんはっ!?」

「すっすみませんっ!!」



メディーマ婆さんの怒声に、俺とワンドルは揃って首を竦めてブルブルと震える事しかできなかった……。


視線を少しだけ上へと向けると……そこには地獄の閻魔様すら裸足で逃げ出す事間違いなしの、憤怒の形相を浮かべるメディーマ婆さんの姿が見える。


な、何だってこんな事になっちゃったんだろう……!?


俺はメディーマ婆さんの眼力にビクビクと震えながら、現実逃避も兼ねて今の現状に至ってしまった経緯を頭の中に思い浮かべる……





―― トリス達がケンタウロス族の暮す森『ユニペオル大森林』へと行商に出かけて、早くも二週間が経とうとしていた。





あれから―― 俺がワンドルの狩りに一緒に連れて言って欲しいと頼み込み、そして見事に承諾を得られてからこの二週間の間に、俺はワンドルと一緒に『ゴブランド王国』周辺に広がる森へと度々足を運んでは、狩りの基本、罠の仕掛け方だけでなく採取の仕方までも教わり経験を積むことができた。


最初に初めて森に入った時は何をどうしていいか分からない困惑の方が強く、狩りに出かけたという実感はほとんどなかったけど。それでも二回、三回と経験を終えれば少しずつ俺も森の雰囲気に慣れ、今では幾分か心に余裕を持てるまでになっている。


しかもその間に俺は狩りや採取に出かける度に、色々と凄い成果を持ちかえって来ては周囲を驚かせていたもんだから、正直少し調子に乗って天狗になっていたんだろうと今では思えてならないよ……。


ああもう本当に俺の馬鹿……っ! 調子に乗るからこんな事になっちゃったんだと、過去の自分を心の中で責める事しかできない。出来る事なら過去へと戻って自分をぶん殴ってでも止めてやりたい位です。そうすれば今頃、俺とワンドルはメディーマ婆さんの説教と言う名の地獄を見ないで済んだというのに!


いつもと変わらない一日になると思っていた。今日で森へと出かけるのは通算五回目で、いつものように森に入る準備をした後ワンドルと共に森へと向かったんだ。


『今日は何が取れるかな~』と呑気に考えて、また珍しい物を持ち変える事が出来れば上々。別に収穫なしでも構わない、いつものように平穏無事に一日が過ぎるだけだしそれはそれで良いかーと……朝の俺はそんな風に軽く考えていたんだ。


その後赤い花―― 『マンドラゴラ』を見つけてその採取に成功し、そしてそれを『ゴブランド王国』へと持ち帰って来たんだけど。今思えばこれは持ち帰らなかった方が良かったと心底後悔している。


この花を本日の収穫として『ゴブランド王国』の『青の集落』へと戻って来た俺とワンドルを待っていたのは―― 疲れた体を癒すお風呂でも、空腹を満たす夕食でもなく……鬼の様な形相で怒り狂うメディーマ婆さんのお叱りの嵐でした。


今日の採取の成果を『青の集落』の族長であり、ボイゴールさんの不在の間『白の集落』の管理を引き受けているメディーマ婆さんへと報告に行った所……『マンドラゴラ』を引っこ抜いて持ちかえって来たという話を聞いた時のメディーマ婆さんの表情を、俺は生涯忘れる事は無いだろう。


『引っこ抜いてきましたっ!』と得意気に報告する俺と、不安そうにメディーマ婆さんの顔色を窺いながら花を手に入れた経緯をボソボソと報告するワンドル。最初は『ヒヒヒ』と笑みを浮かべていたメディーマ婆さんだったんだけど……『マンドラゴラ』を引っこ抜いたという報告に『……はぁ?』と間の抜けた表情を返し、次に『そんで持ち帰ってきました』という報告に顔面蒼白になって『ヒ、ヒヒヒ……と、歳は取るもんじゃないね。有り得ない幻聴聞いちまったみたいだよ』と、ブルブルと震える手でカップに注いだ茶を口に含み……そして何度も『マンドラゴラ』を確認しては古めかしい分厚い本を捲り―― 


そして最後には俺とワンドルを引き摺るようにし自分の家へと連行して―― 夜叉へと変貌したあの瞬間を俺は絶対に忘れない。いや忘れられない、忘れたくてもきっと無理、て言うか怖すぎてトラウマもんですっ! 今晩夢に出そうなくらい本当に怖かったんだよおおおぉぉっ!?


