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ゲヒュール2  作者: ルイ
88/357

出生

一卵性双生児。

珍しいが、決して極端に少ないわけではない。

だが――

双胎消失症候群となれば、話は別だ。

胎内で、片方が消える。

いや、正確には“消える”のではない。

――取り込まれる。

その胎児は、生まれる前に片割れを内に抱えたまま、この世に出た。

当然、影響がないはずがない。

人格に歪みが生じること。

そして時に、説明のつかない才能が発現すること。

例外のような個体。

だが、その子供はさらに異質だった。

常に“何か”と一緒にいた。

それはゲヒュール。

死んだはずの片割れが、形を変えてそこにあった。

異常なまでの感情の出力と濃度。

それを喰らいながら、ゲヒュールは子供と共に成長していった。

――まるで、最初から一つだったかのように。

現在。

イヌは満足そうに笑っている。

「えへへ、ご主人様ー。今日はやけに甘やかしてくれますね」

バニーは気だるげに視線を向ける。

「どこぞの馬鹿に取られかねないからな」

軽く言い捨てる。

「そういえば、最近変な夢見るんですよね」

「……ん?」

「元カノが出てくるんですよ。なんか、すごく甘やかしてくれて」

少し考えるように首を傾げる。

「やっぱり、忘れられてないのかなぁ」

バニーは無言で視線を逸らす。

(あのクソ野郎……夢に干渉してやがるな)

(“一回だけ”じゃなかったのかよ)

「……で?」

少し間を置いて聞く。

「何か言われたのか」

「私と今のご主人様、どっちが好きって聞かれましたね」

空気がわずかに変わる。

「……なんて答えた」

イヌは、特に深く考えた様子もなく言う。

「どっちも大好きって答えました」

沈黙。

バニーは一瞬だけ目を閉じて、

「……そうか」

短く返す。

(……まぁ、いいか)

そう思ってしまった時点で、

少しだけ負けている気がした。

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