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名前
「いやだぁー……やだやだやだやだ。」
イヌがソファに沈みながら嘆く。
「仕事しろよ、ニート」
バニーが即座に返す。
「潜入調査の時は良かったじゃないですかぁ……パチスロしたり、ギャンブルで勝ったり。お気楽でしたし。」
「お前、それが目的で潜入してただろ。」
「まさかぁ」
イヌの視線がわずかに逸れる。
「……おい」
「え?マジだったの、恋人の敵は?」
「敵討ちするために決まってるじゃないですか。」
少しだけ、声が揺れる。
「おいこら。」
「……。」
一瞬、空気が落ちる。
「そういえば、お前の名前――あれだったな」
「そうですけど。」
「まぁ……いいや。私の名前も教えとく。」
「私の名前は――」
「ふーん……」
「その“知ってました”みたいな顔やめろ」
「いや、警察の情報網舐めない方がいいですよ?」
「クソがよ」
空気が少し緩む。
「まぁまぁ、ご主人様!」
「今の流れ、名前呼ぶとこだったろ」
「別にいいじゃないですか」
小さく笑う。
「……まぁいいか。イヌ」
「はい!ご主人様。」