延々と叱り続けるメディーマ婆さんの怒りは一向に収まる気配は見せない。現在俺とワンドルはメディーマ婆さんの前で正座をさせられ、その剣幕に怯えながらお叱りを受けている真っ最中です。



「―― 全くガキに振り回されるなんざ名前負けも良いとこだよっ! その異名は飾りかい!? 見た目も同様中身も女々しい奴だねっ!?」

「―― っ!! す、すみませっ……!」

「グギャッ!? グ、グギグギャグギーッ! グギッグギャグーッ!(ちょっ!? そ、それは言い過ぎだメディーマ婆さんっ! ワンドルは悪くないよっ!)」

「……ああぁん? 何か文句あんのかいぃ……!?」

「……グ、グギャー……グギギギ……(……い、いえ何でも……すみませんでした……)」

「グギャグギャ鬱陶しいね! 耳障りだから黙ってなクソガキっ!」

「グギャアッ!?(ひでぇっ!?)」

「黙れって言ったんだよアタしゃっ!」

「ギャグッ!?(あだぁっ!?)」

「ア、アドンっ!?」

「誰が動いて良いと言ったんだいっ!?」

「ひうっ!? ご、ごごめんなさいぃっ!」



メディーマ婆さんの持っている杖が俺の脳天に振り落とされ、結構鈍い音が響く。


ちょっ!? 今ゴスッっていった! ゴスって音がしたよ滅茶苦茶痛てええええええっ!?


痛みに頭を押えて悶絶する俺の姿を見たワンドルが慌てて俺の方へ近づこうとするも、メディーマ婆さんの叱責と共に睨みつけられ、その場ですぐに姿勢を正して縮こまる……ワンドル涙目である。


そしてその後もメディーマ婆さんの怒りが収まるまで、俺とワンドルはその叱責に身を縮こまらせて耐え忍び、謝り続ける事しかできなかった。


ちなみに何故か俺だけ、メディーマ婆さんに杖で頭を叩かれる事がしばしばあったのは余談である。




*     *     *     *     *




よろよろとした足取りで、ワンドルと並び立って『青の集落』の道並みを歩き続ける。


ようやくメディーマ婆さんのお叱りから解放された俺達は、痺れる足を引き摺るようにして歩みを進めたいた。


お、おおおおお……あ、足の痺れが抜けない……! メ、メディーマ婆さんめ……何も説教が終わると同時に家から追い出す事無いじゃないか。少しぐらい休ませてくれたって良いだろうに……!


でもあそこに何時までも残っているのは流石に危険だ。きっとメディーマ婆さんの事だから痺れる足に悶絶する俺を更に苦しめようと、痺れる足を執拗に突きまくったに違いない……っていうかあの目は絶対そうしようと思っていた目だった間違いない。


幸いワンドルが咄嗟に俺を抱きかかえて、逃げるように家から連れ出してくれたからそんな事態は起こらなかったけどね? っていうかメディーマ婆さんの家を飛び出す瞬間に、俺の耳が捉えた舌打ちは絶対聞き間違いじゃないと思う。



「ア、アドン大丈夫……?」

「グギャー……(なんとか……)」



ワンドルの気遣いの言葉にそう返すものの、今の俺は生まれたての子鹿のように足を振るわせつつ歩いている状態。そのせいでいつもよりも格段に歩くスピードは遅い。


そんな俺のとは対照的に、その俺のペースに合わせて寄り添うように隣を歩くワンドルは、同じ様に長い時間正座をしていたというのにまるで堪えた様子も無く、いつものように優雅な足取りだ。


さ、流石ワンドルだ。俺とは違って正座に対して何かしら耐性でも持っているのかもしれない……そのスキルは是非とも習得したいと切に願う。


ちなみにワンドルは、足が痺れて満足に動けない俺をメディーマ婆さんの家から抱きかかえて連れ出したままの状態で、そのまま家まで運んでくれる気でいたらしい。流石にそれはちょっと格好悪いと小さな自尊心が芽生えたから、自分で歩けるとやせ我慢をして降ろして貰ったけどね。


