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可愛い
イヌがぼそっと呟く。
「最近、バニーガールのご主人様見てないなぁ」
「なんだよそれ」
バニーは呆れたように返す。
「いや、似合ってましたし」
「意味分かんねぇ」
「可愛いから着てくださいよ」
「やだよ」
「なんでですか」
「仕事行ってくる」
話はそこで切れた。
夜。
玄関の扉が開く。
「ご主人様、おかえりなさい」
「……は?」
イヌの視線が止まる。
「なんだよ」
「いや……」
少しだけ間。
「なんでそのままなんですか」
「え?」
「その格好」
バニーは一瞬だけ視線を逸らす。
「あー……着替える時間なかった」
「……」
イヌが黙る。
「なんだよ」
「いえ」
少しだけ口元が緩む。
「可愛いですね」
「は?」
「その言い訳」
「うるせぇ」
「仕事終わりで、そのまま帰ってくるの」
一歩だけ近づく。
「余裕なかったってことですもんね」
「……」
「それで僕の前に出てきてるのも含めて」
「……っ」
「可愛いです」
「黙れ」




