昨日の仕返し
「はい、今回も僕の勝ちでーす」
イヌが軽くカードを放る。
「……いい加減にしろよ」
バニーは椅子にもたれたまま、呆れた声を出す。
テーブルの上には、使い終えた道具が雑に散らばっていた。
ポーカー。ババ抜き。チェス。ブラックジャック。
他にもいくつか。
結果は、全部同じ。
「全勝ってどういうことだよ……」
「実力ですね」
「手加減しろ」
「嫌です」
即答。
「てかなんでゲームしようなんて言い出したんだ、お前」
「気分です」
「お前さ、勝ち確のギャンブルはつまらないって言ってたよな」
「まぁ、たまには」
軽く肩をすくめる。
バニーはじっとイヌを見る。
「……強すぎんだよ。やっぱインスティンクトか?」
「ん?」
イヌは小さく笑う。
「チェスでも普通に勝ってますよ。単純に頭の出来の違いです」
「はい殺す」
「怒らないでくださいよ」
「私も読心くらい出来るんだけどな」
「ご主人様のは“誘導して読む”じゃないですか」
さらっと言う。
「僕のとは別物ですよ」
「……なんか今日、当たり強くね?」
「気のせいです」
「……」
バニーは少しだけ目を細める。
「あ」
「なんですか?」
「昨日、私がパチンコで勝ったとき」
イヌの動きが、ほんのわずかに止まる。
「お前、拗ねてたよな」
「……」
沈黙。
「……もしかして」
一歩踏み込む。
「仕返し?」
「……」
答えない。
「うわ」
バニーは思わず笑う。
「器ちっさ」
「ギャンブルで僕に勝ってから言ってください」
イヌは視線を逸らしたまま言う。
「僕の方が強いんで」
「いやそれ」
バニーは肩を揺らす。
「本気で言ってるなら、普通にヤバいぞお前」




