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ゲヒュール2  作者: ルイ
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イヌの過去

少し昔の話。

「またギャンブルしてるの?」

「……関係ないだろ。俺の勝手だ」

ぶっきらぼうに返す。

「ゲヒュール対策課に入ったんでしょ。危ないよ、辞めなよ」

「金がいるんだよ。ギャンブルするためのな」

肩をすくめる。

「それに――俺は契約してなくても強い」

「……ほんと、バカ」

呆れたように笑う。

「ねぇ――」

「悪い、仕事だ」

背を向ける。

「……うん」

そんな関係が、続いていた。

「おーい、ご飯できてるぞ。何して――」

部屋に入る。

止まる。

「……っ」

言葉が出ない。

視界の中央。

揺れている。

「――」

首を、吊っていた。

後から知った。

人を騙すことを愉しむゲヒュールに――弄ばれていたことを。

口にするのも、ためらうような扱いを受けていたことを。

「気づけただろ……」

掠れた声が漏れる。

「何回も……」

拳を握る。

「なんでだよ……」

「おい、ゲヒュール」

闇に向かって言う。

「……なんだ」

「契約しろ」

わずかな沈黙。

「何を差し出す」

「――尊厳だ」

吐き捨てる。

「こんな俺に、お似合いだろ」

幸いだったのは――才能があったことだ。

契約者が辿り着く極地。

インスティンクト。

それを、異常な速度で掴んだ。

それから。

潜入調査。

あのゲヒュールを追う日々。

ある日。

「……?」

視界に入る。

似ている。

だが違う。

「……何してる」

違和感。

引っかかる。

さらに、時間が過ぎる。

「お姉さん。僕と勝負しましょうよ」

――目が覚める。

「……あれ」

「起きたか、イヌ」

「……?」

思考が遅れる。

「寝ぼけてんのか」

淡々とした声。

「さっきの名前。あのゲヒュールから聞いた、お前の恋人の名前だ」

「……っ」

一瞬で、覚醒する。

「ご主人様……!?」

「まぁいい」

興味なさそうに続ける。

「トイシェンを殺したいのは同じだ」

一歩、踏み込む。

「二人でやるぞ」

「……ご主人様」

少しだけ、声が揺れる。

「やっぱり僕一人でやります」

「その方が安全です」

「生意気言うな」

即答。

「相手は“私がいるから”動いてる」

「癪だがな。お前一人じゃ尻尾を出さない」

「……でも」

「ご主人様が危険です」

「やるって言ったらやる」

視線が刺さる。

「分かったか」

「……分かりました」

わずかに俯く。

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