イヌの頭の良さ
「お前さぁ、頭良すぎないか?」
バニーが盤面を見ながらため息を吐く。
事前に準備した戦略も、全部読まれていた。
「また負けたんだが。」
「頭の出来が違うんですよ。」
イヌは軽く笑う。
「その言い方、普通にムカつくな。」
「比喩じゃないですけどね。」
「……どういう意味だよ。」
イヌは少しだけ首を傾げる。
「僕、小脳が二つあるんですよ。」
「は?」
間が空く。
「いやいや、何言ってんだお前。」
「だから、そのままの意味です。」
「人間じゃねぇだろそれ。」
「人間ですよ、一応。」
さらっと返す。
「ただ、ちょっと事情があって。」
「事情?」
「一卵性双生児だったんですよ、僕。」
「……お前みたいなのがもう一人?」
「居ませんよ。」
「は?」
「生まれる前に取り込んだんで。」
「は??」
バニーの思考が一瞬止まる。
「双胎喪失症候群ってやつです。」
「……マジで言ってる?」
「マジですよ。」
イヌは淡々と続ける。
「その影響で、脳の構造が少し特殊らしくて。」
「小脳が、二つあるって言われました。」
沈黙。
バニーはじっとイヌを見る。
「……デメリットは?」
「一応、人格に影響出るかもって言われましたね。」
「出てるだろどう見ても。」
即答。
「いやいや、僕は正常ですよ。」
「どの口が言ってんだ。」
「問題なく生活出来てますし。」
「周りが問題抱えてんだよ。」
間。
イヌは少しだけ考える素振りを見せてから、
「まぁ、強いんで良くないですか?」
軽く笑う。
バニーは遠い目をした。
「……最悪だな、お前ほんと。」