……俺を腕の中から降ろす時、ワンドルが妙に残念そうな顔をしていたけど……そこは突っ込まないでおこう。



「それにしても……うぅ……怒られるのは最初から覚悟してたけど、あんなに怒るメディーマ様を見たのは久しぶりだったよぅ……怖かったぁ」

「グギャギャ……グギーギギギグギャ(確かに……あんなに怒るのは初めて見たなぁ)」



今思い返してみても、背筋が凍りつくほどあのメディーマ婆さんの怒りは激しかった。


何度か『青の集落』でメディーマ婆さんが、他のゴブリンを叱りつけている姿を見た事があるけど……今日のメディーマ婆さんの怒り方は次元が違うと思うぐらい激しく、同時にとんでも無い剣幕だった。


……けど確かに、俺のしでかした事を考えたら当然だよなぁ、あんなに怒るのも無理は無い。なんせ正真正銘死んでもおかしくない愚行をしてしまったんだから。


『マンドラゴラ』―― 俺もその名前くらいはよく知っている幻想上の花だ。元の世界でRPGに良く出てくるくらい有名な花で、ゲームの中じゃ唯の道具だったり素材だってりで……ハッキリ言ってその名前を聞いても『ふーん』としか思わない位、俺の中では認知度が低く、また別に危険な花だなんてこれっぽちも思っちゃいないかった。


……が、本物の『マンドラゴラ』はそうはいかない。この花は本当にとんでも無く危険な代物で、決して安易に手を出してはいけない禁忌の花なのだと……怒るメディーマ婆さんにその危険性を叩きこまれた。


まさか『マンドラゴラ』が引っこ抜く際に上げる時の悲鳴が、それを聞いた全ての生き物の命を奪う『呪い』を撒き散らすとんでも無い物だったなんて……そんな詳しい事まで知らなかった俺は、その話を聞いた瞬間全身からの血の気が引いて真っ青になった。


マジでそんなに危険な物だったとは露とも思わず手を出していただなんて……いや本当によく生きてるよな俺達、正に奇跡だよ。



「けど、メディーマ様があんなにも怒ったのは当然だね……私達の事を心底心配してくださっていたから。私達の為を思えばこそ、二度とこんな事をしないよう釘を刺す事も含めて、あんなに真剣に叱ってくださったんだもの」

「グギャ……グギャギャ(うん……それは分かってる)」



ワンドルの言葉に頷く。そしてお互いに視線を交わし合った後―― 俺達は同時に深い溜息を吐いた。


……本当にメディーマ婆さんには悪い事しちゃったなぁ。あんなにも怒っていたって事は、それと同じくらい俺達の事を大切に思っているという事の裏返しだもんな。メディーマ婆さんが本当は誰よりも『ゴブランド王国』の同胞達を想ってくれているって事は知ってる筈なのに……俺の馬鹿。


ちなみに俺が持ち帰った『マンドラゴラ』はメディーマ婆さんにあげた。俺が持っていても仕方のない物だし、それに見ていて気持ちの良い物じゃないし。見た目てきにも俺の心情的にも。


―― っていうか俺達が持って帰るには色々と危険すぎたもんあの状況じゃ。


一体何処から俺達が『マンドラゴラ』を、それも天然物を持ち帰って来たと言う情報を聞きつけたのか。俺達が怒られている時に、何だか周りが騒がしいと思ったらメディーマ婆さんの家を囲むようにして『黒の集落』のゴブリン達が押し寄せてきていたんだもんなぁ。


あれは引いたわ。全員眼が血走っていて、その視線が全部『マンドラゴラ』へと集中し虎視眈々と狙っているのが丸分かりでした。あの中を『マンドラゴラ』を持って出て行こうものなら、何をされるか分かったもんじゃない。


俺達の―― いや正確には俺の身の安全の為にも『マンドラゴラ』はメディーマ婆さんが持っていた方が安全だろう。そう考えた末、メディーマ婆さんに引き取ってもらったという訳。


いやもう本当に何から何まで迷惑かけてゴメンなさい、メディーマ婆さん。今度また何かお詫びをしに行かなきゃなぁ。



「―― んっ! 何時までもクヨクヨするのは良くないね。落ち込むのは此処までしましょう? この反省をこれからの事に活かせれば良いんだから。ね?」

「グギャグギャ!(そうだね!)」



ワンドルが小さく気合いを入れると同時に、俺に何時ものと同じように優しく微笑みかけてくれた。


確かにその通りだ。今回は俺の軽率な行動が引き起こしてしまったのは明白。それは消えようも無い事実、ならその事を真摯に受け止めてこれからの行動に活かせばいいんだっ!


