ブラインド・ブラックジャック
「ご主人様!!ゲームして元気出しましょうよ」
「今、そんな気分じゃない」
「えー……なら僕に勝ったらぁ」
「私、いつでもイヌに命令できるじゃん」
「インスティンクトのやり方、教えてあげましょうか?」
「やり方教えろ」
「なんか頑張ったら出来ますよ」
「クソがよ」
「トイシェンに対抗出来る力、手に入るかもしれませんよ?」
「……分かったよ」
「僕が勝ったら――毎日ギューして寝てください」
「それが目的だろ」
「まさかぁ」
ブラインド・ブラックジャック。
二人で行う、情報が欠けたブラックジャック。
通常通りカードは二枚配られる。
だが確認できるのは、そのうちの一枚だけ。
もう一枚は伏せられたまま、最後まで自分でも中身は分からない。
プレイヤーは順番に選択する。
「ヒット」――カードを一枚引く。
「スタンド」――それ以上引かずに止める。
目的は通常と同じ。
手札の合計を21に近づけること。
ただし、21を超えた時点で敗北となる。
全ての行動が終わった後、
伏せられていたカードを含めて手札を公開し、
合計値で勝敗が決まる。
見えている情報は半分。
自分の手札すら確定しない。
だからこそ――
引くか、止めるか。
その一手に、全てが乗る。
「これがルールか……」
「そうです。運ゲーですし、ご主人様でも勝てますよ」
「僕がシャッフルしますねー」
(コイツ、舐めてやがる。マジで潰す)
イカサマは……あれでいいか。
「ヒット」
「ヒット」
「スタンド」
「カードの合計は19だ」
(途中でカードをすり替えた)
(私の持っていた“13”をデッキの上に戻して、一枚引いた)
(イヌは見えないカードが13だとは知らない)
(二枚目が9以上なら勝ち)
(そうでなくても、もう一度はヒットさせるはず)
(これで――勝てる)
「スタンド」
「は??」
「いや……もういいかなって思いまして」
カードが開かれる。
「8と13で――ナチュラルです」
「……は?」
「最初に新品のトランプを、僕にシャッフルさせちゃ駄目ですよ」
「……いや待て、まさか」
「イカサマも、ちゃんと誘導しましたよ」
軽く笑う。
「そもそも、都合よくご主人様のところに13が来るわけないじゃないですか」
「化け物かよ」
「じゃあ、約束通り」
「毎日ギューして寝てくださいね」
「はぁ……」
小さくため息を吐く。
「で、インスティンクトのやり方は?」
「別にいいだろ、教えてくれても」
「知っても、ご主人様だと出来ませんよ?」
「は?」
「インスティンクトを使ってるから精神を知覚出来るんじゃなくて――」
少しだけ真面目な声になる。
「精神を知覚出来るから、結果的にインスティンクトを使えてるんです」
「……つまり?」
「無理じゃないですか?」
「クソがよ」




