ゲヒュールのコア
バニーがふと思い出したように口を開く。
ゲヒュールを倒したときに残る、宝石のようなもの。
あれは何なのか、と。
イヌは少しだけ考える素振りを見せてから、あっさり答えた。
喰らった感情の“排出物”のようなものだと。
バニーは一瞬だけ眉をひそめる。
言い方が雑すぎる。
使い道はあるのか、と続けて問う。
エネルギーになる、とイヌは淡々と説明する。
個体が強いほど、より大きく、より高密度なコアになるらしい。
その言葉に、バニーは小さく納得する。
この国の電力の大半はそれで賄われている。
さらに他国との取引にも使われている、と続く説明で、ようやく腑に落ちた。
だからゲヒュール対策課は金払いがいい。
イヌは軽く頷く。
あれはそれだけの価値がある、と。
少しだけ間。
バニーは視線を細める。
――なら、抜け道を考える奴もいるはずだ。
それをそのまま口に出す。
イヌは一瞬だけ沈黙してから、あっさりと答えた。
一度やろうとしたことはあるらしい。
だが、エネルギー変換には専用施設が必要で、
一般人が持っていてもただの石と変わらない。
売ろうとしても価値にならない。
バニーは軽く目を見開く。
なるほど、と呟く。
それでも、やる奴はいるだろう、と視線だけで続きを促す。
イヌは肩をすくめる。
駄目に決まっている。
常識的に考えて、と付け足す。
少しだけ間が空く。
バニーは何も言わない。
ただ一つだけ思う。
――こいつ、“やろうとした側”だな。
そのまま、何も言わずに視線を逸らした。




