三者ポーカー
三者ポーカー。
三人で行う特別ルールのポーカー。
通常通り手札が配られた後、勝敗が決まる前に宣言を行う。
バニーとイヌはそれぞれ、「自分が勝つか、負けるか」を選ぶ。
結果に応じて、賭けたチップの支払いが決まる。
二人とも当てれば全額獲得。
一人でも外せば半分支払い。
二人とも外せば――全額支払い。
「ルールは分かったかな?」
「そっちが多少有利ですね」
「なるほどねぇ……」
「イヌ、どうする?」
「僕が“休憩”と宣言した場合、十分間の中断を認めてください」
「それくらいならいいよ」
三ゲーム目。
(配りは三人で交代)
(相手が配れば――私だけ外す)
(私が配っても同じだ)
(……癪だけど)
(イヌが配った時だけ、二人とも当てる)
(つまり、あいつは“全部見えてる”)
(おかげでイーブン)
(イヌがいなければ、とっくに負けてる)
「休憩」
「いいよ、行ってきな」
「ご主人様、作戦を説明します」
「……分かった」
「……ハハッ。呆れるな。それが作戦?」
イヌは淡々と答える。
「はい」
作戦は単純だった。
相手かバニーがカードを配る時――
バニーは手札を一切見ない。
代わりにサイコロを振る。
一から三なら「負け」。
四から六なら「勝ち」。
完全なランダム。
最初は反対した。
だがイヌは首を振る。
――読むな、と。
読もうとする限り、相手に捕まる。
ならば最初から、“読めない存在”になるしかない。
(……クソみたいな作戦だな)
(イヌが当て続ける前提の、完全依存)
(でも――)
(勝てるなら、乗るしかない)
ゲームは進む。
一度。
また一度。
ズレる。
読めない。
崩れる。
そして――
「勝ちましたね、ご主人様」
「あぁ……情報を教えろ」
「いいよ。面白いもの見せてもらったし」
男は肩を揺らして笑う。
「今でも笑えてる」
「その男は――人間じゃない」
「……は?」
「人間に擬態したゲヒュール」
淡々と続ける。
「何百年も生きてる。人を騙すのが大好きなやつだよ」
「なるほど……つまり」
「顔で追っても無駄」
男が先に言う。
「姿、いくらでも変えられるからね」
「……他は?」
「あー、名前くらいかな」
少し考える素振り。
「トイシェン」
「分かった……あんたは、そいつとどういう関係だ?」
「ん?」
軽く首を傾げる。
「あぁ、無駄だよ」
「記憶、いじられてるから」
「僕はただの――どこにでもいる一般人」
「ふーん……来いってことか」
バニーは鼻で笑う。
「今日みたいな感じじゃ――無理だね」
(……まぁな)
(正直、全部イヌのおかげだ)
(否定はできねぇ)




