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イヌの異常性
黒崎が額を押さえる。
「……無理だ。これが限界」
「すげぇじゃん」
イヌが軽く言う。
「インスティンクト使えるだけでも大したもんだろ」
黒崎は少しだけ間を置く。
「一秒……だけどな」
「……」
イヌは口元を押さえる。
「おい、笑うな」
「いや、笑ってねぇって」
わずかに肩が揺れる。
「で、お前どんくらい持つんだよ」
「んー……」
イヌは適当に考える。
「ここ二週間ずっとインスティンクト状態だからな」
「どれくらい持つか分かんねぇ」
「化け物がよぉ」
黒崎が吐き捨てる。
「でも早いじゃん」
イヌは続ける。
「一秒でも一ヶ月でそこまで行けるの、普通にすごいぞ」
「……お前は?」
黒崎が睨む。
「どんくらいで使えるようになった」
「俺?」
イヌはあっさり言う。
「契約して一週間」
「は?」
「戦闘で普通に使えるレベルにはなってた」
「……化け物がよぉ」
黒崎はため息をつく。
「まぁ」
イヌは肩をすくめる。
「俺、天才だし。だいたい何でも出来る」
軽く笑う。
「あーあ、敗北ってやつ知ってみてぇな」
間。
黒崎がぼそっと言う。
「昨日、パチンコいくら負けた」
「……」
イヌの動きが止まる。
「……五万」
「“しか”じゃねぇだろ」
「五万“も”な」
「……」
イヌは視線を逸らす。




