テメェの母親、ガチでいい人じゃねぇか
扉が勢いよく開く。
「テメェの母親、ガチでいい人じゃねぇか!!」
バニーが開口一番、怒鳴る。
「え?お母さんと話したんですか、ご主人様」
イヌは少しだけ目を丸くする。
「なぁぁにが“多分、僕は母親が浮気して出来た子供ですね”だよお前」
「あっれぇー」
「はい、土下座」
イヌは迷いなく土下座する。
「テメェのギャンブル中毒は誰のせいだ?」
「いやぁ、僕は中毒じゃないですし。ちゃんと制御できてますし」
「テメェの性格の悪さは誰のせいだ?」
「僕、めちゃくちゃ性格いいじゃないですか!!」
「こいつ……!」
「逆立ち」
イヌはその場で逆立ちする。
「ご主人様ー、ひどいですぅ」
「腐りきった性格が治るまでそのままでいろ」
「僕の性格は純粋で、汚れ一つないですよ?」
「純粋なクズだろテメェは」
「どこがですかぁ」
「全部だよ」
一拍。
バニーは腕を組む。
「テメェ、親から何教わったんだよ」
「うーん……敬語は教わりました!!」
「……それだけか?本当に?」
「ん?それだけだと思いますよ?」
(あの親がそれだけなわけねぇだろ……)
「“嘘つくな”って言われなかったのか?」
「ん?言われましたけど?」
「なんで直してねぇんだよ」
イヌは少しだけ考える。
「うーん……あ!」
顔を上げる。
「僕って完璧すぎるじゃないですか」
「は?」
「だから、あえて直さなかったんですよ」
「は?」
「ほら、完璧すぎる人って近寄りがたいじゃないですか」
「バランス取ってるんです」
沈黙。
「……」
バニーがゆっくり顔を上げる。
「ちょい待て」
一歩詰める。
「それ、自分で言ってておかしいと思わねぇのか?」
「え?」
首を傾げる。
「なんでです?」
「……」
バニーは深く息を吐く。
「……マジで黙れ」




