大好きなのに。
バニーが、ふと口を開く。
「なぁ、ゲヒュール」
「なんですか?」
静かな返答。
「……やっぱりさ、あんたが側に居てやれよ」
一拍。
「それは、お断りします」
迷いのない声。
「なんでだよ」
少しだけ苛立ちが混じる。
「好きなお菓子だから言うこと聞いてるわけじゃねぇだろ」
「……あいつが、あんたのこと好きだからだ」
「思い出、手放せねぇだけだろ」
沈黙。
「……私は死人ですよ」
ゆっくりと返す。
「あの子が悲しむと分かっていて、自分で終わらせた人間です」
「それはトイシェンのせいだろ」
「関係ありません」
静かに遮る。
「あの子は、自分のせいだと思ってる」
「それが事実かどうかは、どうでもいいんです」
バニーは言葉を失う。
それでも、踏み込む。
「……でもさ」
「側に居たいだろ」
「撫でてやりたいだろ」
一瞬だけ、空気が揺れる。
「……」
小さな沈黙。
それから。
「当たり前じゃないですか」
少しだけ、声が崩れる。
「全部、好きですよ」
「寝顔も、甘えてくるところも」
「ご褒美あげた時の顔も」
「……全部」
間。
「それでも」
ゆっくりと言い切る。
「我慢してるんです」
「好きだから」
「私に囚われてほしくない」
「……」
バニーは何も言えない。
「変に揺さぶらないでください」
静かに釘を刺す。
「……悪かった」
短く謝る。
沈黙。
最後に、ぽつりと。
「あぁ……」
ほんの少しだけ、掠れた声。
「生きてればよかったな」