大体俺は基本からしてなっちゃいなかった……今回の事でそれを痛感したよ。狩りの仕方や採取、王国の外に出る事ばかりに気を取られ過ぎていて大事な事を見落としていた。


狩りにしても採取にしても、まずは予備知識をちゃんと学ばなけりゃ上手く行くはずなんてないし、今まではただ単に運が良かっただけに過ぎない。


森にはどんな獣がいるのかとか、それがどれ程脅威になるのかとか、どんな薬草があって、それはどんな所に生息して、どんな形をしていて、どんな事に使えるのか、また何が危険な物なのか……最初で学ばなければならない事が山程ある。


そんな事も学ばずに森に入る事ばかりに気を取られていたなんて……今思えば俺はどれだけ能天気だったんだろうと恥ずかしくなる。


―― 何をするにも、まずは予備知識をバッチリ付けななきゃなっ! まずはあの森には『マンドラゴラ』があるので注意っと、心のメモ帳に記入……おっ何だかヤル気が出て来たぞっ!


思わず『グッギィィィッ!』と両腕を上げて気合いを入れてしまった。そんな俺の様子をワンドルが微笑ましそうに見守ってたので、ちょっと恥ずかしい。……お見苦しい所をお見せしました。



「それはそうと……今回は本当に命拾いしたね。『マンドラゴラ』を引き抜いた瞬間、その悲鳴を聞いた時はもう駄目かと思ったけど―― アドンがその手袋をしていた御蔭で助かったね?」

「グギャグギャ(本当にね)」



ワンドルの言葉に頷いた俺は、両手を自分の目の前に持ってきて、その両手に付けている六芒星の描かれた黒い革の手袋をマジマジと凝視した。ワンドルの視線もその手袋に向けられる。


そう、俺が『マンドラゴラ』を引っこ抜き、さらにその悲鳴を確かに聞いておきながら生きて居られるのは―― 全て俺が今も手に填めているこの黒いグローブの御蔭なんだ。


確かに俺とワンドルは『マンドラゴラ』の呪いの悲鳴を聞いた……けど、実際その悲鳴を聞いても俺達が感じたのは、ただ五月蠅いだけの悲鳴としか思えなかったんだ。


その悲鳴に思わず驚いた俺は『マンドラゴラ』を片手に掴んだまま持ちかえ、もう片方の手で『マンドラゴラ』の根に向かって貧弱パンチを叩き込み……それがどうやら良い所に当たったらしく、見事『マンドラゴラ』を鎮静化させる事に成功したのだ。


いや、マジで気持ち悪かったんだって根の部分が……目玉が剥き出しで歯もあって……思い出しただけで鳥肌もんです。俺自身自分の容姿は結構キモいと思ってたんだけど、世の中には上には上が居るもんだ。ちょっと優越感に浸ってしまったのは俺だけの秘密だ。


『マンドラゴラ』の呪いの悲鳴は引っこ抜く時だけにしか効果を発しないから、その後はワンドルの持ってきていた採取用の瓶の中に『マンドラゴラ』を入れて、王国まで持ちかえって来た―― というのが今回の俺達の行動の全容です。


いやー……しかし本当に、この黒い革手袋を付けてきておいて助かったよ。まさかこの手袋にこんな細工が施されていただなんて思いもしなかった。


この手袋がまさか――



「まさか『呪い封じ』の魔術刻印が刻み込まれた『シール・ハンド』だったなんて……それも『マンドラゴラ』の呪いを封じ込めるほど強力な……これをアドンに譲ってくれた『グレゴス』さんに感謝しなきゃ」

「グギャググギーッ! ググ……グギャーグッギギ?(本当に感謝ものだよっ! でも……こんな高価そうな物を本当に貰って良かったのかな?)」

「その手袋の他にも『隠者の衣』に『無音靴』。それにグレゴスさん自ら激選した短剣を四本も付けてくれるなんて……グレゴスさんよっぽど嬉しかったんだね」

「グギャギャグーグァ(拾った石を一個あげただけなのになぁ)」



しみじみとそう呟き、俺は王国に入る直前に脱ぎ、背中に背負った袋の中に入れた装備一式に視線を向ける。子供の俺にしてはその装備のどれもが破格と言っても良いぐらいの代物ばかりだ。


