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ゲヒュール2  作者: ルイ
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チェス

同化したゲヒュールが、ふと声をかける。

「バニーさん、勝負しませんか?」

「ん?」

バニーが顔を上げる。

「珍しいな。なんで?」

「チェスなんてどうですか?」

「いいけど」

少し肩をすくめる。

「イヌよりは下手だけど、そこそこ強いぞ?」

「じゃあ」

軽く笑う。

「私が勝ったら、今日の夜……ちょっとだけ交代させてください」

「……ちょっとって何だよ」

「付き合ってた頃、楽しかったことがあってですね」

含みのある言い方。

「……嫌な予感しかしねぇな」

バニーはため息をつく。

「じゃあ私が勝ったら、逆に私がやるわ」

「面白そうだし」

「へぇ」

少し目を細める。

「経験あるんですか?」

「何が?」

一拍。

小さく言葉が交わされる。

「……あるし」

即答。

「上から来るな」

「なるほど」

軽く頷く。

「察しました」

――三十分後。

駒が止まる。

沈黙。

「……は?」

バニーが盤面を見つめる。

「なんで、この戦術で負けるんだよ」

「ただいまです!!」

イヌが帰ってくる。

「ん?」

盤面を見て、すぐに理解する。

「あー、チェスやってたんですか」

「そりゃ負けますよ」

「なんでだ?」

バニーが振り返る。

「単純な実力もありますけど」

少しだけ笑う。

「人心掌握のレベル、段違いなんで」

「……マジかよ」

「知っときゃよかった」

イヌは肩をすくめる。

「まぁ、いいじゃないですか」

「別に何か賭けてたわけでも――」

言いかけて、止まる。

視線がバニーに向く。

バニーは、ゆっくりと顔を逸らした。

「……」

沈黙。

「あ、これ負けたらダメなやつだったんですね」

「うるせぇ」

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