強制装填《フォースド・トリガー:三者戦》
強制装填《フォースド・トリガー:三者戦》
六発式の拳銃を用いたロシアンルーレット。
弾は事前に装填される。
装填数・位置は非公開――確認も不可。
ゲームは三人で行う。
バニーとイヌは一組として扱われる。
ゲームは三巡で終了する。
尚、弾は六発で三巡以内に使い切らねばならない。
バニーがイヌに引き金を引き、
弾が発射された時点で敗北。
ただし――
このゲームには、もう一つのルールがある。
トイシェンは一度だけ、任意のタイミングで
バニーの「撃つ」という行動をキャンセルしなければならない。
「……テメェ、イヌを殺したいだけだろ」
「ゲームだよ、ゲーム」
軽く笑う。
「極論さぁ、六発全部入れた状態で――僕にそれをキャンセルさせればいいわけだし」
「正直、運ゲーですが……やるしか無いです」
「イヌ……」
「大丈夫です。インスティンクトの状態なら、一発くらいなら――多分、死にません」
「嘘で安心させても無駄だよ」
トイシェンが割り込む。
「心臓ならともかく、頭だよ? 死ぬよ」
「……イヌ。作戦がある」
「いい作戦ですね!!分かりました」
「はい、弾を込めました。どうぞ」
イヌはトイシェンとバニーに見えないよう、装填する。
「分かった」
一拍。
「キャンセルだ」
「!?」
「バニーちゃん、駄目だよ?」
「撃つ時さぁ、弾が籠もってたら――本当はもっと緊張するはずだ」
「つまり、弾は入ってない」
「……ごめん」
「大丈夫です。次はどうしますか?」
「……三発で行こう」
「分かりました」
イヌは三発装填し、バニーに渡す。
「ごめん……これで生き残れても……まだ、もう一回ある……」
「博打ですね!!」
笑う。
「生き残ったら、ギューして寝てください」
「……分かった」
カチッ
「……弾は出なかったけど……」
「勝ちましたね」
「は?」
トイシェンの表情がわずかに歪む。
「最初の段階で、三発込めてたんですよ」
「ご主人様の作戦を聞いた時に、思いつきました」
「いや……二人の精神は観測してる。そんな様子は――」
「いや、ご主人様には言ってませんでしたけど」
軽く笑う。
「六発は無理でも、三発ならいいかなって」
「……イカれてやがる」
「ご主人様、下がって」
「分かった……」
イヌが踏み込む。
蹴りを放つ――
だが。
逆に弾き飛ばされる。
「……ヴェーラーレベル」
「ハハッ」
トイシェンが笑う。
「潜伏してたからね、僕。ヴェーラーと同格だよぉ」
(考えろ……弱点があるはずだ)
(十年前、黒崎が戦った個体にもあった)
(騙すのが好きなゲヒュール……嘘……)
(何かを“看破”すれば、崩せるはず)
(さっきの攻撃……仕留めきれなかった)
(つまり、何かを成立させている)
「ご主人様、今ので何か気づきましたか?」
「……攻撃が当たったのに」
「なんか、“無かった事にされた感じ”」
「……」
一瞬、思考が繋がる。
「さっきの僕の攻撃は当たっている」
「嘘は看破した」
「グァ……!」
トイシェンの身体が揺らぐ。
(なるほど……)
(嘘で結果を上書きしてる)
(なら、それを見抜けば――成立しない)
傷が戻る。
同時に、イヌの傷も消えている。
「逃げるよ」
「逃がすかよ!!」
――消える。
「……さっきまで、そこにいた」
「これも……嘘だ」
「……チッ」
「無駄か」
「弱体化はしてるはずだが……“消えた”という事実までは否定できない」
「……無理やり通したな」
「イヌ……大丈夫?」
「大丈夫です」
軽く笑う。
「帰ったら、ギューしてくださいね」
「……分かった」




