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イヌの好きな台
隣の台で玉の音が鳴る中、バニーがちらりと横を見る。
「お前、ほんと毎回その台だな」
「楽しいですよ、ご主人様!」
イヌは画面から目を離さない。
「ふーん……負けてるとこしか見たことねぇけど」
「いや、当たりますって」
その瞬間。
画面が派手に光る。
「キタキタキタキタ!!」
「それ好きだよな、その確定演出」
「当たり確定なんで!」
「でもなぁ……」
バニーは腕を組む。
「当たってからが地獄なんだろ」
「こいこいこい!!」
イヌが前のめりになる。
――沈黙。
「……」
顔が固まる。
「ほらな」
「25%引いて、さらに50%通さないと続かないんですよ……」
「その時点でやばいだろ」
「……」
「台変えろよ」
「いや、次は来ます」
イヌは即答する。
「今まで外した分があるんで」
「それ昨日も聞いたな」
――二時間後。
イヌは無言で台を見つめている。
「……」
「今日はどうだ」
「……察して下さい」
バニーは軽く息を吐く。
「私は二万“しか”勝てなかったな」
「……」
イヌは視線を逸らす。
「明日、取り返します」
「それも昨日聞いた」




