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ゲヒュール2  作者: ルイ
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テメェは誰だ

「ご主人様!ご褒美ください!」

「あ? しねぇよ、気持ち悪い」

「えー……勝ったじゃないですかぁ」

「まぁな。……座れ」

バニーは無造作に足を乗せる。

イヌの肩を踏みつける形だ。

「嬉しいです、ご主人様!」

「質問に答えろ」

視線が落ちる。

「テメェ、何者だ」

「ご主人様のペットです」

「そういう意味じゃねぇ」

わずかに力を込める。

「ギャンブルの強さだよ。どう見ても異常だ」

「そうですかね?」

「……質問を変える」

踏みつけたまま、覗き込む。

「テメェ、以前何してた」

「何者だ」

「ご主人様に恋して、ずっと見てました」

(チッ……)

(強制履行。嘘は吐けない)

(でも――全部は言ってねぇな)

「ご主人様」

イヌの声が少しだけ落ちる。

「やめましょうよ」

「……何を?」

「復讐です」

一瞬、沈黙。

「……怒らないでください。すみません」

「いや」

バニーは軽く息を吐く。

「お前、トイシェン知ってたな」

イヌの肩が、わずかに止まる。

「辿り着かないように、邪魔してたんじゃねぇのか?」

「…………」

「知っていました」

静かに答える。

「邪魔もするつもりでした」

一拍。

「でも――やめました」

「なんでだよ」

「ご主人様が、傷つくと思ったので」

バニーは一瞬だけ目を細める。

「テメェがトイシェンに記憶いじられて、ここに来た可能性は?」

「ありますね」

あっさりと答える。

「……まぁいい」

踏みつけていた足を少しだけ動かす。

「で、なんでそんなに強い」

「ゲヒュールに“尊厳”を喰わせた影響もあります」

「それだけじゃなくて――」

指を折るように並べる。

「異常な動体視力」

「精密な動作」

「インスティンクトによる読心」

「あと――見たものを真似る器用さ」

「……なるほどな」

バニーの視線が落ちる。

「……ん?」

眉がわずかに動く。

「なんだその毛」

「あぁ」

イヌは嬉しそうに笑う。

「イヌの毛です」

「インスティンクトの副作用で、使うと少しだけゲヒュールに近づくんですよ」

「……なるほどな」

短く納得する。

「ってことで」

イヌが顔を上げる。

「もっと可愛がってください」

「しねぇよ」

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