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お墓参り
「お墓参り、ねぇ……」
「別にご主人様がついて来る必要はなかったですよ」
「イヌの恋人か……」
バニーは少しだけ目を細める。
「普通に私と似てるな」
「ですよねー」
軽く返すイヌ。
「……なんとなく分かったわ」
「何がですか?」
「お前が私を守ろうとする理由」
一拍。
「トイシェンに遊ばれて死んだ恋人への償いだろ?」
「違いますよ」
即答だった。
「何が違うんだ?」
少しだけ、間。
イヌは視線を墓から外さないまま口を開く。
「僕が……そっけなかったからです」
「何回も、助けを求めるサインがあったんですよ」
「後から思い返すと、あれもそうだったんだなって」
「僕が気づかなかったから――」
一瞬だけ、言葉が止まる。
「――死んだんです」
「お前のせいじゃないと思うけどな」
バニーは短く言う。
「アハハ、ありがとうございます」
いつもの軽い声に戻る。
少しだけ沈黙。
風の音だけが通り過ぎる。
「そういえば」
バニーが口を開く。
「なんで潜入調査先がカジノだったんだ?」
「あー……トイシェンの残穢が強かったんですよ」
「へぇ……」
「じゃあ、あのカジノが一番の手がかりなのか?」
「さぁ?」
肩をすくめる。
「……上に確認してみるか、今度」
「まぁ、アリだと思いますけど」
「大した情報は得られないと思いますよ」
「まぁ、物は試しだ」




