精神年齢
バニーがふと思い出したように口を開く。
「そういやイヌ」
「なんですか、ご主人様」
「お前、インスティンクト常時扱えるようになったの、いつからだ?」
「えっと……二十のときですね」
軽く指を折る。
「……あー、十二年前か」
「そうなりますね」
「ふーん……」
少しだけ間。
「前から思ってたんだけどさ、仮説が一つあってな」
「なんです?」
「この前、老化ほぼ止まってるって言ってたじゃん」
「はい。インスティンクトの影響です」
バニーがじっと見る。
「精神年齢も止まってんじゃねぇか?」
「……え?」
「いやだってお前、ガキじゃん」
「頼れる大人ですよ?」
即答。
「餌出したらすぐ言うこと聞く犬の間違いだろ」
「そんなことないですって」
「金無しで、私以外の言うこと聞いたことあんのか?」
「トイシェン関連は無償で引き受けましたよ」
「それ“例外”な」
一歩詰める。
「それ以外」
「うーん……」
少し考えてから。
「あ、ゲヒュール討伐専門になる前は普通に従ってましたよ」
「その話な」
バニーの目が細くなる。
「黒崎さんから聞いたわ」
「責任転嫁激しすぎて現場から外されたって」
「……?」
イヌは首を傾げる。
「僕が優秀だから、その方が効率いいって話じゃないですか?」
「黒崎さん、上司に頭下げてたぞ」
一拍。
「お前の尻拭いで」
「……」
ほんの一瞬だけ、間。
「……黒崎の虚言じゃないですか?」
「テメェ」
バニーが静かに言う。
「マジで私と黒崎さん居なくなったら終わるぞ、お前」




