ポンコツだけど
バニーがふと、思い出したように言った。
「なぁ……お前、もしかしてポンコツか?」
イヌはわざとらしく肩を落とす。
「え、酷いですよご主人様」
「いや最近さ、パチンコで負けただのしか聞いてねぇんだわ」
「僕だってカッコいい瞬間ありましたよ!」
「いつだよ」
少し間を置いて、イヌは胸を張る。
「トイシェン倒す直前までは、知的で頼りになるイケメンでした!」
「自分で言うのかそれ」
「“強制選択《フォースド・チョイス:偏向制約》”の戦いとか、普通にカッコよかったじゃないですか」
「あー……」
バニーは一瞬、言葉を選ぶ。
「……確かに。ちょっと惚れそうだった」
「え?」
「……あ、いや」
「ご主人様、僕に惚れそうだったんですか?」
「ねぇよ。パチスロ中毒に」
「酷いなぁ……僕、普通にモテるんですよ?」
「マジで?」
「ええ。でもパチスロの話した瞬間、だいたい別れます」
「原因それだろ」
イヌは気にした様子もなく、ぐっと顔を寄せる。
「で、どうなんですか。あの時」
「は?」
「惚れそうだったんですか?」
「……少しだけな。ほんの少し」
「へぇー、照れてる」
「うるせぇ」
間が落ちる。
イヌは、逃がさないみたいに続けた。
「今は?」
「……」
「ご主人様?」
バニーは視線を逸らしたまま、短く言う。
「……好きだけど」
空気が止まる。
「え?」
一拍置いて、バニーは肩をすくめた。
「冗談だよ」
「……勘弁してくださいよ、ほんと」




