あの時はカッコよかった
夢の中
強制選択《フォースド・チョイス:偏向制約》
「イヌ、お前に任せる。」
「……。」
「どうした?」
「インスティンクトを使っても、ほとんど読めません。流石はトップ。」
「じゃあ最初は――」
――オープン。
イヌは防御。トップは攻撃。
「何してるんだ?」
「別に。」
――オープン。
イヌは攻撃。トップは防御。
「反転は使わないんですか?」
「それが狙いだろ。」
――オープン。
防御、防御。
「攻撃は3回しか出来ねぇからな。ここでしても反転されたら後1回相殺されれば負ける。」
――オープン。
防御、防御。
「お前、心臓に毛でも生えてんのか?」
――オープン。
防御、防御。
(……攻撃は連続で選べない)
(なら、次は――)
――オープン。
イヌは攻撃。トップは防御。
「反転」
トップが即座に口を開く。
「……詰みだ。クソが。」
――オープン。
イヌは防御。トップは攻撃。
「反転」
――オープン。
イヌは攻撃。トップは防御。
「ご主人様ー。勝ちましたよー。」
――夢が覚める。
「ん……夢か」
バニーはゆっくり目を開ける。
隣で眠るイヌに視線を向ける。
「……寝顔、可愛いな」
少しだけ間。
「いや、夢に出てきた時のアイツ……」
小さく笑う。
「マジでカッコよかったな」
「今は……憎めないクズだけど」
天井を見上げる。
「あの時はさ」
「迷わずコイツをゲームに参加させたんだよな」
「三者ポーカー、ダブルチェス、強制装填、強制選択」
「全部、イヌのおかげで勝った」
一拍。
「おかげで復讐も果たせたし」
「感謝してもしきれない」
視線を横に戻す。
「最初は、ただの手駒だったのに」
「気づいたら……」
少しだけ言葉が途切れる。
「どんどん好きになってた」
沈黙。
「……」
バニーは小さく息を吐く。
「いや、なんかさ」
「過去どんだけ思い出しても」
「結局、“クズ”って印象が上書きしてくんだよな」
苦笑する。
「カッコよかった記憶、どんどん薄れてく」
一拍。
「まぁ……」
イヌの寝顔を見る。
「こんなクズ、好きになるのなんて私くらいか」
布団に潜り込む。
「……ま、いっか」
目を閉じる。
「二度寝しよ」




