仕掛けてきた
「ご主人様!」
「なんだ」
「あの二人――ゲヒュールです」
「擬態してる……トイシェンか?」
「いえ……恐らく分身です」
次の瞬間。
イヌの体が沈む。
踏み込もうとした足が、止まる。
「……っ」
「「パチパチ。よく見破ったね」」
二人の声が重なる。
同じ顔、同じ笑み。
「「能力だよ。トイシェン様のね」」
「「ゲームに“強制参加”させる能力」」
「「この場にいる限り、僕に勝つまで攻撃はできない」」
「「ただし――」」
「「負けたら、そのまま“攻撃できない状態で戦うことになる”」」
沈黙。
「……テメェが負けたら、本体の居場所を吐け」
「「無理だよ」」
即答だった。
「「記憶、いじられてるからね」」
「「でもさ」」
わずかに笑みが深くなる。
「「僕が勝ったら、君たちは死ぬ」」
「「その代わり――」」
「「僕が負けたら」」
「「君の“パートナーの秘密”、教えてあげるよ」」
「……やる理由ねぇだろ」
「「気になってるくせに」」
「「そいつ、信用できるのかって」」
バニーの視線が、わずかにイヌへ向く。
「そもそも、お前がどこまで知ってるかも分からない」
「ご主人様」
イヌが一歩も動けないまま、静かに言う。
「相手の能力は“ゲームに勝たなければ攻撃できない”というものです」
「現状――お互い不可侵」
「乗る必要はありません」
「「本当に?」」
一拍。
「「そいつが“尊厳を喰わせた理由”」」
「「少なくとも僕は知ってるよ」」
沈黙。
(……全部、怪しい)
(こいつの言葉も)
(イヌの過去も)
(でも――)
(知れるなら、勝てばいい)
バニーの口元が、わずかに歪む。
「……乗る」
「「いいね」」
「「じゃあ、ゲームを始めようか」」
「「名前は――」」




