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ゲヒュール2  作者: ルイ
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浮気

ゲヒュールに抱き寄せられたまま、イヌは特に抵抗もせず大人しくしている。

それを見て、バニーが低い声を落とした。

「おいこらイヌ。彼女の前で堂々と浮気とはいいご身分だな」

イヌはきょとんとしたまま返す。

「浮気って人間同士に適用されるものですよね?ゲヒュールはノーカンじゃないですか?」

「おいこら」

即座に遮る。

だがイヌは気にせず続ける。

「それに、僕のせいで死んだんで。このくらいは許してあげて下さいよ」

一瞬、空気が止まる。

バニーの言葉が詰まる。

(それ言われると困るんだよ)

横で、ゲヒュールの空気が明らかに変わる。

バニーはそちらを睨む。

「おい。なんだその顔。免罪符でも手に入れたみたいなツラしやがって。いつもなら否定するだろ」

ゲヒュールは肩をすくめる。

「記憶ないんだから、勘弁してあげて下さいよ」

(こいつ、戻ってること知らねぇんだったな)

バニーは舌打ちを飲み込む。

視線を変える。

「てかなんで見た目変わってんだ?私のゲヒュール、ゾウみたいな見た目だったろ」

イヌが答える。

「あー、喰べた感情で形は変わりますけど。ゲヒュールは自分の意思でも肉体変えられますよ。識別個体クラスなら戦闘特化にも出来ますし」

「ふーん……」

バニーは改めてその姿を見る。

「完全に魅了する気満々の見た目じゃねぇか」

イヌはあっさり頷く。

「ご主人様が信頼を喰べさせたのもありますね。そういう感情ばっかりだと、愛玩的な見た目になりますし」

「……喰わせなきゃ良かったわマジで」

ぼそっと漏れる本音。

少し間。

イヌがふと首を傾げる。

「ていうか、なんでご主人様と契約したんですかね。偶然にしては出来すぎてます」

「……あー、確かに」

バニーも少し考える。

イヌは続ける。

「多分ですけど。境遇が似てるからじゃないですか?トイシェン関連でされた事とか」

「なるほどな」

短く納得する。

「僕も、もう少し待ってたら契約出来たんですかね」

ぽつりとこぼす。

「お前のゲヒュール、元は何だったんだろうな」

「さぁ。生まれた時から僕の感情喰って育ってたんですよね。契約前から識別個体レベルでしたし」

「強すぎだろ」

「でも僕のこと守ってくれないクズなんですよねー」

軽く笑う。

バニーが小さく鼻で笑う。

「あー……似たんだな」

「誰にですか?」

間。

誰も答えなかった。

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