シャドウボード《レンジクエスチョン》
「おい、私とゲームしろ」
「珍しいですね、ご主人様から誘うなんて」
「イヌに負けっぱなしだとムカつくからな」
シャドウボード《レンジクエスチョン》
二人で行う、不可視の盤面を巡る推理戦。
盤上には複数のマスが存在し、そこに駒が配置される。
ただし――その位置は互いに見えない。
ゲームはターン制で進行する。
各ターン、プレイヤーは必ず一度「質問」を行い、
その直後に「攻撃」を行う。
質問は、盤面全体に対する条件付きの問い。
「偶数番のマスに駒はあるか」
「左側の範囲に存在するか」
「上段に配置されているか」
問いは「はい」か「いいえ」で答えられるものに限られる。
回答は必ず真実である。
その回答を受けた上で、プレイヤーは一マスを指定し攻撃する。
指定したマスに駒があれば破壊、なければ空振りとなる。
「へぇー、ご主人様がこの前勝った人質尋問に似てますね」
「まぁな……」
(あの形で詰めるか)
「質問する。偶数番目に駒はあるか?」
「YESです!」
「4番を攻撃」
「そこに駒はありません」
――数ターン後。
互いに一つずつ駒を失った状態。
(そろそろ詰める)
「駒は隣接してるか?」
(1、2、4、5……この辺りはもう潰れてる)
「YESです」
(固まってるなら――二手で落とせる)
「9番を選択する」
「外れです」
(……いや、問題ない)
(ここを外した時点で、残りは絞れてる)
「あー……今の、当ててればご主人様の勝ちでしたね」
「は?」
イヌが軽く笑う。
「質問です」
「ご主人様が今まで攻撃した場所に、駒はありますか?」
「……NOだ」
「ですよね」
わずかに頷く。
「どちらでも詰みですが――確認でした」
一歩、間を置く。
「このゲーム、情報は“自分だけのもの”じゃないんですよ」
「外した場所も、立派な情報になる」
「ご主人様の狙いは、二ターン目で読めてました」
「次にどこを撃つかも、ある程度予測できる」
「だから――」
「その前提で質問を組んだんです」
「どちらを答えても、位置が削れるように」
「つまり――」
イヌが指を差す。
「3番と9番」
「……うっわ」