本当にあんな石一つで此処までの装備を誂えてくれるなんて……グレゴスさんにとって、それだけの価値があの石にあったんだなぁ。


グレゴルさんって言うのは、俺が知り合った『鍛冶職人』の『ドワーフ』族のおじさんの事だ。たまに『ゴブランド王国』に立ち寄っては、自分が作りだした武具の数々を、『青の集落』に並べては売りに出しているそうです。そしてそのどれもが一級品なもんだから『赤の集落』のゴブリン達は、暇さえあれば『青の集落』に足を運び、グレゴスさんが来ていないか確認しに来るくらい、その評判は高い。


丸太の様な太い腕、岩のようにゴツゴツした赤黒い日焼け肌。昔ある武器を創り出す際に、その素材となる魔物との戦いで左眼を失い隻眼となっているけど、残された右眼は鷹のように鋭く研ぎ澄まされており、見る者全てに強い威圧感を与えてくる……戦士としても鍛冶職人としても一目置かれるドワーフ族。それがグレゴスさんだ。


そんなグレゴスさんとの出会いについて話すには、今から三日前まで遡らなければならない。



俺はグレゴスさんと出会った三日目の出来事を思い出す様にして―― オレンジ色に染まる夕暮れの空を見上げた。







―― っておい!? もう夕暮れ時かよっ!? 王国に帰りついた時は、まだ空は青かったのに一体どれだけの時間説教されてたんだ俺達っ!?




【 備考 】


『マンドラゴラ』


血のように真っ赤な花弁を持つ、自分の意思で行動する文字通り生きて動く魔草。その根は人の形をしており、移動は地中を掘って移動する。その根っこには様々な効能が凝縮しており、使い手次第で猛毒にも万能薬にもなる為まさに秘薬中の秘薬とされている。内包される魔力も高く、魔術師達にとっては正に最高峰の魔法素材として認識されている。ちなみに『マンドラゴラ』は魔術師達の間では養殖されたものが出回っている。動物の血や罪人の血を与えて育て上げたものであるが、天然物の『マンドラゴラ』と比べると格段に質が落ちる。天然物は生きる為に、血だけでなく周りの草木から生命力を吸い取るなどと、生に対する執着力がその魔力を高める為、その純度は計り知れない。秘薬中の秘薬とされている為その採取は容易ではなく。危機察知能力が高く人の気配を感じ取るとすぐに逃げ出してしまう為、まず発見する事と事態が難しい。また一つの場所に留まらないので確実に生息するという場所は世界の其処にも存在しない。さらに運よく探し出せても、引っこ抜く際におぞましい『呪い』の悲鳴を上げ、聞いた物全てを即死させるという凶悪無比な行動を起こす為、しっかりと抜く装備を整えた上で『マンドラゴラ』に出会うというのは余程運が無ければ不可能に近い。抜き方は『マンドラゴラ』に紐を括りつけ、それを犬に引っ張らせる。死刑囚に引っこ抜かせる等の方法が存在する。アドン達が無事だったのは、六芒星の描かれた『シール・ハンド』で『マンドラゴラ』を直接握り、呪いその物を完全に封じ込めた為である。


『隠者の衣』


黒い色をした『隠蔽』『遮断』『隠密』の魔術効果が施されているマント。これを羽織った者は気配や体臭までも完全に消し去る事ができ、その為隠密行動に最も適しているとされている。このマントを創るにはトップクラスの魔術師の協力が必要となる為、その個数は多くない。一度この衣を纏った者を見失うと見つける事は大変困難となるが、装備者が声を掛ける事で呼ばれた者に対してのみ効果を薄める事が可能となる。


『無音靴』


読んで字の如く履いた者の立てる音を消し去る『無音』『静寂』『対象選別』の魔術効果の施された革靴。その靴を履く事で装備者の立てるあらゆる音、声までも消し去ってしまう。しかし、装備者が声を聞かせても良いと判断した者に対しては、その相手にのみ自らの声を届ける事は可能となっている。この靴も『隠者の衣』同様に個数は少ない希少品である。


『シール・ハンド』


『呪い封じ』の刻印が施された黒い革製の手袋。手の甲の部分に『呪い封じ』の刻印が施されており、三角型、卍型、五芒星、六芒星と言った型が存在し、左から順々に『封呪』の魔術効果は高くなっている。触れたい物に呪いが掛かっていたとしても、その手袋を填めて触れる事で呪いを封じ込める事が可能となる。一般的に三角型、卍型が世の中に流通されているが、五芒星や六芒星ともなると、それらを所有しているものは限りなく少なくなっている。

ちょっと長くなったんで二つに分けます。次話も早いうちに更新します。

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