黒崎との関係性
バニーがふと思い出したように口を開く。
「そういやお前、黒崎と話してる時だけ口調違うよな」
イヌは一瞬だけ目を細めて、すぐにいつもの調子に戻る。
「黒崎は黒崎ですから」
「……仲いいのか?」
「ん?従兄弟ですよ」
一拍。
「は?」
「はい」
「マジで言ってる?」
「ええ。しかも僕、警察じゃあっちの先輩ですし」
「へぇ……」
バニーは少しだけ見方を変える。
「あの人、相当優秀だと思うけど。お前から見てどうなんだ?」
イヌはあっさり答える。
「強いですよ。二番目ですけど」
「……二番目?」
「僕が一番なんで」
「お前そんな立ち位置なの?」
「ええ」
さらっと言い切る。
バニーは小さく息を吐いた。
「……あの人も大概だと思ってたけどな」
「聞いてくださいよ」
イヌが少し身を乗り出す。
「黒崎、今は奥さんにメロメロで、甘えっぱなしなんですよ」
「は?」
思わず笑いが漏れる。
「マジかよ。全然想像つかねぇな」
「でしょ?」
イヌが楽しそうに頷く。
その顔を見て、バニーはふと首を傾げた。
「……ん?」
「どうしました?」
「いや」
少しだけ間を置いて、淡々と言う。
「三十二で、二十歳に“ご主人様”呼びしてる奴が言うセリフか?」
「……」
空気が止まる。
「てかさ、それ別に命令してねぇからな」
「……」
「最初はキャラ作りかと思ってたけど、今でも普通に呼ぶし」
「……」
「お前さ、もしかして――」
一歩踏み込む。
「そういう性癖?」
沈黙。
イヌはふいっと視線を逸らした。
「……さーて」
何事もなかったように背を向ける。
「今日は気分的に、スロットでも打ちに行きますか」
「逃げんな」
即ツッコミ。




